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「自分の命は自分で」時代の“キラキラ”とは? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月4日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「自分の命は自分で」時代の“キラキラ”とは?

 西日本、特に九州の大雨は予断を許さない状況が続いています。7月2日には、気象庁が異例の記者会見。「非常事態」「深層崩壊」という言葉を繰り出し、「住民は、自らの命は自らが守らなければならない状況を認識して、早めの避難を」と呼びかけました。重たい言葉です。

 「命を守るため、一刻も早く逃げてください」ーー。先立ってNHKは東日本大震災を機に地震・津波に関するニュースの報道スタンスを変更、津波警報・大津波警報発令時の避難の呼びかけは語気が格段に強まりました。その訓練映像は、目にしたことがある方も多いでしょう。先日新潟県沖で発生した地震に際しても、発令されたのは津波注意報でしたが、NHKの報道には先日の気象庁の会見同様、重たさがにじんでいました。

 こういう報道を目にするたび、そして不安になるほどの雨、目の前で人が倒れるくらいの暑さを体感するたび、私たちは「地球、ヤバいかも」と実感し、決して少なくない消費者が「洋服なんて買ってる場合?」という志向に変化しています。正直、“服バカ”の僕でさえ、そう思うほどです。2020年春夏のメンズ・コレクションは、同じく「地球、ヤバい」と実感するデザイナーたちが、地球温暖化や海洋汚染、インクルージョンとダイバーシティーなどを強く、とても強く訴えました。

 けれど日本の展示会に行くと、なんだか呑気です。特にウィメンズは「今シーズンのテーマは、80年代の南仏で~」とか、実は心の中で「行ったことねーし。アナタは行ったことあるの?消費者は、知ってるの?」と思っているテーマから連想するスタイルを見せてくれます。キラキラしてます。素敵です。でも、「呑気にキラキラでいいのかな?」とも思います。結果、展示会場を出る時の感想はたいてい、「あんまりピンと来なかった」です。

 以前、異業種のPR、とは言えデザイナーともコラボするなど、ファッションとの距離は決して遠くない業界の住人に「ぶっちゃけ、ファッションの世界はどう見えていますか?」と聞いたことがあります。すると彼女は、「キラキラ、通じなくなってますから、ファッションは厳しいですよね」と言われてしまいました。ショックでした。でも、事実だと思います。

 キラキラが見せられる、キラキラで魅せられるのは、ファッション業界最大の武器だと思います。けれど、能天気なキラキラは、もはや消費者にとってマイナスイメージなのかもしれません。シリアスになりつつある世の中を、不安に思いながら生きる私たちが共感するキラキラとは何か?正直、それは「●●年代のナンチャラ」ではないと思うのです。

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