ファッション

「ケースティファイ」が描く、服のようにスマホケースを“着替える”未来

PROFILE: ゲーリー福元/ケースティファイ ジェネラルマネージャー

ゲーリー福元/ケースティファイ ジェネラルマネージャー
PROFILE: 米国カルフォルニア州出身。これまで、マーク ジェイコブスのジェネラルマネージャーやア ベイシング エイプのCOO、アシックスの執行役員などを歴任してきた。2024年から現職
スマートフォンが現代人の相棒となって久しい。それを守るケースも、今や多種多様なカラーやデザインがあふれ、趣味趣向に合わせてスマホを着せ替えることができる。「スマホケースで人となりが分かる」と言っても過言ではない。「ケースティファイ(CASETIFY)」は、そんな世界が訪れる前から“持ち主を物語る”プロダクトを作り続け、世界的なテックアクセサリーブランドへと成長を遂げた。

「ケースティファイ」は2011年、アプリ「Casetagram」として誕生した。07年のiPhoneの発表から4年。スマートフォンが世に浸透してきた頃だった。

ウェス・ウン(Wes Ng)ケースティファイ共同設立者兼CEOは、当時市場に溢れていた“デバイスを守るだけのケース”につまらなさを感じていたという。「もっと自分らしさをアピールできるスマホケースがあったら」。そう考え、「ケースティファイ」の原点となる、お気に入りの写真を組み合わせてプリントしたスマホケースを発売した。

インフルエンサーを使ったプロモーションが功を奏し、Z世代の間で「ケースティファイ」のスマホケースを片手にセルフィーを撮ることはステータスになった。彼らにとって、1つ1万円前後するスマホケースは決して安くはないが、「むしろ1万円を払ってでも手に入れたいと評価していただいている」(ゲーリー福元 ケースティファイ ジェネラルマネージャー)。Z世代にとって「自己表現」はホットワード。彼らは「スマホケースで自分らしさを表現する」というブランドのアティチュードに強い共感を示している。

その人気ぶりは、福元ジェネラルマネージャーも、「これまで名だたるブランドに携わってきたが、『ケースティファイ』の成長スピードは頭1つ飛び出している」と語るほど。地域別で見ると、アジア圏が強いが米国も好調。今後は、手薄だった欧州のビジネスにも本腰を入れるとし、その足がかりとして、24年に仏パリのルーブル美術館とテュイルリー庭園の間に位置する地下のショッピングセンター「カルーゼル・デュ・ルーヴル」に欧州初となる店舗を構えた。

元々はECからスタートしたが、現在は実店舗に重きを置く。日本では、渋谷パルコや新宿マルイなど、9つの施設や路面に出店している。その意図について、福元ジェネラルマネージャーは、「カスタマージャーニーが何よりも大切。特に、慎重な日本のお客さまは、性能を直接体験することが購入の決め手になることも多い。一方、私たちも商品に自信があるため、手に取ってもらうのが一番という考え」と話す。マンツーマンの接客スタイルも取り入れ、「1万円もするスマホケース」の購入をためらう客の背中を押す。

創業当初から変わらない
「ケースティファイ」の役割

スマホケースから始まったブランドだが、テックアクセサリー以外にも商機があると考える。24年末に発表したスーツケースコレクションはその一歩だ。「単に旅行ブームに乗じようというわけではない。これまで培ってきた高い保護機能は、さまざまな商材に生かすことができる。そう考え、まず浮かんだのがスーツケースだった」。米国と韓国で先行販売した後、このほど日本にも上陸。公式ECではすでに販売しており、5月30日には新宿マルイ店や渋谷パルコ店、名古屋タカシマヤ ゲートタワーモール店、心斎橋店での取り扱いもスタートする。

「私たちにとって、スマホケースやスーツケースはファッションの一部。毎日服を着替えるように、毎日ケースを変えたって良い。『ケースティファイ』のファンはすでに、そのような楽しみ方を実践している。私たちの使命はこのムーブメントを広げていくこと。セルフエクスプレッション(自己表現)の一助になれたら」。

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