ワコールホールディングス(HD)の2025年3月期連結業績国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前期比7.1%減の1738億円、営業損益が33億円の黒字(前期は95億円の赤字)、純損益が69億円の黒字(同86億円の赤字)だった。米国インティメイツ・オンラインの事業撤退や日本の七彩の株式譲渡など不採算事業の対処に加え、主要市場の販売低迷により減収。浅草橋ビルや旧福岡事業所跡地の売却益により営業損益は黒字化した。
国内ワコールの売上収益は、前期比6.8%減の878億円、営業損益は48億円の黒字(前期は41億円の赤字)だった。不採算店舗の撤退による店舗数および来店客数減少により実店舗は苦戦した一方で、自社、外部共にECは好調。商材では、カップ付きインナーやノンワイヤーブラジャーの売り上げが伸長し、大谷翔平をアンバサダーに起用したコンディショニングウエアの「CW-X」は好調に推移した。
海外ワコールは、売上収益が同0.8%減の672億円、営業損益4億円の黒字(前期は51億円の赤字)。米ワコールは、市場の急激な冷え込みにより主力チャネルの百貨店を中心に低迷。欧州は、昨年9月に買収したブラビッシモ・グループの売り上げが寄与し、ドイツ・フランスの販売が好調に推移。中国ワコールは、実店舗・EC共に苦戦が続いている。ピーチ・ジョン事業の売上収益は同2.5%源の104億円、営業損益は2億6600万円の赤字(前期は2億3900万円の赤字)だった。下半期は新規顧客獲得による成果が見られたものの、販促効果が予想を下回り、直営店および自社ECが苦戦した。
全方位で効率化を図りつつ、ECと「CW-X」を強化
国内ワコールは、昨年秋に基軸ブランドの「ワコール」をリブランディング。多様化するニーズにあわせ、機能、ベーシック、プレミアムの3ライン構成にした。コミュニケーションも機能から情緒にアピールするものへとシフト。不動産売却をはじめ、国内製造工場の集約といったサプライチェーンなどのスリム化などを行っている。市場環境は厳しいが、全方位での効率化を図ると同時に、国内最大級の下着ECモールの構築を視野に入れECに注力すると同時に、「CW-X」の市場拡大を図るようだ。