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廃棄しにくいものを回収するのも作る側の使命

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ビューティ賢者が最新の業界ニュースを斬る

ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、不要になった商品の回収とリユースの話。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月24日号からの抜粋です)

PROFILE: 渡邉弘幸/ウカ代表取締役CEO

渡邉弘幸/ウカ代表取締役CEO
PROFILE: (わたなべ・ひろゆき):東京都出身。明治大学卒業後、博報堂に入社。2009年の退社後、夫人でありネイリストとして活躍する渡邉季穂(わたなべ・きほ)の祖父が創業した向原(現・ウカ)に取締役副社長として入社。美容室「エクセル」からトータルビューティサロン「ウカ」へのリブランディングのほか、教育機関「ウカデミー」、オリジナルプロダクト・サロンメニューの開発を担うR&D、「ウカフェ」の立ち上げ、海外展開にも尽力。14年から現職

【賢者が選んだ注目ニュース】

衣料品・雑貨品回収サービス「アールループ」の記事は、僕自身マンション生活が長いということもあり注目した。僕が住むマンションにはありがたいことにゴミ置き場を清掃してくださる管理人がいる。分別のリテラシーは住民によってさまざまで、管理人が一つ一つビニール袋を広げて仕分けを行う姿を目にしている。住人の中には日中働いている人も多いだろうし、忙しい生活の中では意欲はあっても、リサイクルや分別のクオリティーに差が出てしまうのは仕方がないことだろう。そのために管理人がいてくださるのだとも認識している。
 

そういった事情も加味して、マンションに「アールループ」のようなサービスが導入されるのは画期的だと思った。しかも、燃やす、埋めるなどをしない100%リサイクルの証明を行い、資源のトレーサビリティを確保した回収プラットフォームを提供するという。マンションにこのサービスが入り込むことで、リテラシーの異なる住民が集まる都会のマンションのゴミ捨て事情は大きく改善されるだろう。設置されたリサイクルボックスに不要になった衣料品や雑貨をただ入れるだけなのだから。よくできたサービスだとしみじみと感じた。
 
実は僕たちウカでもリサイクルを目標に不要になったマニキュアとスカルプブラシ“ケンザン”の回収を行っている。マニキュアは10mLを一滴残らず使い切る人はほとんどおらず、廃棄に困るという声にずっと悩んできた。ボトルをアセトンに浸けておけば落ちるのだろうかとも考えていたが、ずっと解決の糸口を見つけられないでいた。
 
そんな中化粧品展に足を運んだときに、ふと高圧洗浄を得意とする企業のブースでマニキュアのボトルをきれいに清掃してリサイクルできないかと相談してみた。するとアイデアがあると言ってくれて、いくつかマニキュアのボトルを工場に送ったところきれいな状態に洗浄されて戻ってきたのだ。ボトルを溶解液につけ超伝導を与えることで、残ったマニキュアをきれいに落とし切ったという。それから僕らはストアで不要になったマニキュアを回収し、リサイクルして、近いうちに新たに充填して販売しようと考えている。
 
“ケンザン”については、回収しているもののどう形にしようか考えているところだ。シリコン製ゆえ溶解した後にどうするかが難しいのだ。しかし燃やさない、埋めないということを僕たちとしても取り組んでいきたい。捨てるのが嫌だなと思うものは作った側が回収するような仕組みを作るのが理想だろう。だからこそ、生活の中でインフラとして「アールループ」のようなサービスがスタートしたのは素晴らしいことだと思ったのだ。僕らの場合はストアに持ち込んでもらう形だが、マニキュアは2200本程度、“ケンザン”は1万個ほど回収が進んでいる。どちらも持ち込んでくれた人にはウカのポイントをプレゼントしている。どう廃棄するか悩むのであれば作らないという答えを出す大手メーカーもあるが、ウカとしては最後まで向き合ってモノ作りをしていきたい。

お客さまとコラボするウカのコラボはここから始まった

「ルシアン ペラフィネ」はウカが初めてコラボしてネイルオイルを作った相手だ。東京ミッドタウンがオープンしたときに同じフロアに出店し、昨年亡くなった創業デザイナーのルシアン・ペラフィネ氏はよくフットマッサージを受けにサロンに足を運んでくれていた。その縁もあり、「ルシアン ペラフィネ」が販売していたルームコロンの香りをネイルオイルに落とし込み、パッケージデザインをペラフィネ氏が手掛けてくれた。3000本を納品したときのことをよく覚えている。
 
以来、コラボや親交は続き、パリに行けば食事をしたり、お茶をしたり、仲良くしていただいていた。そんなよく知るブランドに、20代のころから先輩であり、親交のある野口強氏がアーティスティックディレクターに就任したと聞いて、とても興味が湧いた。野口氏のキャリアと美学が「ルシアン ペラフィネ」にどのように運用されるのか。よく知る大好きな人たちがタッグを組むという個人的な視点で注目した。

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