ファッション

パリメンズ復帰の「ジバンシィ」は、部下の自由なジャケットスタイルに影響を受けて

 「ジバンシィ(GIVENCHY)」は、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)がアーティスティック・ディレクターに就任して以来初めてパリメンズに参加し、プレゼンテーションを開催した。

 メンズ担当の筆者がクレアと直に話すのは、彼女が「クロエ(CHLOE)」で働いていた頃よりも前、「プリングル・オブ・スコットランド(PRINGLE OF SCOTLAND)」でクリエイションを手掛けていた時以来。久々に会うと、しなやかで自然体の女性ながらビズ(頬を重ねる挨拶のこと)は意外にも力強く、あれから随分長い時間が経ち、彼女自身も変化したことを感じさせる。クレア本人によるプレゼンテーションも淀みなく明確。長い時を経て、自身のしなやかさに対する自信を増したのか、それとも、力強さという別の武器を手に入れたのか、そんな印象だ。

 2019-20年秋冬コレクションは、かすみ草の花畑から現れたシャープ&エレガントなテーラード、ターコイズブルーのセットアップにオレンジのシャツというフォーマルから始まった。フレアするパンツはエレガントながら、肩のラインを筆頭にシルエットはシャープ。ウィメンズ同様、「クロエ」や「プリングル・オブ・スコットランド」時代に比べ、力強さを増した。

 「ロックなバンドTシャツにジャケットみたいな、同僚のエクレクティック(折衷主義)なスタイルに影響を受けているの。とても可愛らしいのに信念があって、洗練されているのにやんちゃなくらい若々しい」。クレアは、インスピレーション源についてこう話す。前述のポップなカラーのシャープなテーラリングは、代表例。その後も化繊素材がフリルのようになびくブルゾン、フォーマルにカジュアルなスキーブルゾンレイヤードなど、ストリートの発想を取り入れたフォーマルスタイルが続いた。

 フォーマルのシルエット自体は、正直、日本人にはハードルが高い。ただ、アイデアは受け入れやすいし、これからの時代のフォーマルの1つの方向性だろう。

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