リナ・サワヤマ/シンガーソングライター
1990年生まれ、新潟出身。5歳の時に家族と共にロンドンへと移住し、進学したケンブリッジ大学で政治学と心理学の学士を取得。音楽制作は13歳から行なっていたが、大学卒業後にアーティスト活動を本格化。2017年にEP「RINA」でインディーデビューし、20年に発表した1stアルバム「SAWAYAMA」でブレイク。22年には音楽フェス「サマーソニック」で日本初のパフォーマンスを披露し、同年2ndアルバム「Hold The Girl」をリリースした
イギリス・ロンドンを拠点に活動する日本人シンガーソングライター、リナ・サワヤマ(Rina Sawayama)。R&Bやポップを下地としたサウンドを独自の世界観で昇華させた高い音楽性と共に、自身も属するLGBTQ+コミュニティをはじめ、声なき声の代弁者たるメッセージ性の強いリリックから、世界中で人気を集めるクィア・ポップスターだ。
H&Mグループの「コス(COS)」は、そんな彼女の姿勢に賛同する形で、2024年春夏シーズンのキャンペーンビジュアルのモデルに起用した。これを記念して、「WWDJAPAN」ではファッションにフォーカスしたショートインタビューを敢行。日本とイギリスという2つのバックグラウンドを持つ、彼女のファッション観とは?
ーーまずは、あなたが「コス」に対して抱いていたイメージについて教えてください。今回のコラボレーションを通じて、そのイメージは変わりましたか?それとも予想通りでしたか?
リナ・サワヤマ(以下、リナ):私にとって「コス」は、ワードローブにあるどのアイテムともコーディネートが可能な、間違いのないアイテムがいつでも手に入れることができるブランドですね。どのアイテムも長年ワードローブにありながら、時を経ても購入したばかりのような良い状態で着ることができています。今回のキャンペーンを通じて、トレンドを取り入れながらタイムレスにも着られるブランドであることを改めて知ることができました。
ーーキャンペーンビジュアルではさまざまなスタイリングを披露していましたが、気に入ったアイテムはありましたか?
リナ:ブラックドレスはドレープが美しく、ドレスアップしたいフィーマルなシーンはもちろん、ジャージー素材なのでカジュアルなシーンでも着用できるアイテムだと思いましたね。
ーーファッションブランドのビジュアルにフィーチャーされることの魅力と意義について、どう考えていますか?
リナ:ここ数シーズン、「コス」のキャンペーンに私が尊敬している才能ある人々が起用されたりと、ファッションブランドのビジュアルは世界的に年々注目度が高まっていると感じていました。その中で、私もその一員として招かれたことは本当に光栄です。
ーー現在のファッションシーンについては、どのような印象を持っていますか?
リナ:以前よりも、勇気を持って自己表現する人が増えている傾向にある気がします。
ーー自身のファッションの原体験は覚えていますか?
リナ:“実験”ですね。というのもファッションは、音楽や映画の世界と現実を行き来することで、新しいキャラクターにチャレンジできる最も重要な手段の一つでした。今の私にとっても、自己表現そのものですね。
ーーアーティストのリナ・サワヤマとしての“オン”のファッションと、日常生活の“オフ”のファッション。この2つの共通点や相違点、気を付けていることがあれば教えてください。
リナ:“オン”であるステージ衣装は、パフォーマンス中が最もパワフルな自分を体現している瞬間でもあるので、“鎧”ですね。最近、2ndアルバムの2度目のツアー「Hold The Girl: Reloaded」を終えたのですが、スタイリストでデザイナーのジャレッド・エルナー(Jared Ellner)や、素晴らしいブランドからの協力もあり、私の音楽をファッションで視覚的に具現化することができました。一方、創作活動中や“オフ”の日は、それこそ「コス」のアイテムが都会生活に適した実用性と汎用性を兼ね備えているので、頼りきっています。
ーー最後に、これまで2年周期でアルバムをリリースしてきましたが、次回作に関して公開できる情報があれば教えてください。
リナ:この3年間で、2つのアルバムをリリースし、3度のワールドツアーを終え、映画「ジョン・ウィック:コンセクエンス(John Wick: Chapter 4)」で俳優キアヌ・リーブス(Keanu Reeves)の相手役としてスクリーンデビューを果たすこともできました。だから、今は友人や家族、“Chosen family”(注:血縁等に縛られず、自身で選んだ家族の意)らと一緒に過ごしたり、訪れたことがない場所へ旅行したり、楽しく過ごしながら次回作のインスピレーションを集めている途中です。日本のファンの方々とは、6月にお会いできることを楽しみにしています!(注:NewJeansの来日公演にゲストアクトとして出演予定)