
カネボウ化粧品のグローバルプレステージブランド「カネボウ(KANEBO)」は9月5日、朝用・夜用クリームをリニューアル発売する。肌を乾燥から守る“胎脂”の機能に着想した成分を新たに配合し、ブランドを象徴するアイテムとして日本を含むアジア10の国・地域での販売を強化する。
“胎脂”は、角層機能が未熟な胎児の肌を守り、出生時の急激な環境変化による乾燥から肌を守るはたらきを持つとされる。新クリームの共通成分として、保水性と抱水性をもつ胎脂の擬似機能成分を配合する。
“クリーム イン デイⅡ”【医薬部外品】[SPF30・PA+++](40g、9350円)は、ニコチン酸アミドとグリチルリチン酸ジカリウムを配合。肌荒れやニキビを防ぎながら、伸縮性のある塗膜技術によりスキンケア効果が長時間持続する。朝の使用後から夕方まで肌の潤いを保ち、乾燥や皮脂によるメイク崩れを防ぐ。初代製品に比べ紫外線防止機能も向上した。
“クリーム イン ナイトⅡ”【医薬部外品】(50g、1万3750円)には、ナイアシンアミドを配合し、真皮・表皮双方に働きかけ、シワを改善する。メラニンの生成を抑制し、シミやそばかすも防ぐ。塗布直後の潤い感が翌朝まで持続する処方で、洗顔後も柔らかくなめらかな肌へ導く塗膜技術により、夜間の乾燥から肌を守る。
クリームは「ブランドの宝物」
カネボウ化粧品は、胎脂に着想を得たクリーム開発において約30年にわたる研究実績を有する。同社は1994年に胎脂研究に着手し、翌95年にはその主要成分の化粧品原料化に成功。97年には、高い水分保持機能に着目した「ベビーソフトオイル処方」を採用した初のクリームを市場に投入した。
「カネボウ」は、2016年のブランド誕生とともに、ベビーソフトオイル処方を取り入れた朝用“フレッシュ デイ クリーム”と夜用“ナイト リピッド ウェア”を発売(現在も販売中)。20年には、同処方を進化させた“クリーム イン デイ”と“クリーム イン ナイト”を発売した。今回の新製品はその2代目にあたり、処方技術を一段と進化させた。
同ブランドにおけるクリームカテゴリーは、国内百貨店での販売実績で全体の2割強を占める。クリームは「ブランドの宝物」として位置づけ、主力製品として育成を進めてきた。木津裕美ブランドマネジャーは「クリームはスキンケアの最後に使う“肌のふた”であり、安心感をもたらす存在だが、見過ごされがちなカテゴリーでもある。私たちは、そこにこそブランドが掲げる“希望”を託したい」と語る。今回のリニューアルにあたっては「化粧品よ、大志を抱け」のメッセージを掲げ、機能性だけでなく、ブランドの価値観や世界観の発信にも力を入れていく。
販売が好調なタイでは、現地プロモーションも強化。バンコク中心部の大型商業施設「PARC PARAGON」にて、新クリームの体験イベントを開催する。会場には香港、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどからインフルエンサーを招致し、製品の世界観を発信する。
人生の“相棒”に
「カネボウ」は20年のリブランディング以降、ビジュアルやメッセージを通じて「既成概念にとらわれず、新たな自分に出会える感覚を届けたい」とし、ブランドの世界観に共感する顧客との関係性の構築に注力してきた。木津ブランドマネジャーは「化粧品が楽しく生きるための相棒となり、自分の肌やパーツをもっと好きになるきっかけになれば」と力強く語る。
これまで、口紅、美容液、化粧水、ファンデーションといった各カテゴリーにおいて、“希望”という視点から製品開発を進めてきた。今秋発売する新クリームも同様に、ブランドの信念を体現するアイテムとして、グローバル市場での訴求力を一段と高めていく。