ファッション

若手売れっ子スタイリストに聞く挑戦することの重要性

 入江陽子さんは、「ナイロン ジャパン(NYLON JAPAN)」や「ギンザ(GINZA)」から「装苑」「パーク(PERK)」「フラウ(FRaU)」「エル・ジャポン(ELLE JAPON)」「ヴォーグ ガール(VOGUE GIRL)」まで幅広い女性ファッション誌で活躍している若手注目スタイリストだ。モードにストリート感を加えたスタイルを得意とする彼女は、「WWDジャパン(WWD JAPAN)」6月19日号の表紙と特集のスタイリングを担当した他、最近では「ニアーニッポン(NEAR NIPPON)」や「トゥエンティミリオン フラグメンツ(20,000,000 FRAGMENTS)」「ショウ クラシナ(SHOU KURASHINA)」「イン(IHNN)」「ザ・ダラス(THE DALLAS)」など東京ブランドのルックブックでも実力を発揮。また、3月に行われた「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」では、初めてランウエイショーのスタイリングも手掛けた。活躍の場を広げる入江さんに、スタイリストを目指したきっかけや今の仕事、今後の目標を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):スタイリストを目指したきっかけは?

入江陽子(以下、入江):中学から趣味でダンスをやっていて、衣装を探したり作ったりしていました。ファッションに興味を持ったきっかけは、MTVで見た海外アーティストのミュージックビデオ。その衣装を見てファッションの仕事がしたいと漠然と考えるようになり、上京して文化女子大学に進学しました。入学したときはデザイナーになりたかったんですが、勉強しているうちにデザイナーという存在は大きすぎ、自分はそういうことをしたいわけじゃないと感じて。卒業間近にスタイリストを目指すことを決めました。

WWD:スタイリストとしての経験はどのように積みましたか?

入江:タレントなど芸能人を手掛けるスタイリストさんのアシスタントとして2年半ほど働き、その後、長瀬哲朗さんの下で経験を積みました。長瀬さんは決まった手法がなく、常に新しいことに挑戦している方。毎回の撮影が楽しくて、なかなか独立したいという気持ちが生まれず、3年ほどアシスタントを務めた後、2013年に独立しました。

WWD:独立後はフリーランスとして活動されていました。最初から順調でしたか?

入江:やはり独立してすぐは、割と急だったこともあり、仕事がなく正直きつかったですね。アシスタント時代は自分を出さずに真面目に“黒子”に徹していたので、要領が悪かったし、業界内のつながりもあまりありませんでした。軌道に乗り出したのは「ナイロン ジャパン」での仕事を始めたくらいから。それまではオリジナリティーにこだわりすぎていたんですが、その考えが柔軟になってきたことも大きかったのかもしれないです。物撮り(商品撮影)もやるようになって、仕事の幅も広がりました。

WWD:スタイリストの仕事ってどんなものがありますか?

入江:仕事内容はファッション雑誌から、広告、アーティストや芸能人のスタイリング、テレビドラマや映画、ブランドのルックブック、カタログ、ファッションショーまでいろいろありますね。人によって、どこをベースにしているかも異なります。

WWD:スタイリングにおける自分の哲学やルールは?

入江:哲学というほどではないですが、“心地いいバランス”を大事にしています。見てて楽しくなったり、気分が上がったりということも大切。アイテムの強弱や色の合わせ方などでリズムを付けたグラフィカルなレイヤードスタイルが好きです。単に着せるだけでなく、モデルが動けるということも心掛けています。

WWD:最近はパリコレも見に行っているようですが、そのきっかけは?

入江:海外のファッション・ウイークに行くきっかけになったのは、スタイリングを担当していた福島リラさん。15年9月にニューヨーク(NY)で行われた「ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(GIVENCHY BY RICCARDO TISCI)」の16年春夏コレクションのショーに出席する彼女に同行していたのですが、そこで世界を知る重要性やグローバルな視点で“本物”を生で見ることの大切さを教えてもらいました。会場に流れる空気から来場者のファッションまで、そこにいないと分からないことはたくさんありました。もともとパリコレにはずっと行きたい気持ちはあったけれど、その間仕事を休む勇気がなかったんです。でも、NYに行ったことがきっかけで考えが変わり、2017年春夏シーズンからはパリに行き始めました。王道ブランドはもちろんですが、ちょうどパリにもストリート感のある若手ブランドが次々に出てきているときでクラシックとは違うパリも見れたことで本当に行ってよかったし、続けていこうと思いました。ただ、同時に本当に見たいショーのチケットが出ず悔しい思いもしたし、まだまだだなーと初心に戻りました。「セリーヌ(CELINE)」と「ロエベ(LOEWE)」のショーは、いつか生で見たいですね。

WWD:17-18年秋冬シーズンは、パリから帰国後すぐに、「アマゾン ファッション ウィーク東京」に参加した「ファイブノット(5-KNOT)」と「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」のショーのスタイリングを手掛けていましたね。

入江:お声掛けいただいたのでやってみようと思いました。ランウエイショーのスタイリングは初めての経験でしたが、単純に楽しかった。デザイナー自身とすごく近くで接して一緒に作り上げていくという達成感を強く感じましたし、これからも依頼があればやっていきたいですね。スタイリストは、いつも新鮮なことをしていないといけない職業。同じことの繰り返しはなしだと思いますし、そういう危機感は常に持っています。

WWD:今後の目標は?

入江:ゆくゆくは海外の雑誌の仕事もしたいし、海外アーティストのスタイリングにも興味があります。いつも自分はまだまだだと思ってるので、今後もやったことがないことに挑戦し続けていきたいです。