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フリーランス美容師向けのシェアサロンが2.6億円の資金調達 2022年秋までに100店舗を目指す

 2017年11月に東京・原宿に1号店をオープンしたフリーランス美容師向けのシェアサロン「ゴウトゥデイ シェア サロン(GO TODAY SHAiRE SALON)」(以下、「ゴウトゥデイ」)。今年に入り出店を加速させ、現在の店舗数は原宿、青山、銀座、福岡、神戸、大阪、広島など10店舗となっている。9月には神奈川県の横須賀、10月には名古屋への出店も決まっている。8月22日には新たにWベンチャーズ(W ventures)、BGベンチャーズ、フリービットインベストメントらから2億6000万円の資金調達を行い、累積資金調達額は3億2000万円。さらに店舗を増やし、22年秋ごろをめどに全国100店舗体制を目指すという。

 今年6月の時点で、「ゴウトゥデイ」10店舗の月間流通額は4500万円、月売上高は1468万円、来店者(決済者)数は4407人。月額で契約している美容師数は100人強、スポット利用(1回利用)を含めると300人以上が利用している。美容師のフリーランス化が話題となる中で、シェアサロンの役割とは。同社の経営を担当する大庭邦彦代表と、フリーランス美容師として現場を管理する大池基生取締役に話を聞いた。

WWD:今回はW venturesなどから2億6000万円の資金調達を行った。調達した資金はどう使っていく予定か?

大庭邦彦(以下、大庭):店舗出店とITへの投資です。今後は出店を加速させ、2022年秋ごろまでには100店舗を目指します。ITへの投資については、美容師とお客さまをつなぐ独自のアプリを開発中です。店舗で得られたデータを活用し、自社ECやPB(プライベートブランド)ヘアケアも展開していく予定です。

WWD:「ゴウトゥデイ」を利用する美容師は増えている?

大池基生(以下、大池):原宿、青山を中心に増えています。現在月額契約が100人強、スポットを含めると300人以上が利用してくれています。年齢層は21~60歳までと幅広く、男女の比率は6:4くらいです。美容師以外にもネイリストやアイリストの利用も徐々に増えてきています。

WWD:シェアサロンと面貸しサロンの違いは?

大池:面貸しサロンの場合は、個室ではなくサロンの1席を借りて施術するといった感じですが、「ゴウ トゥデイ」の場合は仕切られた個室となっているのが特徴です。美容師にとってもお客さまにとっても、面貸しサロンと比べると居心地がよく、しかも基本的にはマンツーマンで接客するので、満足度も高まります。24時間利用できるのも喜ばれています。

WWD:月額プランは3つ(そのうち1つは青山店のみ)あるがそれぞれの違いは?

大池:Aプランは月5万円+技術売り上げの25%、Bプランは月3万円+技術売り上げの30%となっていて、売り上げ40万円以上だとAプラン、それ以下だとBプランの方がおすすめです。青山店のみCプラン(月2万円+技術売上20%)を用意しています。またFC店舗である「センター北」店は別の料金体系となっています。月額プランの場合は、サロンの共通のレジを使用するので、一旦「ゴウトゥデイ」に入金され、そこから経費などを差し引いて個人の美容師にお支払いするといった流れです。

WWD:スポット利用のプランは?

大池:平日だと30分750円、土日・祝日だと30分1200円です。サロンにあるカラー剤などを使用する際は別に材料利用料が必要です。また10~21時以外の利用だと別途追加利用料をいただきます。スポット利用は、ヘアメイクさんや地方の美容師さんが東京に来たときに使用するといったケースが多いです。

WWD:業務委託サロンの場合、サロンが集客してくれるケースも多いが、「ゴウトゥデイ」の場合は自身で集客を行う?

大池:そうですね。基本的には美容師自身で集客してもらいます。ただ「ゴウトゥデイ」は駅前の好立地な場所を中心に出店しており、かつ個室なので、満足度の高い環境を提供できるようにしています。

WWD:売り上げの高い人だとどれくらい売り上げがあるのか?

大池:多い人だと月150万~160万円いく人もいます。ただカットやカラーといった技術売り上げだけだと、1人だと限界もあるので、今後発売されるPBなど店販で売り上げを上げられる仕組みも考えています。

WWD:フリーランスの美容師だと、将来が心配になったりするのでは?

大池:働き方を自分で決められる分、美容師以外の仕事もしたり、ある程度お金をためて自分のお店を出したりする人もいます。中には「ゴウトゥデイ」の社員になる人もいますね。普通の美容室に所属していると、拘束時間の割に給料が低いといったケースも多く、離職率も高い。フリーランスだと時間的な余裕ができるので、その余った時間でいろいろできると思います。女性美容師だと出産などで、美容師を辞めてしまうケースも多いですが、そうした人にはフリーランスとしてシェアサロンを利用してもらえればと思います。

WWD:「ゴウトゥデイ」を利用するメリットは?

大池:「ゴウトゥデイ」を利用することで、所属するフリーランス美容師のコミュニティーに参加でき、そこで情報交換できるのが強みです。ベテラン美容師が若手美容師に向けて有料でレッスンを行うなど、美容師同士でサポートしあえる仕組みもできています。各サロンにはコミュニケーションマネージャーがいるので、所属美容師が働きやすく、コミュニケーション取りやすいようにしています。

WWD:全国の主要都市への出店を進めているが、出店場所はどう決めている?

大庭:現在、多くの美容師から「私の地元にも出店してほしい」という要望をいただいています。その中から市場のニーズが高そうで、いい物件が見つかれば積極的に出店していきたいと考えています。

WWD:「ゴウトゥデイ」が目指すものは?

大庭:僕らはサロン版の「WeWORK」を目指しています。シェアサロンを作ることは、人と人がつながる場所をつくること。そこでコミュニティーが生まれ、新たなビジネスが誕生する可能性もあるので、楽しみです。

大池:「ゴウトゥデイ」を通じて、仲間を増やしていきたいです。シェアサロンというよりは、新しい働き方を広めていければと思っています。

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