
「セッチュウ(SETCHU)」は現地時間20日、2027年春夏コレクションをミラノで発表した。テーマは「Caught in the Nets(網にかかって)」。デザイナーの桑田悟史はミラノを拠点としながらも西アフリカ・ガボンの漁場の記憶と、京都・祇園祭の熱気を手繰り寄せ、二つの風景を折衷。持ち前のサヴィル・ロウ仕込みのテーラリングから生み出される作品に新たなストーリーを紡いだ。
「円」と「長方形」
会場に響く蝉の声が弦楽器の調べへと移行する中、ショーは幕を開けた。今季のコレクション全体において見られたのが、「円」と「長方形」という二つの幾何学を構築的な作品へ転換する試みだ。日本の「畳」を用いたジャケットにはジップが配され、可動性を確保した甲冑風のフォルムに仕立てる。「折り紙や着物、袴など、我々の文化には四角いものが多くある」ことから着想を得て、そこに身体を通す「円(ラウンドシェイプ)」の抜けを作ったり、生地の上にリングを置いてドレープを生んだりと、平面から立体を立ち上げる布の芸が光った。
生きるための「漁」がもたらす説得力
そして今季のキーマテリアルとなったのが、日本の伝統的な結びの技法である「真結び(スクエアノット)」によってレザーを紡いだ黒い“網”である。今季も新たな扉を開いたのは、桑田のライフワークである「釣り」の探求と旅だった。釣り人にとって憧れの秘境・ガボンで彼が目撃したのは、スポーツとしての釣りではなく、現地の人々が生きるために営む「漁」の泥臭くも力強い姿。破れた漁網に色とりどりの紐を継ぎ足し、直しながら使い続ける。その豊漁の旅の記憶が「真結び」へとつながった。桑田自身が3日間かけて手作業で結び上げたというこの網を、テーラリングを駆使した作品たちにまとわせることで、「生きるための道具」としてのストーリーと深みをもたらしていた。赤や黄、青といった色彩のグラデーションを描く網は華やかなスリップドレスの上にも重ねられ、桑田の夏の記憶である京都の祇園祭ともリンク。「祭」の字をあしらったスカーフとともに祝祭的なムードを強めた。
ショールーム開設や
エントリーアイテム拡充も
ビジネス面での足腰固めも進めている。今年に入り東京・青山にショールームを設置。為替の影響を見据え、日本の生地を用いて国内で生産する体制も整備した。コットン製の袴やシンプルなチノパンツなど、従来の半額以下に抑えたエントリープライスのアイテムを拡充し、より広い市場へのアプローチを試みる。