米「ギャップ(GAP)」は2025年、日本上陸30週年を迎える。1995年に当時の数寄屋橋阪急(東京)内に1号店をオープンして以来、アメリカンカジュアルを代表するブランドとして世代を問わず認知を獲得してきた。このほど開催した25年春展示会は、上陸時に販売していた商品のアーカイブを本国から取り寄せディスプレー。25年春は、1990年代当時のムードを落とし込みつつ、進化した「ギャップ」を感じられるようなコレクションに仕上げた。
同ブランドは、30年の時を超えて愛される“定番商品”を多く抱える。その1つであるポケットTシャツは、84年の発売当初から21色ものカラーバリエーションで販売していた。85年には、マイケル・J・フォックス(Michael J. Fox)が映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」内で着用し話題に。その10年後にポケット部分にアイコニックな“ATHLETIC”ロゴをあしらったデザインが登場している。
デニムに関するエピソードにも事欠かない。例えば、88年から93年には、約350人もの俳優やミュージシャンがデニムを着て出演した「インディビジュアルズ オブ スタイル」キャンペーンを行っている。92年には、ホワイトデニムとウーヴンシャツを着たスーパーモデルが米「ヴォーグ(VOGUE)」の表紙を飾り、媒体誕生100周年を祝った。
25年春の注目も“定番商品”
25年春は、“ソフトエッセンシャル”(2月発売)をテーマに掲げ、上陸当時との対比を楽しめるようなTシャツやスエット、デニムアイテムなどの定番商品を打ち出す。その中でも「デニムアイテムをコーデの軸にしていく」(PR担当)とし、バレルデニム(樽のようにカーブしたシルエットのパンツ)をさらにワイドにしたホースシューデニムや、しなやかなテンセル混紡のバギーパンツなど、春らしい開放感のあるデニムパンツを多くそろえる。PR担当は「デニムパンツに合わせるトップスは、ウオッシュド加工を施したコットン100%のニットがおすすめ。(チャレンジしやすいアイテムだが、)コーデが表情豊かになる」と話す。「ギャップ」を象徴するアーチロゴも「スポーティーなコーデが好きなお客さまから好評をいただいている」(PR担当)というハーフジップのフーディーにあしらい、ブランドのアイデンティティーをモダンにアップデートしている。
定番商品にこそ、ブランドのプライドが宿る。30周年を好機と捉え、「ギャップ」のブランド価値を再認識させる一年にしていく。