ファッション

デジコレでドタバタ対談 優美な「フェンディ」に癒やされ、「ドルガバ」から元気をもらったミラノコレ初日

 2021年春夏ロンドン・コレクションが終了し、早くもミラノ・ファッション・ウイークに突入です。引き続き、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、ミラノ・コレクションの幕開けとなった9月23日(現地時間)をリポート!メンズ、ウィメンズともに各都市のコレクションを取材してきた「WWD Japan.com」の村上要編集長と、ランウエイだけでなくバックステージビューティの取材をしている北坂映梨ビューティデスクがミラノコレ初日の様子をお届けします。

北坂:ついにミラノ・コレクションが始まりましたね。現地にいないせいか?デジタルだからなのか?ファッション・ウイークがあっという間に過ぎていく気がするのは、私だけでしょうか……?!

村上:単純に日本で、いつもと変わらない仕事をしながらファッション・ウイークを取材しているからだと思うよ(笑)。今日は終日、とあるコンテストの審査員でした。これまでのファッション・ウイークだったら絶対に引き受けられないけど、それが出来ちゃうのは、いいことなのかもしれない(笑)。

発表時期や方法を変更した「ミッソーニ」から幕開け

北坂:トップバッターの「ミッソーニ(MISSONI)」は2021年春夏コレクションではなく、20-21年秋冬コレクションのキャンペーンムービーをライブ配信しました。今季から「インシーズン」モードを採用し、ファッションショーをコレクションを見せる商業的なものから、グローバルな顧客に対するイベントに変更するんだとか。21年春夏コレクションは、バイヤーには従来通りのスケジュールでお披露目・販売するものの、私たちへの発表は実際のシーズンに近いタイミングで発表するそうです。秋冬のキャンペーンムービーは、デザイナーのアンジェラ・ミッソーニ(Angela Missoni)が実際に住んでいたという北イタリアのヴァレーゼが舞台です。風情ある街中を2人の恋人が駆け回り、なんだかとてもセンチメンタルな雰囲気が漂います。リッチなカラーに染まった幾何学模様のニットやセットアップが、イタリアの夕焼けにマッチしています。

村上:ムービーの冒頭は、イタリアのファッション評論家アンジェラ・フラッカヴェント(Angelo Flaccavento)がアンジェラにインタビューする形式の「アンジェラ&アンジェロ」対談だったね(笑)。「ちょっぴり残念だなぁ」と思ったのは、家族や住まい、そして父親が旅先から送ってくれたポストカードなどの話が出てくるのに、そこで差し込まれる映像が20-21年秋冬キャンペーンの繰り返しだったこと。ステキに違いないミッソーニ家のインテリア、家族の写真、そして現物のポストカードなどを見ることができたら、コレクションにもっと共感できそうです。

「ディースクエアード」流の“アットホーム”を提案

北坂:「ディースクエアード(DSQUARED2)」はルックブックを動画風にアレンジ。テーラードスーツやカーゴパンツにレースやサテンのランジェリーを合わせたり、ボディーコンシャスなドレスの背中を大胆に開けたり、クールなセクシーさは健在でしたね。レザーのチョーカーやハーネスもあったりして、パンクっぽい。ちょっとフェティッシュぽい雰囲気も感じました。今季は“リラックス”“コンフォート”“アットホーム”のようなキーワードが浮かぶコレクションが多い印象ですが、そういうイメージとは少し違いますね。

村上:「パンク」「フェティッシュ」は、いずれも「ディースクエアード」の得意技だね。確かにコンパクトでシャープなテーラードやミニドレスが得意なブランドだけど、オーバーサイズのチェスターコートにランジェリーのようなスリップドレスのルックは、「ディースクエアード」流の“アットホーム”だと思うよ。ランウエイではド派手な演出や見せるためのスタイリングが多いけれど、ムービーはシンプルに徹したね。実際、このブランドにはフォーマルやブラックドレスが好きなコンサバ層も多いので、彼ら・彼女たちに届けたい洋服をちゃんと提案している印象です。でも、一方向に流れ続けるムービーは、見続けると目が回るね(笑)。“ぐるぐるバッド”みたいにクラクラした(笑)。

“ニューノーマル”における新たな洋服のあり方を探った「ア コールド ウォール」

北坂:ストリートウエアブランド「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」は、3部構成のムービー。ニューノーマルの時代における、新しい洋服のあり方を探ったそうです。1部ではブラックやグレーを基調とした、パッド入りのベストやスエットなどが登場。正直、暗過ぎて洋服のディテールはそこまで見えず.......。2部になると急に鮮やかなイエローのアイテムが登場します。オーバーサイズのTシャツやバケツハット、ウィンドブレーカーなどストリートなムード全開です。最後は、スーツ姿の男性。スーツやシャツに終始登場したユーティリティーベスト、キャップなどを組み合わせて、フォーマルとストリートをミックスしています。在宅勤務が普及してスーツを着る機会はさらに減ったけれど、オフィスに戻る人は徐々に増えているはず。「フォーマルに完全に戻るのはイヤ」と思う、アフターコロナのマインドを表現しているのでしょうか?

村上:ん~、「何かから身を守りたい」とか「自然と共に暮らしたい」みたいな気分の現れでありつつ、「俺はスーツもできるんだぜ。ストリートブランドじゃないんだよ」というサミュエル・ロス(Samuel Ross)のメッセージでもある気がします。ストリート出身のブランドって、メジャーになって数年が経過すると、みんなスーツをやりたがるから。個人的に一番好きなのは、パート1。ブランドらしい人間工学的アプローチとストリートのムードが融合していて、「他のブランドと差別化するなら、ココだなぁ」って感じました。パート2は、男の子が一番熱狂しそうだけどね。パート3は、メゾンブランドの売れ筋を意識しまくったショルダーバッグが気になって仕方ありませんでした。「ダメ、絶対!!」レベルだった(ちょっと怒)。

エアリーな世界観を演出した「カルカテッラ」

北坂:14年にスタートした「カルカテッラ(CALCATERRA)」は、ボリューム感のシルエットや上質な素材にこだわっているブランドだそうです。今季のテーマは、「Ethereal(空気のような、優美な)」。純白やクリームなどをメインに軽やかな素材を重ねたアイテムからは、確かにエアリーな雰囲気を感じます。

村上:この手の「素朴な素材感重視」なブランドは、オンライン買い付けが当たり前の今、なかなか厳しそうですね。もうちょっとキャッチーとかハッピーのムードがないと、言い切ってしまえば「MUJI」でオーバーサイズの洋服を買って上手にスタイリングすれば、「カルカテッラ」のスタイルが完成しちゃいそう。

もうなんでもアリ!? 若年層に人気の「リデンプション」はハイパーミックスで勝負

北坂:最近インスタグラムでもよく見かける「リデンプション(REDEMPTION)」は、サステナビリティを謳っている若年層にも人気のブランドです。フェミニンでクラシカルなテイストに、ロックなツイストをコンセプトにしているそうですが、今季もお嬢さん(?)4人がゼブラ柄のジャケットや蛇柄のブーツ、切りっぱなしのデニムのショートパンツなど、なかなか派手な格好で登場します。BGMも、ガンガンのロックミュージック。そんなロックなアイテムの合間には、ものすごくクラシックなカクテルドレスなんかも登場したりして、少し迷走しているような......。なかなかパンチが効いていますが、日本では受け入れられるのでしょうか?

村上:なんだろう、もうなんでもアリですね。「ディースクエアード」的なデニムのホットパンツ、「ロベルト カヴァリ(ROBERTO CAVALLI)」的な肩パッド入りアニマルプリントドレス、「サンローラン(SAINT LAURENT)」的なブラックのミニドレスにオールドイタリアンなコットンブラウス使いを組み合わせ、ってカンジ?そのハイパーミックス感は、何にも決めつけない今の世代っぽいなぁと、微笑みながらムービーを鑑賞しちゃいました。バラが咲く庭園にデッキチェアを置いて、クリスタル付きのブラックのミニドレスで寝そべるって「どんなシーンよ⁉︎」とは思ったけれど、スキです。

「フェンディ」のドリーミーで幻想的な世界観にうっとり

北坂:お待ちかねの「フェンディ(FENDI)」!私はライブで観ましたが、とても清らかでドリーミーなコレクションでした。窓辺をイメージしたランウエイには、巨大なカーテンがそよ風に揺れるような演出。揺れ動くカーテンの合間をモデルたちが歩き、ライブ配信の映像には空や雲の映像が重なり、なんとも幻想的な絵でした。シースルー素材がヴェールのようにモデルの体を柔らかく包み、エアリーな雰囲気です。コートやスーツもリネンなど軽やかな素材で、画面越しからも着心地の良さが伝わります。アイコンバッグの“バゲット”も透かし模様を施し、超ミニサイズのバッグには刺しゅうを入れたシルクのヴェールがかけられ、細部まで軽やか。観ているだけで心が和らぎそうなコレクションは、不安が多い今の時代、まさに求められているものではないでしょうか?

村上:木漏れ日が淡いアイボリーのカーテンに映し出す、木々の陰影を描こうとする時点で、とってもオシャレでステキ。シンプルなタンクトップドレスに、陰影プリントのオーガンジーを合わせるなど、気取らないリラックスウエアにヴェールを重ねることでコレクションブランドのスタイルに昇華するアイデアも良いですね。ピュアホワイトを貴重に、アイボリーからグレー、パステル、そしてブラックへと続く構成も王道的で違和感なく、メンズとウィメンズの世界観もバッチリ融合。で、合間合間にシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)が大好きなオールインワンとかサファリスタイルを差し込むのも忘れない(笑)。ドレスなどの刺しゅうは、お母さんがハンカチに施してくれた控えめなものから、お高い食器にあしらわれる大胆なものまでバリエーション豊かだけど、いずれもウエアと同じ色で控えめ。すっかり優しい気持ちになりました。ちょっとピリピリした時は、「フェンディ」のムービーを流すと場の雰囲気が和むかもしれません。今度、会社で試して見ます(笑)。

テクスチャーのレイヤリングが素敵だった「ヌメロ ヴェントゥーノ」

北坂:「ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)」は、定番のフェザーや肌まで透けたエアリーなドレス、光沢のあるシャツ、滑らかなシルクスカートなど、シンプルだけど絶妙なテクスチャーのレイヤリングが素敵でした。また、パールやビジュー、ピンの装飾も、ちょっとした煌めきをプラスして可愛かったです。個人的には、片耳のパールピアス(「フェンディ」でも出てきました)も気になりました。余談ですが、目頭にパールのハイライトを入れた艶やかなメイクもフレッシュで、真似したくなりました。

村上:片耳のパールピアスは、僕も「TASAKI」の“デインジャー”を片耳に2つ重ねづけしているので、ぜひマネしてください(笑)。メンズ的には、アレッサンドロ・デラクア(Alessandro dell'Acqua)が大好きなグランジテイストのネルシャツ、大胆にカットオフしたフーディあたりが気になりました。たくさんマネされちゃうんだけど、こういうカジュアルアイテムを格上げするのが上手なブランドだなぁ、と改めて思います。今季は得意のヌードより、パープルの方がステキですね。

ロマンスと実用性を兼ね備えた「アルベルタ フェレッティ」

北坂:アルベルタ・フェレッティ(Alberta Ferretti)も、困難が多い今の時代を生きる女性に目を向けました。そんな女性が求める洋服を「ジェントルなファッション」と呼び、コレクションについて「ロマンチックでフェミニンでありながら、不安が多い今の時代を生き抜くためのプラクティカル(実用的)な洋服」と語っています。言葉通り、シアーなロングドレスやパフスリーブのシフォンブラウスなどのフェミニンなアイテムに、動きやすいフラットサンダルやパンツを合わせています。透け感のある素材は、今季トレンドとなりそうですね。

村上:正直、「フェレッティ」ってずっとこんなカンジですけれどね(笑)。他のブランドではコロナの前後で違いが顕著だけれど、「フェレッティ」は何が変わったのか分からなかった。まぁ、変わることが全てではないけれど……。でも変わらないと、イタリア国外のマーケットはもう大きくならない気がします。

思わず元気をもらった「ドルチェ&ガッバーナ」

北坂:「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE & GABBANA)」はシチリアのパッチワークが着想源で、鮮やかな色や柄を組み合わせたパッチワークをあらゆるアイテムに取り入れています。ランウエイも背景までパッチワークが施され、ちょっとクラクラしちゃうほどの派手さですね!バラの花モチーフなど、華やかなルックはそもそも多い印象ですが、今季はさらにボリュームアップした印象です。

村上:デーハー、炸裂!!ですね。笑っちゃうくらいパッチワークの嵐。こんな時なので、このブランドも見るだけで元気になります。パッチワークで使っている布は、アーカイブだったりするのかな?でもパッチワークって、昔ながらの手仕事だから「ドルチェ&ガッバーナ」の世界観にピッタリですね。ここまでやり切っちゃうカンジも、「D&G」時代のアイデンティティを盛り込み始めた、近年の「ドルチェ&ガッバーナ」らしい。ブラボーです。個人的には、ミラノ・ファッション・ウイークの主催団体のホームページから「ドルチェ&ガッバーナ」の配信ページにアクセスできることに、小さな感動を覚えてしまいました。ずっとケンカしてたから(笑)。にしても、この主催団体のホームページは、本当にユーザビリティが低いね。コレ、参加ブランドはちゃんと意見した方が良いと思う。このUXの悪さは、ブランドの配信にとって命取りだと思うけれど。

新デザイナーでイメージチェンジ?した「ブルマリン」

村上:「ブルマリン(BLUMARINE)」は、どうしたんでしょう?正直、ちょっと奇抜ですね。若々しさを狙ったんだろうけど、ローズプリントのシルクとヒョウ柄のミスマッチ、パステルとブラックの違和感、そして、フェティッシュな肌見せによる過剰なセクシーなど、安定感が低下したような……。フィナーレに登場した男性は、誰?

北坂:デザイナーのニコラ・ブロナーニョ(Nicolas Brognano)ですね。創業デザイナーアンナ・モリナーリ(Anna Molinari)に代わり、今季からクリエイティブ・ディレクターを務めています。「ジャンバティスタ・ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」や「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE & GABBANA)」で経験を積まれた方だそうです。「ブルマリン」はロマンチックでフェミニンなイメージでしたが、確かに今季は若年層を狙っているのかもしれないですね……。今後が気になります。

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