ビジネス

注目の日韓スタートアップ「チャネルトーク」が変えるオンライン接客

 韓国発のEC用のコミュニケーションツール「チャネルトーク」が急成長している。同ツールを手掛けるのは、韓国・ソウルで2014年に創業したチャネルコーポレーション。これまで日韓のベンチャーキャピタル(VC)から11億8000万円の資金調達を行い、8月末には新たにグローバルVCから27億円の資金調達を予定するテクノロジースタートアップだ。導入実績はグローバルで5万6000社以上、日本では昨年売上高が7倍という高成長を遂げた。日本国内でも導入数を伸ばす「チャネルトーク」は、どのように企業を支えるのか。

日韓VCから注目を集めるワケ

 韓国ではスタートアップブームが続くが、「チャネルトーク」のようなBtoB のSaaS企業は異色だ。同社の玉川葉=本国取締役兼日本CEOは「実は短期的な成長だけを考えれば、大手企業向けのエンタープライズ型の開発案件を手掛けた方が売上効率は良い。逆にさまざまな業種の、しかも中小企業をターゲットにすれば市場は大きくなるが、その分、システムの完成度や使いやすさのハードルは上がるため難易度はかなり高くなる。われわれが“テクノロジースタートアップ”を掲げ、注目を集めているのはそうした難易度の高さに果敢に挑みながらも、日韓で同時展開し、成功を収めているからだ」という。創業者で本国CEOのチェ・シウォンは、小学生のころからプログラムを書き始めた生粋のエンジニアであり、同時に大規模サーバー構築に精通した韓国屈指のサーバーエンジニアなのだ。「チャネルトーク」がスタートアップ企業として注目を集める理由は世界屈指のサーバー構築で、最大の強みもそこにある。「われわれが他社と比べても格段にリーズナブルな価格でサービスを提供できているのは、世界屈指のサーバーシステムを構築できているため。チェCEOが開発した、速度やメモリなどの処理効率を最大化したサーバーシステムは、韓国のAWSの成功事例に掲載されるほど。間違いなく世界最高レベルのコストパフォーマンスを叩き出している」と語る。

LINEなどの顧客との
ウェブチャット・トークを
一元管理

 チャネルトークはECサイトに導入するチャットツールであり、同時に顧客管理機能も備える。「安くて、早くて、効率化されていることがサービスの価値だ。従来のチャットサービスは複雑で、提供する会社のサポートが必要だったが、そういったものはいわば高級ディナーのようなもの。例えるなら、われわれは便利でおいしいファストフードだ」と玉川CEO。「チャネルトーク」の管理画面は誰にでも使いやすいユーザーインターフェース(UI)で、ウェブチャットやライン公式アカウントなどの問い合わせを一元管理することができる。顧客データの保存と管理まで一括で行えるので、次のアクションの計画を立てやすく、管理の労力も削減できる。カスタマーサポートの対応時間を75%削減した企業もある。
 
 玉川CEOは企業の課題解決において、顧客との会話を重視すべきだと指摘する。「EC市場の拡大に伴い、現在は集客コストがどんどん高くなっている。流入を増やすのではなく、コンバージョン率を高めるべき。だからコミュニケーションが重要になる」。店舗ではスタッフとの会話の中で商品やブランドに対する理解が深まり、ファンが生まれる。接客機能のないECは、いわば便利な自動販売機のようなもの。玉川CEOは「日本のEC化率が低いのは、店舗の方がいい体験ができ安心して買い物ができるからだ」と話す。「チャネルトーク」を導入するのはアパレルや化粧品など、店頭で試して購入する商材が多く、接客によって売上アップに繋がるカテゴリーのブランドやサービスが多い。

ECを「脱・自動販売機」、
アップセル&クロスセルで
コンバージョン7割アップも

 中でも高い成果をあげている企業は、店頭スタッフや社長自らチャット接客を行うという。そうした人員はカスタマーサービスのスタッフに比べ、商品知識が豊富だ。ブランディング面で利点があるだけでなく、ECでは提案しにくかったアップセル、クロスセルも会話から生むことができる。チャット導入により、コンバージョン率、リピート率70%を達成した成功事例もある。

 顧客データを増やすため、顧客とのコミュニケーションを増やすべきだ、というのも同社の考え方だ。坂本彩チーフカスタマーオフィサー(CCO)は「たくさん会話をしてほしいという思いで料金設定をしている」と話す。「チャネルトーク」の最低料金は無料、ECサイト自体のトラフィック規模に応じて課金する従量課金制。つまりは企業規模に応じて料金を設定しているのだ。「“答えは顧客にある”というのが『チャネルトーク』の理念。顧客の声を聞くことで改善し、信頼を得て、リピート購入につなげる。コミュニケーションをとることは企業のコアであり、当たり前になるべきことだ」。

「チャネルトーク」でリピート率8割、
顧客対応効率は7割アップ

 「チャネルトーク」は単なるチャット機能ではない。顧客との積極的なコミュニケーションによりリード獲得や既存客のエンゲージメント、LTV向上に貢献するほか、顧客データの管理、マーケティング機能まで一元化したサービスだ。顧客対応は有人のチャット接客に加え、自動処理のチャットボットも導入できる。よくある質問の返答などにボットを導入することで、顧客を待たせることなく、同時に複数人の対応も可能。ボットは開発いらずで、ユースケースに合わせたテンプレートもあるため、短時間でサイトに設置できる。また無料の社内チャットもあり、顧客の声を手軽に社内共有できる。

 取得した顧客データはセグメントをカスタマイズして管理し、顧客をフィルタリングしてメッセージを送信するなど、追加訴求まで円滑に行える。メッセージはSMSやメールで送信するほか、サイト訪問中の顧客にはポップアップを表示。さらにメッセージの効果検証やABテストまで可能だ。

TEXT:ANNA USUI

問い合わせ先
チャネルトーク
info-jp@channel.io