PROFILE: 前川亜紀子/グループ人事統括室 組織開発部 新卒採用課 課長

現場と経営層とをつなぐ需要な役割を果たすのが、中間管理職(課長クラス)だ。プレイヤーでありながら、マネジャーとしてチームメンバーを鼓舞し、成果を出す――ファッション&ビューティ企業で活躍する、そんな「令和のプレイングマネジャー」たちに、マネジメントの秘訣を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月14日号からの抜粋です)
WORLD
ワールドの人事部門で課長を務める前川亜紀子さんは、グループ全体の新卒採用と、新入社員の入社後3年間にわたる育成を担当する。直属の部下は10人。スパークス推進企画部を経てブランド事業でマネジャー職を務めていたが、10年ほどたったころに担当していた事業が終了に。「流れに身を任せてみよう」と決意し、当時ワールドとITコンサル企業が立ち上げた合弁会社・旧ファステック・アンド・ソリューションズへ異動。コンサルタントとしての経験を積んだ。その後、2020年に本社の採用をサポートするため人事部へと異動した。
MY RULES
〇 顧客のために、と問う
〇 自分で決めてもらう
〇 オープンマインドでいる
目標から“目的“へ マネジメントの転換点
管理職に就いたばかりのころは、迷いも多かったと言う。「で、課長って何をやるんだっけ?というのが最初の感想でした」。ヒントを得るために外部の勉強会にも積極的に参加。マネジングにまつわる本も読みあさり、試行錯誤の時期が続いた。「店舗に勤務していたころは計画値を確実に達成するといった、掲げられた目標に対して精度高く成果を出すことに充実感を得ていました。人事に移ってもしばらくは人材要件を整理して採用数を達成することに力を注いでいました」。意識が変わったのは、係長から課長に昇格したタイミングだった。「それまでは本部職の採用だけを見ていたのですが、販売職の採用も統括するようになりました。しかし市場の状況もあって、なかなか実績が振るわず。細かい業務指示を出しているだけでは根本的には変わらないと気づいたんです」。
そのときから意識し始めたのが、「問いを立てること」。会社の未来を担う人材はどんな人なのか、その人たちに興味を持ってもらえる採用ブランディングとは何か。数値目標の裏にある「なぜやるのか、誰のためにやるのか」を突き詰めるようにした。「私が目の前の数値目標だけを追っていては、チーム全体の活動の幅が小さくとどまってしまう。本質的な問いに向かって、みんなで新しいアイデアを出す。チームの目線を引き上げていくことこそがミッションなんだと思い直しました」。メンバーには共に問いを考え、「自分」で決めてもらうことも心がけていることの1つだという。「私の性格上、率先して発言しがち。でもそこをぐっと堪えて、チームメンバーそれぞれのペース、得意不得意を理解して発言を待つ。結果、メンバーからもビジョンを見据えた発言が増えてきました。やっと、チームとして回り始めた手応えがあります」。
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