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宿泊もできる“サステナブルな複合施設”が京都に開業 コスメや食品の専門店を独自開発

 京阪電鉄などを運営する京阪ホールディングスとそのグループ会社のビオスタイルは12月9日、京都・四条河原町に複合施設「グッドネイチャーステーション」をオープンした。9層構造で、延べ床面積は約2万7000平方メートル。“循環型社会に寄与するライフスタイル「BIOSTYLE」の具現化”をコンセプトに掲げ、オーガニック食品や自然由来の成分のみを使用した化粧品などを販売、上層にはホテルも併設している。

 1階は、厳選したオーガニックの野菜や食材を並べるマーケット、テイスティングバー、レストラン、パティスリー。2階は、鹿児島の人気イタリアン「カイノヤ」の新業態など話題のレストランを集めた“プレミアムガストロノミーフロア”。3階は、ビューティーサロン「眠れる森の美女」、独自に開発した化粧品「ネモハモ(NEMOHAMO)」などを置くコスメストア、職人の工芸品をセレクトした雑貨店「カソケキ」が入り、4〜9階はホテル。隣接する高島屋京都店とは連絡通路で連結した。

 施設を手掛ける髙原英二ビオスタイル社長は「楽しみながら、健康的で信頼できるものを自分らしく取り入れられる“次世代のナチュラルスタイル”を提案する。全国の中でもSDGsに積極的で、環境への意識が高い外国人観光客が多い京都が最適な場所だった」と説明する。ホテルでは歯ブラシやカミソリ、ヘアブラシなど、使い捨てアメニティーは常備しない。物販でも可能な限り紙や木製の包材を使用。提供するフードメニューは皮や葉、根元まで使用することを心掛ける。

 「生ゴミは施設内で堆肥化し、近隣の畑に肥料として提供。そこで収穫した食材はレストランで使う。紙容器はコスト高だが、それでも新しいアクションを起こす価値の方が大事」と髙原社長。内装デザインにはグリーンウオールを各所に取り入れ、建物と敷地利用についての環境性能評価システムLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認証や、ホテルとしては世界で初めてとなる建物・室内環境評価システムWELL(WELL Building Standard)認証の取得も進めている。

コンセプトを貫くため自社開発・運営を重視。コスメは賞も獲得

 同施設はテナントを誘致せず、ホテルも商業店舗もビオスタイルが自社で開発・運営している。その中でも力を入れた目玉商品が、オリジナルブランドの化粧品「ネモハモ」と健康志向食品「シゼン ト オゼン(SHIZEN TO OZEN)」だ。「ネモハモ」は、ブランド名のとおり“根も葉も”植物をまるごと低温真空抽出法でエキス化して、植物の酵素やビタミン、ミネラルなどを生かしながらフレッシュなまま製品化。スキンケアラインとトイレタリーラインを揃え、ホテルではトイレタリーラインをアメニティーとしてそろえる。ソーシャルアクティビストチーム「マザー・アース」と日本環境協会エコマーク事務局が昨年末に発表した「サスティナブルコスメアワード」では、「ネモハモ」のブースターオイルが最優秀賞を受賞した。

 レストランも、同施設のみのオリジナル業態。1階のカジュアルダイニング「エルタン レストラン/バー」は、トランジットジェネラルオフィスがプロデュースし、運営している。イタリア・ミラノで日本人オーナーシェフとして初の一つ星を獲得した徳吉洋二シェフが監修する、野菜中心のメニューが特徴。素材本来の味を引き出すシンプルな調理法で、“食材も味も捨てない”徳吉シェフのスタンスが館のコンセプトと合致した。使う食材は、京都で採れる旬の野菜や有機野菜を中心に、施設内の生ゴミ堆肥を使用した循環こだわり農法の「近江たんぽぽ村」の米や、「宇治平飼いたまご」や「美山牛乳」など。野菜の皮や根、葉は、自家製の野菜ジャムにアレンジして提供している。まるでアフタヌーンティーのような3段のアンティパストスタンドと季節のパスタ、ドルチェ、ドリンクがセットになった「エルタンランチ」(税込2800円)は、すでに連日満席の人気メニューになっている。

 1階の「グッドネイチャーマーケット」は有機シイタケの原木を並べ、自分で“収穫”して購入できるエリアを設置。ほかにもワークショップスペースやギャラリーなど、「体験」をテーマにしたコンテンツが各階にそろう。「我々はオーガニックをテーマにしているわけではない。信頼できる生産者さんや作り手の真摯なモノ作りのストーリーを紹介し、体験という付加価値をプラスしている。価格に納得して購入してもらえたら嬉しい」と髙原社長。

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