ファッション

「ドレスキャンプ」2015-16年秋冬東京 スタイルは不変。今季は虚栄の儚さをのせて

 インビテーションは大きな血の色のようにも見える赤い大きな紙。座席には“VANITAS(ヴァニタス)”と書かれた紙が一枚置いてある。ヴァニタスとは、16~17世紀にかけてフランドルやネーデルラントなどで多く描かれた寓意的な静物画のジャンルのひとつで、「人生の空しさの寓意」を表わすもの。豊かさを意味する静物の中に、人間の死の隠喩である頭蓋骨や時計、パイプ、腐っていく果物などを置き、観る者に対して虚栄のはかなさを喚起する意味も持っていた。

 もの悲しい音楽とともに登場したのは、真っ黒のコートドレスを着たモデル。顔の血色はなく、かすみ草のベールで頭を包んでいる。その後も黒のドレスが続く。ドレスをベールで包んだようにドレスの上からチュールを重ねたドレスもある。

 一方、メンズは細身のパンツに膝丈のプルオーバー、ジャケットを基本スタイルに、「ドレスキャンプ」の文字や紋章、☆のモチーフを刺繍したスエットやスタジャンなど、アイキャッチなアイテムをレイヤード。足元にはファーを飾ったサボを合わせ、スタイルを完成させる。細身のジャンプスーツや大ぶりのモノグラム風花モチーフやチェックなどを切り替えたビックラペルコートなど、1つで主役級のアイテムが並ぶ。

 その後、登場したウィメンズも、メンズ同様のスカーフモチーフのドレスなど、ノリのよい音楽ならばいつもの「ドレスキャンプ」スタイルだが、音楽に引きずられる。終盤は「ドレスキャンプ」らしいラッフルやティアードのディテールを多用したドレススタイル。ストライプやペイズリー、ドット柄を切り替え、レースやラメ素材でたっぷりと飾った。

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