ステランティスジャパンは10月16日、イタリアの自動車ブランド「フィアット(FIAT)」の新型コンパクトSUV“グランデ パンダ ハイブリッド”を日本で発表した。1980年に誕生した初代“パンダ”の機能的なデザインを現代的に再解釈し、随所に遊び心を散りばめた。11月7日から全国の正規ディーラーで販売し、同日から14日までデビューフェアを開催する。車両本体価格は369万〜420万円。
なお、欧州などではBEV仕様の“グランデ パンダ エレクトリック”もラインアップしているが、日本ではハイブリッドモデルのみの導入となる。
初代“パンダ”の機能美を現代に再解釈
着想源は旧リンゴット工場

“グランデ パンダ”は、ジョルジェット・ジウジアーロ(Giorgetto Giugiaro)がデザインを手掛けた初代“パンダ”の思想を受け継ぐ4代目モデル。初代は、直線を基調とするスクエアボディーと、限られた空間を最大限に活用する合理的な設計で人気を集めた。新型は、その特徴を踏襲しながら、SUVらしい力強さと現代的なグラフィックを組み合わせている。

インテリアでは、1923年に完成した「フィアット」の旧工場に着想を得たデザインが目を引く。同工場は屋上に楕円形のテストコースを備えたことで知られ、その形状をダッシュボードやディスプレー周辺、ステアリングなどに取り入れた。直線的なエクステリアとは対照的に、車内には曲線を用いた柔らかな印象を与えている。
内装の基調色にはタスマニア ブルーを採用し、ディスプレー周辺やエアベントなどには鮮やかなイエローを配置。デジタルメーターには初代“パンダ”のシルエットをあしらうなど、細部にもブランドの歴史を忍ばせた。
「フィアット」のミケーレ・ロンゴ=インテリアデザイン責任者は、「リンゴットは私たちにとって、単なる工場ではない。『フィアット』が地域の自動車メーカーから国際的なブランドへと成長する過程を象徴する場所だ。屋上のテストコースの形状を、誰にもコピーできない、私たちだけのデザインとして取り入れたいと考えた」と、奇想天外なインスピレーションソースに込めた思いを語った。
また、同氏は「より少ない素材で、より豊かな個性を」というデザイン哲学を一貫して掲げた。その一例が、車体後方のCピラーに採用したレンチキュラーグラフィックだ。見る角度によって「FIAT」のロゴが4本のラインに変化する仕掛けで、部品を追加することなく視覚的な遊び心を生み出した。また、ドアパネルには“PANDA”の文字を直接プレス加工するなど、装飾を増やすのではなく、車体そのものに個性を持たせる工夫を凝らした。
竹や再生素材も採用
「サステナブルは我慢ではない」
さらに、素材選びにもユーモアが光る。上級グレード“ラプリマ”のダッシュボードには、天然竹繊維を約33%配合した“バンボックス・バンブー・ファイバー・テックス”を「フィアット」として初採用。竹を好む動物のパンダと車名を重ねた、遊び心のある選択だ。
また、車両1台あたり約140本分の飲料用紙パックに由来するリサイクル素材“ラポレン・エコテック”を内装各部に使用した。通常は再利用が難しいプラスチックとアルミニウムの複合部分を樹脂素材に転用し、アルミニウム粒子が生む独特の輝きをデザインに生かした。
黒川進一ステランティスジャパンイタリアン事業部長は、「環境配慮というと我慢が必要というイメージになりがちだが、イタリアの考え方は違う。触れて心地よく、見た目にもおしゃれだから選ぶ。そうした選択が、実は地球にも優しかったという、スマートで無理のない考え方だ」と、環境性能とデザインはトレードオフの関係ではなく、両者同様に追及可能だとする思想を強調した。
価格は369万円から
日本市場に新たな選択肢
グレードは、基本装備を備えた“アイコン”と、17インチアルミホイールやルーフレール、専用シートなどを採用した上級仕様“ラプリマ”の2種類。価格は“アイコン”が369万〜374万5000円、“ラプリマ”が409万〜414万5000円、“ラプリマ ウィンターパッケージ”が414万5000〜420万円。ボディカラーは、リモーネ イエロー、アクア アジュール、チネマ ブラック、ジェラート ホワイトのポップな色合いを特徴とした4色をそろえる。
発表会に登壇したステランティスジャパンの成田仁社長は、「フィアット」が1899年の創業以来、人々の暮らしに必要なものを追求してきたブランドであると振り返る。日本でのブランド展開を支えてきた“500”の実績に触れながら、「イタリアンコンパクトらしい存在感や、フィアットのDNAに根付く遊び心、サステナビリティなど、多様化する時代のニーズに応える要素を盛り込んだ。日本市場において、新たな代表的モデルになることを大いに期待している」と、新型“グランデ パンダ”への期待を言葉にした。
新型“グランデ パンダ”が提案するのは、移動のための道具にとどまらない、暮らしを彩る一台だ。「フィアット」が掲げる“PANDASTIC(パンダスティック)”は、パンダとファンタスティックを組み合わせた造語。歴史あるデザインを受け継ぎながら、毎日を少し楽しくする。そんなイタリア流の豊かさを体現するモデルとなった。
ラインアップ
車両情報
車両本体価格:369万〜420万円
グレード:“アイコン”“ラプリマ”“ラプリマ ウィンターパッケージ”
全長×全幅×全高:4010×1765×1585mm(アイコン)、4010×1765×1630mm(ラプリマ)
ホイールベース:2540mm
車両重量:1270kg
乗車定員:5人
駆動方式:FF
パワートレイン:48Vマイルドハイブリッド(1.2L直列3気筒DOHCガソリンターボエンジン+電動モーター)
トランスミッション:6速DCT
エンジン最高出力:101PS/5500rpm
モーター最高出力:20PS/4264rpm
エンジン最大トルク:205Nm/1750rpm
モーター最大トルク:51Nm/750〜2499rpm
システム最高出力:110PS
燃費:20.8km/L(WLTCモード)
荷室容量:412〜1366L(後席収納状態)