
今年もさまざまな“スタイリスト本”が発売されたが、特に注目なのはスタイリスト菊池京子の単行本だ。「オリコン2014年 年間“本”ランキング」のファッション部門TOP10では3月に発売された「K.K closet スタイリスト菊池京子の365日 Spring-Summer」が9万部、9月に発売された「同 Autumn-Winter」(ともに集英社刊)が15万5000部を記録(12月15日現在)。2作品がランクインするという人気ぶりだ。春夏版は発売日即日に重版が決定し、秋冬版は発売4日目に重版が決定したという。発売後の反響もかなり大きく、掲載されたブランドアイテムは続々と完売し、ウェブサイト「K.K closet」のアクセス数も倍増した。
この本では、菊池京子の毎日のコーディネートがダイアリー形式で紹介されている。掲載アイテムは全て私服。編集担当である黒田里香「マリソル」副編集長は、同作の魅力について「菊池京子のスタイリングがとにかくたくさん見られる! それに尽きると思う。彼女のシンプルでいて完成度の高いスタイリングは、読む人が『私でも出来そう』と思えるもの。でも実は、ものすごく計算されていて、普通のスタイリストが真似しようとしても絶対にできない。でも、読者には真似ができる。矛盾しているようだけれども、実はそこが菊池京子のスタイリング力のカギであり魅力。20年以上ファッション誌の編集者をやっているが、彼女のような天才的な感性を持ちながら、あれだけ努力している人は他にいない。そんなNo.1スタイリストのコーディネートが毎日の着こなしの参考にできるようなダイアリー形式となっている。読んでいるとまるで、スタイリスト菊池京子になったような……そんな気分になれる文章も良い」と説明する。
また、菊池京子の単行本を長年担当し続ける岡崎直子ライターは「365日の着回しコーディネートが2冊の本にコンパクトにまとまっている。このハンディさで、読み込んでみると実は一つ一つのコーディネートにたくさんのおしゃれのエッセンスが詰まっている。パッと見て面白そうで、読み込んでみると予想よりもさらに内容が濃い。シンプルに見えるものほど、その奥行きを見つけたときのワクワク感が倍増するのだと思う」と話した。