グループ ロシェ(GROUPE ROCHER)は、子ども服ブランド「プチバトー(PETIT BATEAU)」とホームケア事業の「スタンホーム(STANHOME)」を売却する計画だ。自然派ブランド「イヴ・ロシェ(YVES ROCHER)」や「サボン(SABON)」、ビーガンスキンケアや化粧品、栄養商品の「アルボンヌ(ARBONNE)」、エイジングケア用スキンケアに特化した「ドクター ピエール リコー(DR. PIERRE RICAUD)」など、サステナブルな植物由来のケアやビューティ、ウェルビーイング事業に注力する狙いだ。
同社は1月15日、1年半前の経営再建に続き、戦略計画の第2段階に入ると発表した。今後4年間の投資予算は1億ユーロ(約160億円)に引き上げる。ジャン・デイビッド・シュワルツ(Jean-David Schwartz)=グループ ロシェ 最高経営責任者(CEO)は声明の中で、「この1年半で財務を整理し、ビジネスモデルを変革し業績を向上させた。ケアとビューティ、ウェルビーイング事業に集中することで、今後ますます勢いを増すための資金力をつけた」と述べる。
今後5年間の戦略計画
戦略計画の第2段階は、今後5年間でEBITDAを倍増させることを含む。同社によると、EBITDAはこの1年半ですでに25%成長している。またフランス国内の「イヴ・ロシェ」の200店舗をリモデルし、アジアと中東に150店舗以上をオープンする予定だ。「サボン」は日本で20店舗をオープンし、トラベルリテールも新たに数十店舗構える。同社はフランスやイタリア、アジア、アメリカでのオムニチャネル販売ネットワークの拡大に注力するほか、メディアやコミュニケーションへの投資を大幅に増やす計画だ。
シュワルツCEOは、「サステナブルな植物由来のケアやビューティ、ウェルビーイング事業に専念することでイニシアチブのインパクトを最大化し、われわれが有する全てのブランドと全てのステークホルダーのために、より大きな価値を創造したい」と話す。
ブリス・ロシェ(Bris Rocher)=グループ ロシェ 会長によると同社の強みは、「植物から皮膚に至るまで、完全に統合されたモデル」だという。「200人以上の科学者や専門家を集めた学祭的なチームにより、植物の潜在能力を引き出すためのプロセスの重要なステップは全て完全に管理している。医薬品の60%は植物関連の研究から生まれ、植物の80%は未解明のままであるため、研究の余地は大きい」と続ける。
「プチバトー」と「スタンホーム」
「プチバトー」の流通網は50%が実店舗、25%がEC、25%が卸売だ。フランス国外200店舗を含む370の販売拠点と、海外500店舗を含む760の小売店がある。一着一着を丁寧に生み出し、年間2800万着を生産している。売り上げの55%がフランス製、25%がその他ヨーロッパ諸国製、10%が日本製だ。同社によると、昨年はフランスとイタリアで2ケタ成長を記録するなど、店頭とECの売り上げは全体的に増加。「ブランドは市場シェアを拡大し、新規顧客を獲得した。フランスでの数字は、子ども服小売市場平均を9ポイント上回っている」。
「スタンホーム」は訪問販売ビジネスモデルを採用し、フランスとイタリア、メキシコで展開。それぞれ1万4000人、6万人、13万人以上の独立コンサルタントを抱えている。
新人事
グループ ロシェはまた、取締役会に新たな独立役員を任命した。ユニリーバ(UNILEVER)元CEOのポール・ポルマン(Paul Polman)と、ロレアル(L’OREAL)で「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」と「カリタ(CARITA)」のグローバルブランド社長を務めたエリザベス・サンダジェ(Elisabeth Sandager)だ。
同社は、2024年の売上高を前年比2.4%増の約22億ユーロ(約3520億円)と見積もっている。売上高構成比は「イヴ・ロシェ」が53%、「アルボンヌ」が13%、「サボン」が6%、ドクター ピエール リコー」が2.5%、「プチバトー」が12%、「スタンホーム」が9%。