ファッション

「スウォッチ」がアーティストのVERDYとのコラボコレクションを発売 本人が語るコラボレーションや「ベネチア・ビエンナーレ」への参加

スウォッチ(SWATCH)」は、日本人アーティストのVERDYと“スウォッチ×VERDYコレクション”を発売した。両者はすでにイタリアの芸術の祭典「べネチア・ビエンナーレ国際美術展」(以下、「ビエンナーレ」)で「ヴィック ブロンズ バイ ヴェルディ(VICK BRONZE BY VERDY)」を発表し、4m大のブロンズカラーのフィギュアと時計をお披露目していたが、今回新たに4型をリリースした。

今回発表したのは、直径41mmの“ヴィック バイ ヴェルディ(VICK BY VERDY)”と“ヴィスティ バイ ヴェルディ(VISTY BY VERDY)”“ウェイステッドユース バイ ヴェルディ(WASTED YOUTH BY VERDY)”の3型(各1万5950円)と、34mmの“ガールズドントクライ バイ ヴェルディ(GIRLS DON’T CRY BY VERDY)”(1万4300円)で、それぞれVERDYを象徴するキャラクターやメッセージを文字盤やベルトに描いた。

さまざまなブランドと仕事をしているアーティスト自身の言葉で「スウォッチ」とのコラボレーションについて語ってもらった。

コラボレーションの経緯 
過去の名作をオマージュしつつ自分らしさも表現

WWDJAPAN(以下、WWD):今回のコラボレーションの経緯は?

VERDY:1年ほど前に今回発売したコラボコレクションの製作が決まり、そのプロセスで「スウォッチ」がサポートしている「ビエンナーレ」への参加を打診され、4m大のフィギュアの展示とブロンズカラーの限定時計の発売が決まった。

WWD:それぞれのアイテムについて。

VERDY:ハードコア・パンクファンのあいだで名作とされる、文字盤に「ストレート・エッジ(喫煙、ドラッグ、飲酒、快楽目的のセックスをしないというハードコアの思想)」のシンボルの「X」の文字が書かれた「スウォッチ」の時計がある。“ヴィック バイ ヴェルディ”はそれをオマージュし、「アナキズム」と「パンク」のシンボルである「A」を書いた。“ウェイステッドユース バイ ヴェルディ”は、文字盤にパンキッシュなコラージュで文字を入れ、ベルトにはいつも使っている総柄をあしらった。“ヴィスティ バイ ヴェルディ”は、新しいキャラクターであるVISTY(ヴィスティ)を使い、子どもの着用をイメージして派手で楽しい配色で作った。ひとまわり小さい“ガールズドントクライ バイ ヴェルディ”はメッセージ通り、女性が着用することを想定した。これも「スウォッチ」の過去の名作に敬意を払い、クリアカラーの文字盤とベルトにした。

WWD:先行発売されたブロンズカラーのVICKの時計は、口の中の色が変わる仕様になっている。

VERDY:これは「スウォッチ」のデザインチームから提案してもらった。自分はあくまでグラフィックアーティストなので、プロダクトのデザインについて知らないことも多い。今回のように、パートナーのブランドから提案してもらったアイデアを採用することも多い。

アートとの関係が深い「スウォッチ」ならではのやりやすさ

WWD:製作は本国のデザインチームと進めていた?

VERDY:リモートで打ち合わせを続けてきたが、ファッションウイークでパリを訪れた時に打ち合わせをしたり、サンプル品を見せてもらったりした。打ち合わせ後の雑談で生まれるアイデアも多く、ともに仕事をする相手の人となりを知ることも必要。直接会って話すのは重要だと感じている。

WWD:アートとの関係が深い「スウォッチ」ならではのやりやすさはあったか?

VERDY:去年のジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)とのコラボレーションをはじめ、「スウォッチ」にはアーティストと作った膨大なアーカイブがある。それらを参照することで、アイデアをより具体的に想像できた。ベルトから文字盤、時計の針に至るまで、さまざまな要素をカスタムできる自由度の高さも魅力的だった。

WWD:さまざまなブランドや企業とコラボレーションをしているが、コラボレーションのパートナーを選ぶ基準は?

VERDY:そのブランドに対する思い入れがあるかどうか、直感的に自分が作りたいプロダクトのイメージが湧くかどうかを大事にしている。「スウォッチ」にはアーティストとのコラボレーションの歴史があり、キース・ヘリング(Keith Haring)が描いたポスターなど、自分にとっても思い入れが強いプロジェクトも多く、すぐにアイデアが湧いた。

自分らしさを貫いたからこその「ビエンナーレ」への参加

WWD:アーティストであれば誰もが参加を夢見る「ビエンナーレ」への参加が叶った。

VERDY:ストリートやファッションの文脈で作品を発表してきたので、「ビエンナーレ」は遠い世界だった。当初は想像もつかなかったが、こんなチャンスはなかなかないと思い挑戦を決めた。ベネチアでは各国のパビリオンを巡って作品を見て回ったが、イベントの規模にも圧倒されたし、難解なインスタレーションやコンセプチュアルアートなど、さまざまな種類の作品にも触れて多くの学びを得た。また初めて訪れたベネチアの街からも大いに刺激を受けた。

WWD:日本の代表としてではなく、「スウォッチ」とのコラボレーションの一環として「ビエンナーレ」に参加した。

VERDY:ぼくは、純粋なアーティストともグラフィックデザイナーとも異なり、カテゴリーしづらい異質な存在という自覚がある。活動を始めた当初は、デザイナーにせよ、アーティストにせよ、どちらかに専念しないと成功できないとさんざん言われてきた。そんな自分がブランドとのコラボレーションで「ビエンナーレ」に参加できたのは、自分らしさを貫いたからこそだと感じる。

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