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ファッションビジネスにおける AI利用時の注意点(2024年6月)

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PROFILE: 橋爪航/弁護士

橋爪航/弁護士
PROFILE: (はしづめ・わたる)東京大学法科大学院修了、2019年弁護士登録。西村あさひ法律事務所、ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所を経て23年から三浦法律事務所。弁護士をしながらエスモードジャポン東京校でパターンメイキング・縫製を専攻(21~22年)、現在は非常勤講師を務める。文化庁文化芸術活動に関する法律相談窓口の担当弁護士やFashion Law Institute Japan研究員も務める。知的財産権、エンターテインメント、ファッションロー、アートロー、スタートアップ法務を中心に取り扱い、数多くの講演・執筆を担当している

日本は、著作権法で機械学習のために他人の著作物を許諾なく利用することが可能とされている点で「機械学習パラダイス」と評されることがあり、作品が利用されるクリエイターらの反発も見られる。また、人間の感情や思想を創作的に表現したものを保護する著作権の性質上、機械であるAIが作ったものは著作権で保護されないという原則もあり、著作権法による保護の可能性についても議論されている。

こうした状況を受けて、省庁や公的な検討会などでAIに関する方針を整備しようとする動きが見られ、文化庁が3月に公表した「AIと著作権に関する考え方について」(以下、「指針」)もその一つだ。裁判例などがなかったためルールが明確でなかった点についても「指針」では一定の考え方を示している。そこでこのうち、ファッションビジネスに関係するポイントを橋爪航弁護士に聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月17日号からの抜粋です)

4月には経産省と総務省が「AI事業者ガイドライン」を取りまとめた。また、今夏にはAIに関する法規制について検討する有識者会議が設置されると報じられ、日本でもAIを取り巻くルールの整備が少しずつ進んでいる。

文化庁は「指針」を取りまとめた経緯について、AIが学習および生成に利用するデータの著作権者からも、AIを開発する事業者からも、そしてAIを活用するユーザーからも、それぞれの立場から権利侵害をしてしまうことに対しての懸念、そして権利侵害されることに対する懸念の声が上がってきたことを挙げている。つまり、どの立場であっても生成AIに関するルールが明確でないため、活用しにくい点があるということだ。

「指針」は、生成AIと著作権を巡る考え方について、これまでより踏み込んで整理しているため、法的拘束力はないものの、事業者やユーザーが生成AIを活用する際に参考になる重要な指針となると橋爪弁護士は説明する。

その中でも「一般的に著作物性が認められないAI生成物について、どうすれば著作物として保護される可能性が高まるかを示した部分は、ファッションビジネスでAIを活用する側にとって、自らが生成AIを利用した作品を他者から守るために押さえるべきポイントだ」という。

AI生成物の著作物性はどれだけ労力をかけたかにとどまらず、ユーザーの創作的寄与(AIを道具としてユーザー自身が創作的・特徴的な表現部分の作成に寄与すること)があるといえる要素がどの程度あるかなどを総合的に考慮して判断される。「ポイントは3点あり、①プロンプトの分量・内容、②生成の試行回数、そして③複数の生成物からの選択だ」(橋爪弁護士)。

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