LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が擁する「モワナ(MOYNAT)」は、“ラブブ(LABUBU)”をはじめとする「ザ・モンスターズ(THE MONSTERS)」シリーズを手掛ける香港出身のアーティスト、カシン・ロン(Kasin Lung)と協業した限定コレクションを10月11日に上海で発売した。2025年末から26年初頭にかけて、世界の限定的な都市のブティックで展開していくという。
これを記念し、同ブランドは同月21~26日に開催された国際的なアートフェア「アート・バーゼル・パリ(Art Basel Paris)」でロンのサイン会などを含めたイベントを開催。その会場をLVMHのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)が訪れ、“ラブブ”のチャームをあしらったコラボコレクションの“ミニ48H”を手に、ロンとツーショット写真を撮ったことが話題となっている。
将来的に「ルイ・ヴィトン」とのコラボも!?
これはロンが自身のインスタグラムに投稿したもので、「ミスター・アルノー、『モワナ』とのコラボレーションのパリでのローンチおよびサイン会に立ち寄ってくれてありがとうございます。お話しできてうれしかったです。近いうちに香港でお会いできるのを楽しみにしています」とメッセージが添えられている。“ラブブ”の世界的な人気や、今回のコラボが好評を得ていることを踏まえ、インターネット上ではロンとLVMH傘下のほかのブランド、特にポップカルチャーとの親和性が高い「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」との協業もあるのではないかとの臆測が広まっているという。なお、同ブランドはこれまで、リチャード・プリンス(Richard Prince)、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)、草間彌生、村上隆らの現代アーティストと協業している。
「人気に衰えはない」とポップマートの会長兼CEO
ロンは北欧神話や民話にインスピレーションを得て、コミックキャラを描くアーティストだ。“ラブブ”は同氏が15年に発表した「ザ・モンスターズ」という三部作の絵本に登場するキャラクターで、19年にライセンス契約を締結した中国発のアートトイメーカー、ポップマート(POP MART)が発売したフィギュアがコレクターズトイとして成長。24年後半~25年にかけて急激に関心が高まり、K-POPアイドルやセレブリティーが“ラブブ”をバッグに付けた写真などをSNSに投稿したことから人気が爆発した。
人気の過熱ぶりから、すでにピークは過ぎたと見る向きもあるものの、ポップマートの25年1~6月期決算における「ザ・モンスターズ」関連の売上高は前年同期比668%増の48億1400万人民元(約1010億円)と8倍近い成長率となり、全体の売り上げの34.7%を占めた。なお、同社のワン・ニン(Wang Ning、王寧)会長兼CEOは最近のインタビューで、「毎月およそ1000万個の“ラブブ”を販売しており、ハリウッドの大手配給会社などから映画化の声もかかっている」と話し、人気に衰えはないと説明している。米百貨店メイシーズ(MACY'S)が感謝祭に毎年開催しているパレードにも、今年は“ラブブ”をモチーフにしたポップマートのフロートが登場するという。