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シチズンは2020年も「バーゼル・ワールド」出展を継続

 シチズン時計は、世界最大の時計・宝飾見本市「バーゼル・ワールド(BASEL WORLD)」に出展を続ける。編集部からの問い合わせに、同社の広報担当者が答えた。「決定は夏頃だった」という。同見本市は、世界最大の時計企業であるスウォッチ グループ(SWATCH GROUP)やセイコーウオッチが出展を取りやめ、継続に黄色信号が点滅している。

 シチズン時計傘下の「シチズン(CITIZEN)」「ブローバ(BULOVA)」「フレデリック・コンスタント(FREDERIQUE CONSTANT)」「アルピナ(ALPINA)」、さらにムーブメントメーカーのミヨタ(MIYOTA)は従来通り「バーゼル・ワールド」に出展する。一方、同じく傘下でこれまで同見本市に出展していた複雑時計ブランドの「アーノルド&サン(ARNOLD & SON)」は、「バーゼル・ワールド」とライバル関係にある「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA、旧S.I.H.H.)」に出展する。広報担当者は「両見本市において各ブランドの魅力を発信し、グループ全体としてプレゼンスを示したい」と話す。

 1986年から「バーゼル・ワールド」に出展を続けてきたセイコーウオッチとシチズン時計だが、事業戦略はまったく異なる。セイコーウオッチはかつてスイスの時計ブランドを傘下に収めていたが、現在はライセンス契約を除いて自社ブランドのみ。一方のシチズン時計は、2007年にアメリカがルーツの「ブローバ」を、12年には「アーノルド&サン」やトゥールビヨンなどの複雑ムーブメントを開発・製造するメーカー、ラ・ジュー・ペレ(LA JOUX PERRET)を傘下に持つプロサー・ホールディングス(PROTHOR HOLDING)を買収。16年にはスイスの「フレデリック・コンスタント」と「アルピナ」も買収した。シチズン時計はムーブメントの外販にも力を入れており、ミヨタは海外の製品パンフレットにわざわざ“ミヨタ製ムーブメントを搭載”と書かれるほど技術力に定評がある。

 片や「バーゼル・ワールド」から撤退し、片や出展先を拡大――ムーブメントの外販を含めた売上高で世界トップ10に入る国内二大時計メーカーは、スイスを代表する2つの見本市への対応が鮮やかに分かれる形となった。残るカシオ計算機の動向も気になる。

渋谷ヤスヒト/オフィス・ノマド代表:1962年、埼玉県生まれ。大学卒業後、徳間書店に入社。文芸編集部を経て、「グッズプレス」編集部に配属。表紙撮影で出合った「ブライトリング」の“コスモノート”を購入したことをきっかけに時計にはまり、95年からスイス2大時計フェアや時計ファクトリーの取材を開始。2002年に同社を退社し、「エスクァイア日本版」の編集者などを経てオフィス・ノマドを設立。時計ジャーナリスト、モノジャーナリスト、編集者としての顔を持つ。趣味は料理