安易な模倣を“ジェネリックコスメ”と呼ぶなかれ

「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、X（旧Twitter）やFacebook、Instagram、TikTok、そしてThreadsをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか？そして、どう向き合うべきなのか？日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、安易な模倣さえ“ジェネリックコスメ”と称して投稿してしまう昨今の潮流を考える。

ソーシャルエディター浅野：ファッション業界でもビューティ業界でも度々話題となる模倣品問題ですが、最近もプチプラコスメブランドがプレステージブランドの名品にそっくりのアイテムを発表してSNSで話題になりました。

「ディオール（DIOR）」の名品である“ディオール アディクト リップ マキシマイザー”から火がついたリップ美容液（リッププランパー）など、カテゴリーとして似たものが市場に増えるのは納得できますが、今回は見た目のデザインがそっくりそのまま。「これって、あのブランドのあの商品だよね」と一目でわかるものでした。こういったパクり商品は過去にも山のようにありましたが、今回はメディアやインフルエンサーが「あのデパコスにそっくりなのにプチプラ！」と、模倣を肯定するような発信が当たり前になってきているのはどうなのか？といった声まで上がりました。確かにそれを影響力のある発信者が肯定してしまうのは問題です。とくにビューティは“高価なアイテムに似ているプチプラコスメ”がコンテンツ化しており、模倣に対する感覚が麻痺しているように思います。ファッションでは模倣品に対して消費者も「NO！」の意見が多い気がしますが、どう思いますか？

記者村上：まだまだファッションの世界にも、「流行り廃りが激しい商品の時は、ニセモノを買っちゃう」なんて投稿が先日炎上したように、麻痺している人がいないワケではありません。でも、見た目が似ている製品を比較・検証しちゃう投稿、ましてや「マネしたでしょ？」としか思えない製品さえ「発光感のあるツヤを求めるなら、コチラ」みたいなノリで推しちゃうのは、ビューティ業界独特かもしれないですね。