ファッション

高園あずさが自身のブランド立ち上げ インフルエンサーブランドとの違いは

マークスタイラー「アングリッド(UNGRID)」の元クリエイティブ・ディレクター、高園あずさが9月1日、自身のブランド「ジゼルフ(JSELF)」を立ち上げた。「そのまま」を意味する「as it is.」をコンセプトに、「まとうことで心地よく自信につながるもの」を軸としたオリジナルのアパレルやライフスタイルグッズなどを提案。ブランド名には、年を重ねながら仕事や家庭、子育てに追われる毎日でも「Just be Myself」、「自分らしく、自分自身の人生も諦めずに歩もう」というメッセージを込めた。

デビューコレクションでは、アパレル15型に加え、スキンケアブランド「ソエル(SOEL)」とコラボレーションした天然由来成分100%のマルチバームと2色のカラーリップ、佐賀県を代表する伊万里鍋島焼窯元「畑萬陶苑」による陶器のリップケースを発表する。アパレルは、高園が得意とするデニムのショート丈ジャケット(3万800円)やストレートルーズパンツ(2万7500円)、シアー素材に金糸と綿糸の刺しゅうやスパンコールをデザインしたブラウス(2万9700円)やラップスカート&パンツ(同)などがそろう。

こだわりは、「一つのアイテムを何通りも楽しめて、いろんな自分を表現できるという奥行きを持たせていること」と高園。例えば、裏表の色の変化だけでなく、パターンにもこだわったリバーシブルのジャケットや重ね着も別々の着用もできるスカートとパンツのセット、コンシールファスナーを仕込ませて3〜4通りも着回せるダウンコートなど、1枚にさまざまな仕掛けと工夫を取り入れた。「ファッション以外にもお金を費やす現代において、1着何を買うかにすごく悩む方が多いと思うんです。クローゼットに15型しか並ばないのであれば、それらでシーズンをどう乗り越えられるのか、個性をどう表現できるのか、楽しめるのかを考えた時に、特徴的なデザインではなく、1着1着を突き詰めることで『ジゼルフ』の価値を高めていくことを意識しました」。

リップマニアの高園が生み出した渾身のレッドとベージュ

企業やブランドとのコラボレーションも積極的に実施する。まずは「ずっと美容の仕事をしたかった」とコスメを作ることを決め、「ソエル」とカラーリップ2種とマルチバームを制作。中でもカラーリップは、多くて15本、最低5本は持ち歩くほどリップ好きの高園が選び抜いたレッドとベージュを作った。「大好きなコスメの中でも、シーンで使いやすいレッドとベージュは私の鉄板カラー。でもいつも“これ!”という色がなく、複数を混ぜて使っていたんです。今回オリジナルを作るにあたって、1色1本で決まる渾身の2色を考えました。ブランドの女性像を表現する色です」。そして、そのカラーリップのデザインと合わせて制作したという陶器のリップケースは、高園の地元である佐賀で伊万里鍋島焼の窯元として98年の技術を伝承する「畑萬陶苑」と協業。老舗の伝統とセンスに惹かれたこと、そして過疎化が進む地元の魅力を発信していきたいという思いから実現した。

インフルエンサー・ブランドではなく、デザイナーズ・ブランドとして

「ジゼルフ」のコンセプトは、「全てオリジナルで発信していくこと」。アパレルは高園のこれまでの経験や知識を活かしたアイテムをまずは15型に限定して展開する。それ以外にブランドの要とするのが、毎シーズン発表するコラボレーショングッズだ。あらゆる分野のプロとタッグを組むことで、本質を追求した新しいモノ作りを掲げる。「経験のないアパレル以外については他ブランドからセレクトするのではなく、コラボレーションすることで、ブランド全アイテムをオリジナルで発信していくことに価値を置いています。私自身、30代半ばになり、これから自分が使い続けたいものって品質や成分など信頼できるものだなって。であれば、ビューティや陶器などその道のプロと一緒に作ることで、本物の価値をブランドとして見出せていけると思ったんです」。

「アングリッド」時代から抱える高園のインスタグラムのフォロワー数は14万を超える。彼女のような大手アパレル企業のブランドディレクター出身で独立し、自身のブランドを立ち上げるインフルエンサーは今やめずらしくないが、そうしたブランドとは一線を置く。「広告は一切うたず、従来のプロモーションもせず、できるだけ私が前に立つ形で商品を発信することもしないつもりです。あくまで主役は商品。モノ自体やブランドの思いを通じて商品を買ってもらえるよう育てていきたいし、デザイナーズブランドとして届けられるようになっていきたいと考えています」。

現在は、ブランドのオンラインサイトのみで販売。来年には、セレクトショップや地方ショップへの卸を始める計画で、3年以内には西と東に1つずつ旗艦店を構えたいと話す。「デリバリーはまず月2回ですが、数も増やしながら、向かうべき方向に一つ一つ進めていきたいと考えています」。

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