東京藝術大学の大学美術館(東京都台東区上野公園内)で「別品の祈り−法隆寺金堂壁画−」が開催中だ。伝統と革新的技術を融合させた新しい文化財保護として注目されるもの。同大卒業生である舘鼻則孝「ノリタカタテハナ」デザイナーは、「我が母校の革新的な展覧会。文化財保存学専攻という特別な学科が中心となり、1949年に焼損した法隆寺の金堂壁画を元の姿へと復元するプロジェクトだ。現代の最新テクノロジーであるコンピューターグラフィックスや東京藝術大学アートイノベーションセンター特許保有の高解像度壁画印刷技術を駆使し、本来の姿まで戻すということは、現代においてのみ可能なことで過去には不可能なものだった。さらに同大文化財保存学専攻日本画研究室の手彩色による復元技術は、世界唯一とも言える技術力の高さを誇っている。このような実績をもとに過去から未来へと受け継がれていく『伝統』と『革新』を、未来の日本文化として多くの人々に見てもらいたい」と説明する。
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1949年に焼損した法隆寺旧金堂壁画を全面原寸大で焼損前の姿に復元するとともに、最先端技術のスーパーハイビジョン(8K)プロジェクターを用いて、法隆寺金堂をテーマとした超高精細映像表現作品を展示。焼損前に撮影されたガラス乾板やコロタイプ印刷、画家による模写などの資料をもとに、最先端のデジタル技術によって画像を統合し、さらに、本学がもつ壁画複製特許技術を用いて制作することにより、東京美術学校から受け継がれてきた「伝統」に、「現代」を織り込んだ新しい模写を提示する。
文部科学省と科学技術振興機構「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM, COI-T)」の研究課題の一環で、東京藝術大学が培ってきた芸術の発想力を最先端デジタル技術の開発に導入する高次元なハイブリッドによって、決して科学技術のみでは到達できなかったイノベーティブな技術開発と高品質な文化コンテンツの開発を行なっていく。法隆寺と東京藝術大学は、旧・東京美術学校時代からのつながりがあり、フェノロサや岡倉天心による明治期の調査や金堂壁画再現模写事業を始め、法隆寺所蔵の文化財保護と継承に努めてきた経緯がある。会期は4月26日〜6月22日まで。
■展覧会:別品の祈り−法隆寺金堂壁画−
会期:2014年4月26日(土)- 6月22日(日)
10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(4月28日、5月5日は開館)、5月7日(水)
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館
観覧料:無料
主催: COI-T「「感動」を創造する芸術と科学技術による共感覚イノベーション」実行委員会
(東京藝術大学、JVCケンウッド、情報通信研究機構、NHKエンジニアリングシステム、NHKエンタープライズ、NHKプロモーション)
後援: 法隆寺
問い合わせ先:ハローダイヤル 03-5777-8600