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伊藤忠・繊維、23年度は「スポーツ」「シューズ」「百貨店ブランド」の3分野を強化 主要幹部が語る

伊藤忠商事・繊維カンパニーは2023年度、「スポーツ」「シューズ」「中高級品」の3分野を強化する。4月1日付で新たに繊維カンパニープレジデントに就任した武内秀人・執行役員は「今年度は安定的に純利益300億円を稼ぐための基礎作りに注力する」と語った。7月31日に、武内・新繊維カンパニープレジデントや中西英雄ファッションアパレル部門長、福垣学・執行役員ブランドマーケティング部門長ら、繊維カンパニーの主要幹部が揃った会見で明らかにした。

伊藤忠・繊維カンパニーの22年度の純利益は前期比3億円増の254億円で、23年度の純利益は過去最高となる330億円を計画している。ただ、この330億円の中には一過性利益が数十億円規模で入ると見られ、今後も安定的に純利益300億円を稼ぐためには、成長分野での事業拡大が必須になる。スポーツはファッション・アパレル部門が管掌するデサント、「アンダーアーマー」のドーム、シューズはブランドマーケティング部門が管掌する「コンバース」「リーボック」「フィラ」、中高級品はメンズのジョイックスコーポレーション、ウイメンズではレリアン、「レスポートサック」、インポーターのコロネットなどが軸になる。

スポーツでは強化策の一環として、5月以降に約30億円を投じてデサント株の追加取得を行った。ファッションアパレル部門の中西英部門長は「日中韓でバランスよく稼ぐ体制を構築しつつある。日本事業は直営店を強化する」方針。昨年に子会社化し、繊維カンパニーの2人の幹部を送り込んでいるドームについても「ファッションアパレル部門の原料から製品までのバリューチェーンを生かし、全力でバックアップしていく」という。伊藤忠は中国子会社の伊藤忠繊維貿易(中国)(以下、ITS)が欧米や中国のグローバルブランドに供給するサプライヤーで、こうした強みを生かす。

また強化分野のシューズでは、ファッションアパレル部門管掌のデサントやドームに加え、ブランドマーケティング部門が管掌する「コンバース」と、部門をまたがっている。繊維カンパニーは昨年7月の組織再編で、繊維原料やOEMを主力とするファッションアパレル部門とライセンスブランド事業を主力とするブランドマーケティング部門の2部門に集約しており、武内プレジデントは「さらなる部門横断も、今年度の最重要テーマの一つ。シューズでは2つの部門間の垣根を超えて、横串を入れていく」。シューズ販売は「コンバース」を主力に年間1000万足規模に達しており、「こうした生産背景をより強化し、各所に散らばっていたシューズのエキスパートを集約し、改めてシューズの生産も強化する」(福垣学・執行役員ブランドマーケティング部門長)。

3つ目の強化分野として掲げる中高級品分野の主要販路は百貨店だが、「コロナの収束に伴い、インバウンドが急ピッチで回復している。きめ細かく分析し、アプローチする」(福垣部門長)。メンズでは「ポール・スミス」「スキャバル」、ウイメンズではレリアンという有力ブランドを抱えており、回復基調にある百貨店販路を再強化する。

8月4日に発表した繊維カンパニーの4〜6月期決算は、基礎収益と純利益がいずれも前年同期比で5億円増の46億円だった。主要子会社・関係会社はドームが5億円の赤字、レリアンが3億円、三景が4億円、ITSが5億円(いずれも取り込み損益ベース)だった。

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