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4年で美容室1500店舗に導入された「テオン」 鹿児島の農園発、営業は自力、異色の化粧品ブランドが描く売上高40億円への道筋

PROFILE: 小西裕也SOOM社長

小西裕也SOOM社長
PROFILE: (こにし・ゆうや)大学院で化学を専攻。修了後、繊維会社に入社し、開発職を経て営業職に転身。その後、営業会社で年間400人以上の経営者との面談を重ねる。2022年にSOOMを設立し、代表取締役に就任。鹿児島の自然素材を生かした100%自然由来のコスメブランド「TE.ON(テオン)」を展開する PHOTO : TAMEKI OSHIRO

鹿児島県の約4000坪の農園で植物を栽培し、原料の抽出から手掛ける化粧品ブランド「テオン(TE.ON)」が事業を拡大している。2022年のブランド誕生以降、美容室への直接営業で販路を開拓し、約4年で全国約1500店舗に拡大、年商数億円規模に成長した。近年は「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」など一般小売店にも販路を広げ、北米・台湾への進出や新ブランドの立ち上げも計画する。「テオン」として売上高30億〜40億円を視野に入れる小西裕也SOOM社長に、独自の製造体制と販路戦略、「テオン」以外の次の事業構想を聞いた。

WWD:まず、起業までの経緯を教えてほしい。

小西裕也SOOM社長(以下、小西):昔から経営をしたいという思いがありました。理屈で考えることが好きだったので理系に進み、大学院では高分子化学を専攻しました。その後、上場企業の仕組みを知りたいと考え、繊維メーカーに入社。研究開発を担当した後、2年ほどで営業に異動しました。技術を理解した上で営業ができる人材が社内にはほとんどいなかったので、それが自分の強みになり、売り上げも伸ばすことができました。

その後、もっと営業力を試したいという思いから、IT関連のベンチャー企業に転職しました。経営者に直接営業する仕事で、年間500社以上の経営者と話していました。いずれ自分で事業をしたいと考えていたので、さまざまな業界やビジネスモデルを知ることができたのは大きかったですね。

WWD:そこから化粧品事業にたどり着いたきっかけは。

小西:営業先で出会った鹿児島の経営者が、現在の当社の役員です。その人に誘われて鹿児島を訪れた際、親族が20年ほど前から取り組んでいた畑を見せてもらいました。そこで化粧品の原料を作っていると聞いて、すごく面白いと思ったんです。

それまで多くの経営者と話す中で、既存の市場で競争する難しさを感じていました。でも、畑で植物を育てるところから化粧品の原料を作ることは簡単にまねできない。そこに事業としての可能性を感じ、会社を立ち上げました。

WWD:21年に会社を設立し、22年に「テオン」を立ち上げた。

小西:「テオン」は一言で説明するなら、鹿児島の畑で木を植えるところから作っているブランドです。僕自身は化粧品ブランドというより、原材料メーカーに近い感覚を持っています。
現在は鹿児島に約4000坪の農園があり、20種類以上のハーブなどを育てています。収穫した植物を乾燥、粉砕してエキスを抽出するところまで自分たちで行い、ツバキ油も種から搾っています。製品によって異なりますが、原料の半分以上は自社のものを使うことを基本にしています。

効率だけを考えれば、こうした作り方は選ばないと思います。ただ、実際に畑で草むしりをして、植物を育てている人がいる。そこを大切にしたいので、原料から作る姿勢は変えません。

美容室への直接営業で1500店舗に拡大
売上高は数億円規模に

WWD:立ち上げ当初から美容室を主な販路に選んだ理由は。

小西:理由は2つあります。まず、当時の美容室向け市場には、日本の畑で育てた植物を原料にした製品がほとんどなかったことです。後発ブランドでも差別化できると考えました。もう一つは、美容師さんがお客さまに実際に使ってくれることです。店頭に並んでいる製品を見て買うのではなく、美容師さんにつけてもらって「いい」と思ったから買う。その販売方法がブランドに合っていると思いました。

WWD:サロン専売品市場は販路開拓が難しいとされる。

小西:最初はヘアオイルを持って、自分で美容室を回りました。当時はヘアオイルの市場規模が大きかったので、まずそこに参入しようと考えたんです。最初の1カ月で約100店舗と契約できました。以前の会社でも飛び込み営業をしていたので、美容室を一軒ずつ訪問することに抵抗はありませんでした。

WWD:現在は約1500店舗まで拡大している。

小西:最初は東京と大阪を中心に営業しました。特にトップ美容師の人たちが製品をどう評価するかは重要だと考えていました。当社の役員には「ミンクス(MINX)」出身の美容師がいて、そのつながりなどから美容師を紹介してもらいました。取扱店舗が増えるにつれ、美容師同士の紹介やSNSでの発信から新たな取り引きにつながるケースも増えていきました。

これまでに取り引きした美容室は約2500店舗で、現在実際に取り扱っていただいているのが約1500店舗。北海道から沖縄まで広がっています。今も自社スタッフが月100〜200店舗近くを新たに開拓しています。売り上げの約9割は自社の営業スタッフが作っていて、ディーラー経由は約1割です。美容室向けメーカーとしては珍しい形だと思います。

WWD:事業成長の転機となった製品は。

小西:最初はヘアオイルですね。それ以前は入浴剤やルームスプレー、ディフューザー用の精油などが中心でしたが、ヘアオイルの発売を機に、美容室で継続的に使ってもらえるようになったことが経営上も大きかったです。

次の転機は22年秋に発売したヘアバターです。ヘアスタイリングだけでなく、顔や体にも使える製品で、香りや質感が評価されました。現在はこのヘアバターがブランドの売り上げの半分以上を占めています。

WWD:売り上げはどうか。

小西:初年度から翌年度には約9倍弱と成長。その後も売り上げは伸び続け、現在は年商数億円規模になっています。

小売販路を拡大、27年には直営店の開設も計画

WWD:25年には一般小売店への展開も始めた。

小西:大きな目的は認知の拡大です。2年ほど前から小売店側から取扱いの話をいただくことはありましたが、当時は美容室でブランドを育てている段階だったので、お断りしていました。今は認知を広げていく段階だと考え、「コスメキッチン」などへの展開を決めました。

ただ、美容室を主力販路とする方針は変わりません。現在も売り上げの約8割を美容室が占めています。サロンと一般小売店では販売価格を分け、美容室での取扱いにも配慮しています。

WWD:25年にはリブランディングも実施した。

小西:将来的に海外でも販売していきたいという考えがあり、ロゴをもっとシンプルで、生活になじむものに変えたいと思いました。ブランドディレクターを変更し、制作チームも一新しました。僕たちは畑で植物を育て、原料を抽出するところから製品を作っていますが、その工程をお客さまに十分伝えられていませんでした。映像なども使って、どのように作っているのかを伝えていきたいと考えています。

WWD:そういったブランド体現の場としてリアル店舗も考えているのか。

小西:「テオン」の難しいところは、モノづくりの工程を説明しようとすると、どうしても長くなってしまうことです。ツバキの種の搾り方や植物エキスの抽出方法、精油の蒸留方法まで話すと、きりがありません。

実際、イベントでお客さまに「畑から作っていることを知っていますか」と聞いても、知らない人が多いんです。製品を気に入って使ってくださっていても、その背景までは伝わっていない。だからこそ、原料の栽培や製造工程を知ってもらえる場所が必要だと思っています。

27年は百貨店への出店や直営店の開設を目指しています。直営店は自由が丘なども候補に考えていて、農園や蒸留の工程などを感じられる店舗にしたいですね。

北米・台湾への進出を視野に
27年には新ブランドも立ち上げ

WWD:海外展開はどの地域を想定しているか。

小西:まずは北米と台湾。オーガニックへの需要があり、製品の価値に対して対価を支払う文化がある市場から始めたいと思っています。

アメリカではすでに、もともと緑茶などを流通している企業に「テオン」の物流も乗せてもらっています。まだ始まったばかりなので、これから物流や販売のパートナーを探していく段階。28年には海外にもいくつか拠点を作れたらと考えています。

WWD:ブランドとして、どの程度の事業規模を目指すのか。

小西:「テオン」としては、売上高30億〜40億円くらいまでかな、と。何百億円、何千億円という規模を目指しているわけではありません。

今はオーガニック化粧品ブランドがたくさんありますし、OEMメーカーの技術も高いので、似た製品を作ることは難しくない。でも、うちのように畑から原料を作ることは簡単にはまねできないので、その領域で勝負したいと思っています。

ナチュラル・オーガニック化粧品全体で一番になるというより、「日本の素材で作られた化粧品といえば『テオン』」と言われるブランドにしたい。海外では「日本のオーガニック化粧品を買うなら『テオン』だよね」と思ってもらえることが目標です。

WWD:会社として次の動きは。

小西:もう少し手に取りやすい価格帯で、バラエティーショップなどで販売できるブランドを作りたいと考えています。「テオン」は原料に関する条件が厳しく、今は数千個単位でしか生産できません。新しいブランドではその条件を少し緩め、数万個単位で生産できる製品を目指します。

日本の原料に化学の力も組み合わせたハイブリッド型のブランドを考えています。すでに試作を進めていて、立ち上げは27年の予定です。これまで作った美容室への販路を、新しいブランドの販路でも活用できればと考えています。

WWD:原料の生産体制も拡大するのか。

小西:鹿児島ではすでに農園を増やすための契約を進めています。現在は約4000坪ですが、将来的には1万坪くらいまで広げたい。自分たちだけですべてを管理するのは難しいので、契約農家も増やしていきたいですね。さらに、国内の各地域にアンテナショップのような拠点を作りたいと考えています。そこに蒸留機を置いて、その土地の植物から精油などを抽出する。その原料を鹿児島に集め、新しい製品を作ることができれば面白いと思っています。販売だけでなく、原料作りもできる拠点を各地域に設けたいです。

WWD:最後に小西さん自身が事業を通じて実現したいことは。

小西:大きな話になりますが、日本がもう少し成長してほしいという思いがあります。日本の原料を使った製品を海外に販売すれば、外貨を獲得することもできます。小さな規模かもしれませんが、日本の経済に貢献したい。

もう一つは、子どもたちが幸せに暮らせる社会を作りたいということです。子どもが減って、プールや遊園地が閉鎖されるという話を聞くと、もったいない、悔しいと思うんです。自分が事業で利益を出せるようになれば、そういう場所を支えることもできるかもしれません。

まずは会社として、従業員にもっと還元できる体制を作りたいです。子どもが生まれた社員にも十分な支援ができるようにしたい。まだ会社としても自分自身もそこまで稼げていないので、これから実現していきたいと思っています。

「テオン」公式オンラインサイト

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