PROFILE: 左:窪塚洋介/俳優、右:亀梨和也/俳優、アーティスト
渡邊ダイスケの漫画作品「善悪の屑」「外道の歌」を原作とした、DMM TVのオリジナル実写ドラマ「外道の歌」。法で裁かれない悪人に対して依頼を受けて制裁を下す、復讐代行人のカモ(鴨ノ目武)とトラ(島田虎信)を主人公にした本作は、地上波ドラマでは放送不可能な暴力&残虐描写が際立つ作品だ。
2024年12月に配信されたSEASON1(全6話)は、カモがライバル組織に拘束されるシーンでまさかの最終回! いよいよ待望の続編「外道の歌 SEASON2」(全6話)が配信された。カモを演じる窪塚洋介とトラを演じる亀梨和也は、それぞれのキャリアにおいて新境地といえるキャラクターに挑み、ものにした。そのアプローチと、バディを演じたお互いへの思い、「外道の歌」という作品を経たことで変化したことについて聞いた。
SEASON2の撮影へ向けて
——「外道の歌」のSEASON1に対する反応はいかがでしたか。
窪塚洋介(以下、窪塚):普段感想をくれない仲間から反応がありました。原作ファンで、「どんなものかなと思って観てみたら、すごく良かった」って。多分、俺が出てる作品を初めて観たんじゃないかな(笑)。
亀梨和也(以下、亀梨):仲のいい友達ほど、意外と僕たちが出てる作品を観てないですよね(笑)。僕も普段とはちょっと違うリアクションがありました。作品も作品なので、お仕事でお世話になっている男性陣からの声が圧倒的に多かったです。
窪塚:あ、俺の友達も男性です。
——SEASON1の終わり方からして、SEASON2は規定路線でしたよね?
窪塚:でも、(続編は)SEASON1の反応を見てからということだったので。
亀梨:確約ではなかったです。
窪塚:みんな目指してはいたけれど。
——SEASON2の制作が決定するまでの心境は?
窪塚:他の作品と同じように、たくさん観てもらえたらそれはうれしいです。でも、我々にできることはあくまでも良き作品にするところまでなので、「人事を尽くして天命を待つ」という感じでしたね。だからハラハラドキドキするということではなかったです。
亀梨:いろいろな環境や状況が一致しないと成立しないんだろうなとは思いつつ、この「外道の歌」という作品やトラという役柄が、自分の中で終わったものとして消化していない感じでした。
窪塚:うん。それはあったね。
亀梨:モチベーションとしては、「このSEASON2がいつ動き出しても、すぐに点火できるような炎は持っている」みたいな感覚でした。
窪塚:いいね。
——SEASON2でカモとトラに戻るために、改めて準備したことはありますか?
窪塚:取り立ててなかったかなあ。日焼けをしないようにはしてました。
亀梨:SEASON1の終わり方とSEASON2の始まり方が直結してましたからね。
窪塚:同じシーンなのに、SEASON2でカモがめっちゃ日焼けしてたらおかしいから(笑)。
亀梨:実は、トラの前髪はSEASON1より若干短いです。言わなければ気付かれないので、あんまり言わない方がいいのかなと思いつつ(笑)。
窪塚:ぶっちゃけ俺は気づかなかった(笑)。
——私はSEASON2もまとめて撮影済みで、配信まで間を開けたのかなと思いました。
窪塚:そう思われるレベルのつながりですよね(笑)。
亀梨:でも、実際に1年空いたんです。SEASON2の撮影まで。
窪塚:SEASON2の撮影が始まったときに、びっくりするぐらいスムーズに役に入れたんですよ。昨日、一昨日まで撮影していたんじゃないか、というぐらい。「俺ら、芯食ってたんだな」って思いました。
亀梨:分かります。SEASON1のときは「どう動くのかな」「こうかなああかな」という模索があったけれども、2ではそこができていたので、ある程度高い位置からスタートできている感覚はありました。
窪塚:うん。だからキャラクターがより馴染んだよね。カモだったら低い声が、トラは飄々としているけれど実は過去の想いに引きずられているところが。正直、SEASON1のカモの声はまだ高いなって感じで、今見るとちょっと照れるところはあります。
亀梨:(笑)。
窪塚:亀ちゃんは初日から、ジャッキー・チェンかと思うぐらいのアクションをやってたね。俺は拘束されてたから、座って見てただけだけど。
亀梨:(カモは)序盤は座ってましたね(笑)。
窪塚:これは誇張じゃなくて、本当にすごかった。アクションシーンは、編集でちょっと早回しにすることがあるじゃないですか。現場で溝端(淳平)君とのアクションを見て、「あれ? 早回ししてるのかな?」と思ったもん。
亀梨:アハハハ(笑)。
窪塚:手数も多いし、すごいねえって。
——トラは地下格闘技出身なので、接近型のファイトスタイルが大迫力でした。
亀梨:そうですね。あまりきれいになりすぎない動きがポイントだったかなと思います。
「静」と「動」
正反対の役柄を演じて
——カモとトラの関係性がこの作品の大きな魅力です。演じる上で意識したことはありましたか?
窪塚:静と動、陰と陽の関係を構築した上で、白石(晃士)監督が明確に演出をしてくれました。カモは制約が多いから、窓の外を見るのも許されなかったりするんです。そういう「カモにできないこと」は全部、トラに寄りかかるという感じもありました。
亀梨:僕には監督が大雑把なマップを描いて提示してくれました。「ここからスタートして、ここに辿り着いてください。そこをどう辿るのか、どこに留まるのかは自由です」という演出でした。
窪塚:亀梨くんは白石さんから絶大な信頼を寄せられてたよね。
亀梨:カモはトラとは逆で、ちょっとでもコースを外れると「カモは違いますね」と軌道修正されていて。
窪塚:カモは1cmでも動いたらダメ。台詞は1日で3つぐらいしかないこともあったし、声域も声量も限定されていて、トラと奈々子(南沙良)の会話を聞いてるときに、2人に目線を向けることすら許されない。
亀梨:僕はとにかく風呂敷を広げまくって、監督がOKだったらOK、やりすぎだったら調整するという感覚でした。まずはどれだけ大きく舞台を使えるか。
窪塚:俺はどれだけ狭く使うかだったね(笑)。
——窪塚さんのお芝居にはいつも「自由」や「予測不能な意外性」を感じていましたが、カモに対してはその真逆のアプローチをしたのでしょうか。
窪塚:そうですね。SEASON1のときは、フラストレーションとまでは言わないけど、「こんな役やったことないな」「これでいいのかな」という不安が強くありました。SEASON2では「そういうものだ」と思ってやってましたけど。奇しくもSEASON1とSEASON2の両方で、最後に撮ったのがカモの過去のシーンだったんです。過去のカモは普通に芝居ができるので、そこでちょっとリハビリしてから他の現場に行きました(笑)。
亀梨:普通に台詞を言って、感情を表現して。
窪塚:カモの過去のシーンは結構プレッシャーがあったんです。カモが今のカモになった理由を表現する重要なシーンなので。そこを全うできた、やりきれた感はありました。
——亀梨さん、印象的なシーンはありますか?
亀梨:カモ、トラ、奈々子の3人が、お茶の間で食卓を囲むシーンは、撮影中からすごくいいなと思ってました。役の関係性も、生身の我々3人の距離感も。僕はそこに普遍的な魅力を感じつつ、SEASON2においてその辺も変化して、2の中でのある結末みたいなものを迎えます。SEASON1の「依頼を受けて復讐する」というシンプルな流れとはまた違うベクトルでSEASON2が描かれて、SEASON3があるとすれば、また違うベクトルで物語が大きく動いていくんだろうなと思います。
窪塚:亀ちゃんが今言ったようなアットホームなシーンと、殺伐としたシーンとのコントラストが大きいところもこの作品の魅力だよね。お茶の間のシーンの撮影は、本当に楽しいんですよ。その楽しさをトラや奈々子はそのまま出せるけど、カモはそれも出しちゃいけない。本当は、めっちゃ悪ノリしたいんだけど。
亀梨:セッティングの待ち時間とか、めちゃめちゃ面白いんですよ。雑巾と孫の手みたいなのを持った窪塚さんが、「これさ、ドラクエだったらめちゃ弱じゃん」って(笑)。
窪塚:合間にそういうくだらないことを言ってるんですよ。2人はそのニュアンスを残しながら楽しいシーンをいけるけど、俺は許されないので、たまにサングラスの下で目を瞑ってます。2人を見ると笑っちゃうから(笑)。
共演を経て、お互いの印象は?
亀梨:SEASON2をクランクアップしたのって、もう半年くらい前ですよね?
窪塚:怖! 速!
亀梨:速いですよね(笑)。
窪塚:昔の人が「光陰矢の如し」って言ってたわ。
亀梨:こういんやのごとし?
窪塚:「時間経つのめっちゃ速い」。
——分かりやすいですね(笑)。カモとトラというバディを演じて、「相手が窪塚さん、亀梨さんでよかったな」と思ったことをお聞きしたいです。
窪塚:何から話せばいいのかなというぐらいたくさんあるんだけど……。亀ちゃんは現場に自然体でいるだけで、みんなを鼓舞する星のもとに生まれてるんですよね。俺は亀ちゃんと一緒にいて、合いの手を入れたりするだけでいい現場になっていたので、すごくやりやすかった。そこに一番感謝してます。もちろんアクションで動けるとか、関西弁の台詞がネイティブのように聞こえるとか、すごいなと思える芝居の要素はたくさんあります。でも、台詞や台本を超えたバディ感が出せたのは、亀ちゃんの仕事に対する姿勢のおかげ。バディ感というところでいうと、そこが一番言うべきところなのかなと思います。
亀梨:自分にとって窪塚さんの存在は、この作品のオファーを受ける理由になるくらい大きかったです。現場では、窪塚さんが軸になり、先頭に立ってくださっているところでの心地よさを、スタッフさんもキャストも感じながら過ごすことができました。自分は役としても亀梨としても動き回っていましたが、それができたのは窪塚さんの懐の深さ、広さのおかげだなと思います。僕に限らず、それぞれの部署のやり方を尊重してくれるので、僕は自分のやるべきことに集中させてもらうことができました。
——「外道の歌」を観たことがない人にアピールをお願いします。
窪塚:原作は「胸糞系」漫画と言われていて、俺はそれを「胸糞が悪くなる」という意味だと認識してたんだけど、この作品は読み終えた(観た)後にスッキリします。ただ、スッキリしたときに「それは善なのか? 悪なのか?」という問いを突きつけられる。答えを提示してる作品ではないので、観た人それぞれの答えがあっていい。「どっちやねん!」みたいなことが掘り下げられるシーンもあるので、それを観た人がどう感じるか、どう思うのか。それによって、自分を知るきっかけになる作品でもあると思います。
亀梨:こういったテイストが苦手な人ももちろんいると思いますが、ホッとできるような可愛らしい部分も多いにある作品です。あと窪塚さんがおっしゃったように、僕自身も作品をやりながら考えさせられました。普段目にしているニュースの、表面だけではない部分を提示されてるような感覚になったので。
窪塚:そうだよね。この作品をやったことによって、ニュースの見出しの背景が分かるようになった。
亀梨:原作の話は非日常的なようで、実は悲しいことに、現実社会にも起こりうることでもあります。善悪ということも含め、モノの見方、世界を見る角度をすごく考えさせられます。それは事件じゃないところでも。例えば僕がこのコーヒーをここでバーン! とこぼしたら、普通に考えたら「こいつ何やってんだよ」で終わります。でももしかしたら、窪塚さんのチャックが開いてることから気をそらせるためにやったのかもしれない。
窪塚:お漏らしを隠すためにやってくれたかもしれないし(笑)。
亀梨:出来事というのは、どこを切り取るかで全然違うんですよね。自分はまだ未熟で、自分が捉えているものなんて本当に少ないんだなと、気付かされる作品でした。
窪塚:亀ちゃんにとって、「外道の歌」はいろんな意味で節目になっているよね。
亀梨:そうですね。個人的に、SEASON1後にお仕事の環境が大きく変わった流れの中でのSEASON2というところで、年齢も40代に突入して。自分の中で波が起きているような、これからどうなっていくんだろうか? という状況です。
——窪塚さんにとってはどんな経験でしたか?
窪塚:俺は去年、(芸能)活動を始めて30年目だったんですよ。30年やってきても、カモは初めてやるタイプの役だったから、新鮮だったし、正直不安もありました。監督が誰よりも原作を愛していて、「外道の歌」をどういう映像作品にしたいかというビジョンをお持ちだったので、そこに委ねて寄り添っていくことで不安を解消していくというやり方でした。これから先、同じような感覚になる役にはもう出会わない気がするくらい、貴重な経験になりました。
PHOTOS:YOKO KUSANO
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「外道の歌 SEASON2」
©DMM TV
https://info.tv.dmm.com/original/gedounouta/season2/







