大丸東京店は23日、アート、ホビー、カルチャーをテーマした新しい売り場をオープンした。10階の時計売り場だった場所を改装し、3カ所のアートギャラリー(279平方メートル)と7つの店舗(859平方メートル)に刷新した。美術作品、伝統工芸品、盆栽、アクアリウム、スポーツトレーディングカード、アニメやゲームのキャラクターのグッズといった希少性のある商材を扱い、国内外から客を集める。
アートギャラリーは面積を2.5倍に増床した。名の知られた大物から気鋭の若手まで幅広い作品を集めて展示・販売する。特に若手アーティストの発表の場として機能させ、才能の発掘に力を入れる。応接室も設けられており、ゆっくり商談することができる。
7つ店舗はバラエティーにとんだ顔ぶれで、販売だけでなくワークショップを開くなど顧客との交流に力を入れる。たくさんの水槽が並ぶアクアリウム専門店「ADA LAB TOKYO」は、愛好家が増えていることを受けて、ワークショップを定期的に開く。大宮の盆栽の「清香園」は新業態での出店で、販売や教室だけでなく、異業種との協業による商品企画や空間演出を発信する拠点にする。「おとなみラウンジ トーキョー」は物販だけでなく、店内に大きなテーブルを設置し、伝統工芸や和菓子、書道、水彩画などの分野の有名講師を招いて体験教室を開催する。
スポーツトレーディングカード専門店「ミント」では、大谷翔平選手の直筆サイン入りの着用ユニホームを1億円で売る。「刀剣乱舞万屋本舗」は公式グッズを幅広くそろえ、ファンの期待に応える。
大丸東京店で改装計画を担当した大竹輝樹・営業1部部長は「お客さまの『好き』が多様化する中、ニッチだけれども濃くてクセになるフロア、目的地になるフロアを目指した」という。ニッチなカテゴリーであっても、熱烈なファンを国内外から集められると読む。同店の免税売上高の比率は約10%で、都心の百貨店としては高くない。希少で付加価値の高いジャパンコンテンツを集めることで、訪日客にもアピールしたい考えだ。