ファッション

パリで見つけたシューズブランド後編 27歳の芸術家が手掛けるストーリー性あふれるシューズ

 2018-19年秋冬パリ・ファッション・ウイークで「WWDジャパン」チームは100以上のブランドを取材し、紙やウェブ、セミナーなどで情報を発信してきました。それでもあまりの量に伝えきれていない情報もあるので、今回は自他共にシューズラバーと認める記者がパリで出合った2つのシューズブランドを前後編で紹介していきます。

 2つ目に紹介したいブランドは「ユージーン リコノー(EUGENE RICONNEAUS)」です。このブランドを知ったきっかけは、ダイレクトメールで届いた展示会の案内でした。そのメールに添えられた、ペインティングが施されたシューズの写真を見て、直感で“おもしろいことやってそうだな”と思い、展示会をのぞいてみることにしました。

 自身の名を冠したシューズブランドを立ち上げたユージーン・リコノーは、フランス中央部のブロワという、かつて王族が住んでいた街で生まれ育ち、シューズデザイナーの他に、アーティスト、フォトグラファー、スケートボーダーなど、あらゆる肩書きを持つ、いわゆる“スラッシャー”です。

 彼のシューズブランドはメンズ・ウィメンズ両ラインをそろえ、ウィメンズはサンダル、パンプス、ブーツ、スニーカー、フラットなど種類も豊富。パンプスで495~750ユーロ(約6万5000~9万9000円)程度の価格帯です。彼の故郷や王家に対する思い入れは強く、パンプスの後ろに付けた王冠のようなメタルパーツは、ブランドのシグネチャーデザインとなっています。

 その一方で、彼にはスケートボードやストリートカルチャーに傾倒する一面もあります。彼がキャンバスの上にスケートボードを走らせ制作したという作品の中には、縦横2mにもおよぶ巨大なものも。ユージーンが自分のシューズを「最高の素材と技術を駆使して、自分のアートワークを投影した作品」だと説明するように、アート作品とシューズデザインがしばしばリンクしているのも特徴です。

 技術の高さやシルエットの美しさはもちろんですが、それ以上に“一つ一つにストーリーを持たせた靴作り”をしている点がこのブランドに惹かれた一番の理由です。例えば、インソールにファーを、アッパーにグリーンのサテンを使用したフラットシューズ“シンデレラ”があります。ガラス製でもないし、ハイヒールでもない、さらにはファーを使用しているのに、なぜ“シンデレラ”?と思って理由を聞いたところ、「シンデレラのもとになった話に登場した靴は緑だった。さらに、フランスの童話作家がシンデレラの話を作った時には“毛皮の靴”を履いていたと書いたはずが、これをフランス語から英語に翻訳する時に、“vair(毛皮)”が“verre(ガラス)”と誤認されたという説がある。これらの話から、『本来のシンデレラの靴はこうだっただろう』とイメージしてこの靴を作った」と説明されました。

 こうした、ストーリーが込められたシューズは他にはない魅力であり、ユージーンのモノ作りに対する情熱やユーモアは若手ならではだと感じます。ユージーンの他にも、25歳のマリーン・セル(Marine Serre)や28歳のサイモン・ポート・ジャックムス(Simon Porte Jacquemus)ら、パリではたくさんの若いデザイナーが台頭してきていることを実感したパリコレ取材でした。

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