ファッション
特集 MDの仕事 第3回 / 全8回

いかに商品の魅力を売り場に伝えるか 「ジャーナル スタンダード」MDの現場に密着取材

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いかに商品の魅力を売り場に伝えるか 「ジャーナル スタンダード」MDの現場に密着取材

case01:

JOURNAL STANDARD

AYUMI SANGU

MD(マーチャンダイザー)は実際、どんな仕事をしているのか。商品にまつわる“司令塔”の知られざる仕事に密着取材した。三宮歩さんは、学生時代から「ジャーナル スタンダード(JOURNAL STANDARD)」愛用者で、10年ほどの店舗勤務を経て7年前にMDへ異動。スタイリング提案が真骨頂で、アイテム数も多い「ジャーナル スタンダード」のウィメンズのオリジナルアパレルを担当する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月10日号からの抜粋です)

PROFILE: 三宮歩/ベイクルーズ ジャーナル スタンダードDiv.SMD

三宮歩/ベイクルーズ ジャーナル スタンダードDiv.SMD
PROFILE: (さんぐう・あゆみ)調理師専門学校を卒業後、2007年3月に「ジャーナル スタンダード」の販売員としてベイクルーズ入社。10年に副店長、11年に店長就任。渋谷店や横浜店など大型店の店長も務める。17年から現職。飼っている2匹のミニチュア・ピンシャーボン&ボビーが癒やし。24年春夏のベストとインナー(「ヘルスニット(HEALTHKNIT)」とのコラボ)、パンツを着用。アクセサリーは「メゾンドパルス(MAISON D'PULSE)」、シューズは「エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)

どれを作るか、作らないか 
スタイリングベースで考える

ボード検討会(3カ月に1回)

ボード検討会(3カ月に1回)
with: ブランドディレクター、セクションマネジャー

MDが作った枠組み(具体的なアイテム、型数、価格、数量、展開時期)に沿って、企画が月ごとのボードにデザイン提案をまとめて提出。全体のアイテムバランスを見ながら、ボード上で検討し、サンプルを作るものを決めていく。ボードには絵型が50枚程度、スタイル(カセット)ごとに貼られ、スタイリングのイメージ図も付いている。店頭に並んだときやウインドーで見せるためのスタイリングを月の前半と後半で考える。ここで没になる絵型もあるし、再度新しい提案を求める場合もある。サンプルを作りすぎないようにするためにも、ここでの検討が非常に大事。「どの提案も企画の強い思い入れがある。めちゃくちゃカロリーを使う時間」と三宮さん。翌日企画チームに戻し、1点1点のデザインについて、素材やディテール、予定価格を詰めていく。検討結果について企画チームがすんなり納得することは全然ないそうで、議論をしながら最終的に収めていくという。

店頭スタッフ向けにインスタライブ
入荷を楽しみにしてほしい

店舗向け戦略共有会(月1回)

店舗向け戦略共有会(月1回)
with: 企画、バイヤー、PR、ウェブVC、店長、ショップスタッフ

全国の31店の店舗スタッフに向けて、翌月納品予定の商品をインスタライブで説明する。本社スタッフが入荷予定商品を着て、カメラの前に立ち、MDとバイヤーが商品のこだわりやスタイリング提案を見せながら解説する。店舗に出勤している人、自宅から見る人など、この時は約70アカウントがリアルタイム視聴。ここで紹介するアイテムについてのカタログ的な冊子をPR/ウェブVCチームが毎月制作し、各店に事前に配布される(1点1点を詳細に説明した資料は別にある)。紹介するアイテムは必ずしも数を積んだ強化アイテムではない。「買い付けも含めて新鮮なラインアップを紹介することで、スタッフの新作入荷への期待を高めることを大事にしている」。

TIME SCHEDULE
7:00 起床
9:00 出勤。店舗向け戦略共有会の準備(話す内容等は前日頭の中でシミュレーション)
9:30 店舗向け戦略共有会
10:30 OEMメーカーと商談
12:00 ランチ(オフィスの下に来るキッチンカーで買ってデスクで)
13:00 内見に向けての打ち合わせや会議、発注業務等、その時のスケジュールで動く
19:30 退勤
21:00 ヨガ教室(週2回)
23:00 晩酌(「金麦」好き♥)
25:00 就寝

率直な意見を店長から集め、
商品と計画に反映する

内見会(3カ月に1回)

内見会(3カ月に1回)
with: 企画、店長、エリアマネジャー、EC担当、ブランドディレクター、セクションマネジャー

店長とエリアマネジャー、EC担当にサンプルを見せ、意見をもらい、セカンドサンプルや、発注量、納期計画に反映する。最初にデザイナーがテーマを説明し、どうスタイリングを提案するかをカセットごとに説明。その後、MDが前年の実績をアイテムごとに振り返りつつ、今年の改善点や強化ポイントを説明。売れ筋商品の数やチャレンジングなアイテムへの反応、色や素材のバリエーション、納期など、意見が欲しいポイントを明確にする。その後、本社スタッフがほぼ全部のアイテムを着て見せ、そこでも個々のアイテムについて説明。ファーストサンプルなので、修正予定についても細かく共有する。店長たちには納期や価格、枚数が入った絵型のシートが配布されており、そこに意見を書き込んでもらう。その日のうちに記入してもらい、全てに目を通す。ECチームからは打ち出し希望アイテムも。意見の吸い上げ方は毎回試行錯誤しているという。

上司はこんなふうに考えている!

鬼柳哉子/
ベイクルーズ ジャーナル スタンダード レディスDiv.ブランドディレクター

優秀なMDとは?
予測力、思考力、行動力+創造性が、モノを生み出すファッション感性とビジネスに直結する。それらを兼ね備えた人。

ダメなMDとは?
同時にさまざまなことが進行しているので、1つのことしかできないタイプの人、分からないことを人に聞けない人は難しいと思う。また、やる気とブランド愛がないと続かないのではないかと考える。

MDを目指す人に一言
日常からさまざまな視点で情報をインプットし、かつアップデートすることはとても重要。数値の側面だけでなく、顧客を想像してものごとの判断をするためにも、店舗経験が役立つ職種だ。

三宮さんの優れた点は?
MDという職種の枠にとらわれず、お客さまに商品が届くまで全力で考え、幅広く行動に移すことができる人。

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