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創業110周年「アクア ディ パルマ」CEOに聞く 1世紀以上の時の試練に耐える香りと成長戦略

PROFILE: ジュリオ・ベルガマスキ / アクア ディ パルマCEO

ジュリオ・ベルガマスキ / アクア ディ パルマCEO
PROFILE: イタリア生まれ。2004年ボッコーニ大学卒業後、ロレアルでキャリアをスタート。「ビオテルム」のグローバルブランドプレジデントや中国ロレアル パリ DMIのジェネラルマネジャーなどを歴任。22年にLVMHグループ入社。「ロロ・ピアーナ」の戦略ディレクターとして活躍後、23年から現職

イタリア発フレグランス「アクア デイ パルマ(AQUA DI PARMA)」は今年、創業110周年を迎えた。同ブランドは、カルロ・マニャーニ男爵がパルマで創業。テーラーをルーツに持つ同ブランドは、1世紀以上にわたりイタリア的暮らしの美学を香りで表現してきた。中でも象徴的なのが“コロニア”。爽やかでモダンな香りは、時代を超えてイタリア紳士からハリウッド俳優まで幅広い層から支持が高い。香りはもちろんパッケージまで全てメード・イン・イタリーにこだわり、ライフスタイルブランドとして進化を続けている。ジュリオ・ベルガマスキ=アクア ディ パルマ最高経営責任者(CEO)に1世紀以上愛され続ける理由や今後の戦略について聞いた。

WWD:「アクア ディ パルマ」のブランドコンセプトは?

ジュリオ・ベルガマスキ=アクア ディ パルマCEO(以下、ベルガマスキ):エレガンス、シンプルさ、軽やかさの共存が大きな特徴だ。テーラーリングの世界で生まれた「アクア ディ パルマ」は、常に奥ゆかしさやバランス感覚を大切にしてきた。メゾンの根底にあるのは、審美眼と卓越性。それらは、決して誇示するものではなく、日常の立ち居振る舞いや意思決定にさりげなく現れるもの。それは、われわれの原点であるイタリア的暮らしの美学に象徴されている。創業110周年という節目に、改めて原点に立ち戻りその価値観を文化的に表現したのが、俳優のマイケル・ファスベンダー(Michael Fasbender)とサブリナ・インパッチャトーレ(Sabrina Impacciatore)を起用したキャンペーンだ。軽やかさと計算された無造作が融合したイメージは、イタリアの精神性をモダンかつさりげなく表現している。

WWD:イタリアには老舗のフレグランスブランドがいくつかあるが、それらとの違いは?

ベルガマスキ:メゾンが誕生した当時は、重厚で華美なフランス香水が主流だったにも関わらず、創業者のカルロは香水を儀式のための装飾としてではなく、個人の内面を表現するのと捉えた。そして、日常に寄り添う“生きたエレガンス”を体現するものとして誕生したのが“コロニア”だ。それは重々しい当時の香水とは全く異なる、開放的で控え目なものだった。そして、ブランド発祥の地がパルマである点。パルマはイタリアのファルネーゼ家による宮廷文化やパルマ女公マリア・ルイーザにより香水文化が花開いた街。数世紀にわたる知的・文化的交流により培われた独自の審美眼がある場所だ。このような背景からイタリアン・エレガンスの真髄を象徴するブランドして生まれたのが「アクア ディ パルマ」だ。

WWD:ブランドのコアバリューをどのように消費者に伝えているか?

ベルガマスキ:節度と明晰さ、寛容さという価値観を一貫してデザインやサービスを通して伝えている。大切なのは、押し付けがましくなく自然な形で伝えることだ。

WWD:ブランドの売れ筋とその理由は?

ベルガマスキ:“コロニア”がメゾンの中核をなしている。その理由は、控えめにあらゆる瞬間に寄り添う適応力にある。“ボンジョールノ”も最近支持が集め始めている。

WWD:テーラー発祥ということもあり、メンズのイメージが強いが?

ベルガマスキ:メゾンが象徴する奥ゆかしさや軽やかさにジェンダーの概念はない。エレガントで本物であるということが重要視される。

忍耐ある事業計画がブランド成長の一番の早道

WWD:現在、世界何カ国、何店舗で販売しているか?好調な市場は?

ベルガマスキ:84カ国・地域で展開をしている。中国、イタリア、米国がトップ3の市場だ。これらの市場が好調な理由は、“オーセンティシティ”に対する高い評価とライフスタイルを表現する手段として香水を楽しむ傾向があるからだ。

WWD:グローバル戦略および日本市場における戦略は?

ベルガマスキ:イタリア国外では製品やショップ空間などを通してイタリアのライフスタイルを体現するイタリア文化の大使のような存在にしたい。

WWD:ラグジュアリー・フレグランスの定義は?

ベルガマスキ:製品からサービス、空間全てにおいて、一貫した価値を提供できること。次に、顧客に対するホスピタリティーも重要だ。マーケティングによりブランドを感じるのではなく、素材からデザイン、文化的な背景が調和することにより、ブランドが生きた文化として感じられること。

WWD:「アクア ディ パルマ」のポジショニングは?他ブランドとの差別化はどのように行う?

ベルガマスキ:洗練こそがモダニティーの到達点であるということに共感してくれる人々に真摯に向き合うだけだ。トレンドを追いかける必要はない。

WWD :今後「アクア ディ パルマ」のブランドバリューをさらに高めるために必要なことは?

ベルガマスキ:新製品については、明確な役割と存在意義があるか吟味していく。ブテイックでは、フレグランスからライフスタイルグッズまで幅広いアイテムを揃えることで、販売から体験の場へと転換を進めている。独自性のある一貫したブランドの世界観を通して、顧客とのエンゲージメントを高めていきたい。

WWD:ビューティ大手、ラグジュアリー大手の経験はどのようにブランドに生かしているか?

ベルガマスキ:経験を重ねることで、より一貫性と忍耐の重要性を感じている。ブランドバリューを守り抜き、過度な事業拡大を慎むことを念頭に置いている。ブランドの認知度アップや拡大に対して忍耐を持って取り組むこと。それが、結果としてブランドを早く成長させる近道だと信じている。

WWD:今後のフレグランス市場の展望は?

ベルガマスキ:市場におけるフレグランスの浸透が進み、個性を表現する1つの香りから、記憶やその時々の気分に合わせて選ぶ香りのワードローブへ変化していくと思う。また、消費者の品質に対するリテラシーが向上し、より豊かな感性の追求と繊細さへの理解が必要になる。

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