ビューティ

「買えないコフレを意図的にバズらせていいの?」 ファッションフリークOL「WWDビューティ」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のビューティ週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.14「編集部が選ぶ新商品情報」

読み解きポイント:「クリスマスコフレ争奪戦!バズらせたいのはわかるけど、本当に欲しいのは誰?」

ニュースのポイント

 今週の「WWDビューティ」編集部が選ぶ新商品情報は、ホリデー特集。毎年この時期になると「クリスマスコフレ」の話題でもちきり。パーティー用バッグにベストセラーシェードと限定版のリップを6本詰めた「ディオール(DIOR)」、人気のミニプロダクトが入ったアドベントカレンダーは「サボン(SABON)」、ミニサイズのベースメイクアイテムとブラシがおしゃれなバニティバッグに入った「アンプリチュード(AMPLITUDE)」、万華鏡のように輝く限定シェードが入ったアイシャドウパレットを出す「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」。クリスマスコフレでしか手に入らないアイテムが入っていたり、いつもより格段にお得だったりセットも多く、毎年争奪戦必須。

Azuはこう読む!

 クリスマスコフレが私のデパコスデビューでした。あれは確か高校3年生。化粧禁止の高校だったので眉毛の描き方すら知らない女の子でしたが、「アナスイ(ANNA SUI)」や「ポール&ジョー(PAUL & JOE)」など、見た目の可愛さだけで憧れていました。

 当時はネット注文できなかった気がするので、ドキドキしながら予約受付開始時間に電話をして無事予約。普段は買わない美容誌のクリスマスコフレ特集を見てたくさん悩んで買った「ジルスチュアート(JILLSTUART)」のコフレは、ショートケーキのようなバニティケースにまばゆいアイシャドウ、そしてふわふわフェザーでできたつけまつ毛(時代を感じますね)が入っていました。アイシャドウすらまともに塗ったことなかったのですが、ただひたすらに「持っているだけで気分が上がる、可愛い」という理由で買った、私の初めてのデパコスです。

 時は流れ、今では立派なコスメ好きに成長しました。服に合わせて肌質を変えたりメイクのカラーをリンクさせたり、ファッションフリークとしてのアプローチでビューティを楽しんでいます。

 美容情報はSNSでもチェックするのですが、先日こんなツイートが流れてきました。「バズらせたい気持ちはわかるけど、みんな命がけで買おうとしてるのだから、クリスマスコフレはインフルエンサーに配っちゃダメだと思う。買えない人も出てくるのにブランドが意図的にバズらせるのは違うと思う」という意見です。このあとに、インフルエンサー自身を否定しているわけではなく、そういう状態を作り出すブランド側に憤っていると付け足していました。

 「コフレ インフルエンサー」などで検索すると、こうした憤りの声が出てきます。中には、まだ発売前のコフレがフリマアプリに定価の倍額で出品されているとのツイートも……。さすがにこれは怒りますよね。だってその商品が本当に欲しくてシフトをずらして発売日に並んだり、PCの前にかじりついたり、普通は買うための努力をするんですから。

 とはいえ、発信してくれる人がいないとコスメ戦国時代では生き残れないというジレンマもあります。雑誌に載れば必ず知ってもらえるという時代ではないし、どこもファンを飽きさせない趣向を凝らした商品を毎年提案するので、コフレ戦争は一層激しくなるばかり。多くのフォロワーを抱えているインフルエンサーにPRやギフティングによる任意の宣伝をしてもらうのも、広報手段の一つであることは確かです。

 でも、熱い想いを持つ消費者は、(言い方は悪いけれど)単純な情報拡散に騙されたりはしません。むしろその方法を誤ると「信頼してたのに裏切られた」と感じてしまい一気に熱が冷めてしまいます。私もいち消費者としてがっかりすることがよくあります。

 今回のプチ炎上は、もしかしたらブランド側には届かないくらいの火かもしれませんが、確実に消費者の印象は悪くなっています。せっかくみんなに年に一度のサプライズと幸せを届ける「クリスマスコフレ商戦」、後味もよろしく、もう少しシンプルにPRできませんか?

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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