ファッション

LVMHの一般公開イベント“レ・ジュルネ・パルティキュリエール”が4年ぶりに復活 各国で職人技を披露

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、アトリエや工房を一般公開するイベント“レ・ジュルネ・パルティキュリエール(Les Journees Particulieres)”の第6回目を開催した。4年ぶりの復活となった今回は、45のメゾンが12カ国、計69カ所の会場を特別に開放して3日間にわたり実施した。スタートに先立ち、パリのデパート、ラ・サマリテーヌ(La Samaritaine)では、卓越した技術を持つ職人を表彰する式典“LVMH ヴァチュオーズ(LVMH Virtuosos)”が催された。“ヴァチュオーズ”とは、グループが掲げる職人技術・サヴォアフェールの継承プログラムにおいて、卓越した技能や情熱、指導力を持つプロフェッショナルへ贈られる称号、またはその受賞者を指す。

レ・ジュルネ・パルティキュリエールに込めたアルノー氏の思い

LVMHのアントワーヌ・アルノー(Antoine Arnault)イメージ&環境担当ディレクターであるがホストを務めたローンチイベントには、69人の職人たちが集結した。ジュエリーメゾン「フレッド(FRED)」がデザインした特別なピンバッジが贈られ、来場者からの拍手で迎えられた。

アルノー氏は開幕前のプレランチディナーで、ラグジュアリー市場を取り巻く厳しい環境に触れつつ、「AIの時代だからこそ、画面越しではなく、自らの手業に誇りを持つ職人たちと直接対話できるリアルな場が必要だと感じた」とコメントした。今回参加するメゾン数を精選し、数字上の動員記録よりもビジネスの核となる人間性や職人精神に焦点を当てたイベントであることを強調した。

「セリーヌ」はプレタポルテのアトリエを初公開

同イベントでは、「セリーヌ(CELINE)」がプレタポルテのアトリエを初めて一般公開。17世紀の歴史的建造物である、オテル・コルベール・ドゥ・トルシー内に構えるアトリエでは、ランウエイ用のプロトタイプやVIPのカスタムオーダーを手掛ける職人たちが、ドレスに施す立体的なバラ飾りの模型を制作する様子を実演した。

2023年に“LVMH ヴァチュオーズ”に選出された縫製職人のアラ(Alla)は、「私たちの仕事は非常に厳しい水準が求められますが、他のハイエンドな職人技に触れると視野が広がり、細部への配慮に深く感銘を受ける」と語った。

「ルイ・ヴィトン」の工房で知る制作

また、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のルーヴル通りにあるレザーグッズの工房では、デザイナーのスケッチから3Dパターンを起こし、キャンバス地や端材レザーを用いて試作品を組み上げていく工程を披露した。職人歴20年の工房マネージャー、ヤニック(Yannick)は「パリの本社とデザインチームが目と鼻の先にあることが私たちの強みだ。他のメゾンでは工房が世界中に分散していることも多いため、この近さは貴重だ」とコメントした。

12年前にチームに加わったパタンナー兼プロトタイプ職人のアデル(Adele)は、自らの手仕事について「服のパターンを引くように、創造性と感性、技術力が求められる仕事だ。一人前の革職人になるには少なくとも5〜10年はかかる」と説明した。また、近年導入されたモノグラム・キャンバスのジャカードや、シルクと再生ナイロンを掛け合わせた新素材のシルク・テックといった革新的なアプローチに触れ、「新しい素材がどう変化するか分からない挑戦の連続だからこそ、決して飽きることはない」と仕事への情熱を語った。

レストラン「白馬」では日仏が融合した異色の体験も

ラグジュアリーホテル、シュヴァル・ブラン パリ(Cheval Blanc Paris)内のミシュラン2つ星レストラン“Hakuba(ハクバ)”では、日本茶、太巻き、そして餅をテーマにした15分間のワークショップを実施した。

同店では、鮨職人の渡邉卓也やシェフのアノー・ドンケル(Arnaud Donckele)とともに、有名シェフ・パティシエのマキシム・フレデリック(Maxime Frederic)が日本の伝統とフランス菓子の技法を融合させた独自の超薄型餅皮を開発した。イベントでは、煮詰めたルバーブをまるで寿司ネタのように見立てた、見た目もユニークな“ルバーブの餅スイーツ”などが振る舞われた。

“LVMH ヴァチュオーズ”の称号を持つアシスタント・エグゼクティブ・パティシエのサシャ・ヴァディエ(Sacha Vadier)は、「異分野の職人と意見を交わすのは刺激的だ。調香師であれシェフであれ、世界最高峰の技術と伝統美に直に触れられるのがこのイベントの素晴らしさ。私たちにとっても、かけがえのない記憶に残る体験になる」とイベントへの参加に対する誇りを語った。

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