靱江千草(うつぼえ・ちぐさ)デザイナーによる「バウト(BOWTE)」は、大人女性の”かゆいところに手が届く“ウィメンズブランドだ。2023年春夏の立ち上げから2年ほどしか経過していないものの、ロンハーマン(RON HERMAN)、エイチ ビューティ&ユース(H BEAUTY&YOUTH)など有力セレクトショップを中心に約30の卸先を抱えるまでに成長した。上質な生地選びとメンズのテーラリングの合わせ技で、ハンサムにもレディライクにも、デイリーにもオケージョンにも着られるウエアがそろう。
メンズラインをスタート
25年秋冬から新たにメンズラインをデビューする。ウィメンズで展開する商品をサイズアップし、ジャケットやシャツ、スラックス、コートなど7型を発表。靱江デザイナーは、「メンズライクな発想のモノ作りをしていたことから、メンズウエアの別注依頼が続いていた。これを受けて、自ブランドでメンズの取り扱いに着手するに至った」と経緯を話す。「バウト」がウィメンズブランドであることから、まずはユニセックスアイテムを取り扱うセレクトショップを卸先に見据えるという。
ウィメンズの着想源は90年代のムード
ウィメンズは90年代前半に特有のナローなシルエットをモダンにアップデートし、オーバーサイズな仕立てで着やすさも両立した。例えばダブルフロントのジャケット(15万4000円)やワンピース(10万4500円)はショルダー部分に薄いパッドを採用し、アーム部分のパターンに前振りを利かせないことによって、ドレッシーながらミニマルな印象に仕上げるほか、スーピマコットンを使用したTシャツ(1万8700円)にも肩パッドを入れて、さりげなくショルダーラインを引き立てた。
スタイリングのアクセントとなるアイテムも豊富だ。フィッシュテールスカート(13万7500円)やスカラップ袖のラメニット(5万7200円)、ニドム加工で褪色した風合いを出したモヘヤベスト(9万5700円)、共地のケープがドッキングしたカットソー(3万3000円)など、一捻りあるディテールをデザインに加えている。
運営元が虫文毛織(愛知・一宮)であることから、素材へのこだわりも強い。虫文毛織製に限らず、アイテムに最も適した素材を使うのが特徴で、国内外から仕入れている。虫文毛織による梳毛ウール100%の「スーパー180」を採用したローブコート(22万円)は、ダブルフェースで着心地の良さを実現。「あまりにも気持ちいい生地だから」と裏地を貼らずにパンツも作っており、靱江デザイナーが太鼓判を押す商品だ。ヤギファーを再現したというショートジャケット(25万3000円)には、希少なスーリアルパカ毛を80%混ぜ、柔らかな質感を追求した。