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転換期のケリングでCEO交代 創業家外かつ異業種から起用の大胆人事

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PROFILE: フランソワ・アンリ・ピノー=ケリング会長兼CEO(左)、ルカ・デメオ=ケリング次期CEO

フランソワ・アンリ・ピノー=ケリング会長兼CEO(左)、ルカ・デメオ=ケリング次期CEO
PROFILE: フランソワ・アンリ・ピノー=ケリング会長兼CEO/1962年フランス・レンヌ生まれ。パリのHEC経営大学院を卒業し、87年にピノー・グループ(当時)に入社した。複数のグループ会社で要職を歴任した後、取締役に就任。2000年にはPPR(現ケリング)の副CEOに、03年には一族の投資会社でケリングの支配株主であるアルテミスの会長に就任。05年から現職。今後は会長職に専念する PHOTO:DOMINIQUE MAITRE/WWD ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC PROFILE:ルカ・デメオ=ケリング次期CEO/1967年イタリア・ミラノ生まれ。ルイージ・ボッコーニ商業大学を卒業し、92年にルノーでキャリアをスタート。その後、トヨタ ヨーロッパ、フィアット・グループ、フォルクスワーゲン・グループなどで主にセールスやマーケティング部門の要職を歴任し、2020年にルノーのCEOに就任。21年1月から23年2月までは、「ルノー」ブランドのCEOも務めた。9月15日付で着任の予定 PHOTO:COURTESY OF KERING ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などを擁するケリング(KERING)は6月16日、次期最高経営責任者(CEO)として、仏自動車メーカー、ルノー・グループ(RENAULT GROUP以下、ルノー)のルカ・デメオ(Luca de Meo)CEOを任命したことを明らかにした。ここ数年、業績不振に陥っているケリングの再建に手腕を発揮することが期待されるが、自動車業界で30年以上のキャリアを持つ半面、ラグジュアリー業界での経験がない同氏の起用はかなり思い切った人事といえるだろう。ここではデメオ次期CEOの経歴やアナリストらの見解、ケリングの現状などについてまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年6月23日号からの抜粋です)

デメオ次期CEOは、1992年にルノーでキャリアをスタート。その後、トヨタ ヨーロッパ(TOYOTA EUROPE)やフォルクスワーゲン・グループ(VOLKSWAGEN GROUP)などで要職を歴任し、2020年にルノーのCEOに就任。7月15日付で同社を離れ、ケリングの取締役会による最終承認を経て、9月15日付で着任する予定。これに伴い、創業者の息子であり、05年からケリングを率いてきたフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼CEOは会長職に専念する。なお、21年4月の年次株主総会で、取締役会は任期満了となるピノー会長兼CEOの任期更新を承認すると同時に、24年12月期の財務諸表を承認する年次株主総会の終了をもって更新分の任期も満了とすることを決定していた。

ピノー会長兼CEOは、「ケリングはこの20年で世界有数のラグジュアリー企業へと変化を遂げ、新たな段階に進む時期が来た。私は23年から当社のガバナンス体制の見直しを進めていたが、その中でルカと出会い、経営者としての優れた手腕やブランドに関する鋭い洞察力などに感銘を受けた。彼こそが新たなビジョンをもたらし、当社の次章を導くリーダーだと確信した。自信を持ってケリングを託すとともに、新たなステージに進む彼を取締役会会長として支えていく」と語った。

デメオ次期CEOは、「ケリングの新章を導くリーダーとして私を選任してくれた、フランソワ・アンリと取締役会に深く感謝している。この新たな挑戦に対し、情熱と意欲、そして自信を持って取り組んでいく。チームとともに、ケリングをラグジュアリー業界においていっそう不可欠な存在へと成長させていけるものと確信している」と述べた。

ルノーを離れるにあたり、「自動車業界以外の分野で新たな挑戦に取り組みたい」とコメントしていた通り、デメオ次期CEOは全く新たな領域でのチャレンジとなる。現在、ケリングはピノー会長兼CEOをトップとして、その両脇をブランド開発担当のフランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini)副CEOと、オペレーションおよび財務担当のジャン・マルク・デュプレ(Jean-Marc Duplaix)副CEOが固める布陣となっているが、それはデメオ次期CEOの着任後も変わらないという。ピノー会長兼CEOは、「ルカには、ラグジュアリーおよびファッション業界に関する力強いサポートが必要だが、当社にはそのいずれに関しても造詣の深いフランチェスカとジャン・マルクがいる」と説明。一方で、「私は今後も会長としてグループ全体の戦略的方向性に全面的に関与するが、事業の優先事項や組織、重要な人事などCEOの権限に介入したり、妨害したりすることは一切ない」と話し、いわゆる“院政”になるのではないかとの懸念を払拭した。

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