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ウィズコロナ時代に注目すべきは、“究極のストレスフリー”なベースメイク

 巣ごもり期間中「売れなかった商品」の上位にファンデーション、UVケア、口紅がランクインしたというニュースがあった。 世の中のあらゆる商材には、外出先での行動や他者とのコミュニケーションを前提とした「外向き」の製品と、自宅で使用し自身のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)に関与する「内向き」の製品がある。メイクアップは「外向き」の側面が強く、外出の機会が減ると、需要が減少するのは当然でもあるだろう。特に今回は、外出時は常にマスク着用という、特殊な条件下にあったことも関係している。

 新型コロナ禍を経て、今後化粧品はどのように変化していくのか?こと「製品」にフォーカスして考えると、消費者の価値観、開発の視点、ともに最も変わるのは「ベースメイク」の分野ではないかと考えている。日本をはじめとするアジア各国の女性にとって、ベースメイクの主役であるファンデーションは、外出時に欠かせないアイテムであり、一方でこれまでと全く同じものは使いにくいと思うからだ。

素顔では外出できない大人の女性たち

 経済活動が本格化すると、ベースメイクもいったんは、コロナ前と同じ状況に戻るだろう。職場環境やメイク習慣にもよるけれど、同僚や取引先と会う際に「素顔」でいるのは、いささかハードルが高い。仮にプライベートな場面であっても、誰かと会うときにスッピンでいるのは、よほど気を許した相手でない限り、本人が落ち着かないと思う。

 その一方で、今後数年にわたり、新型コロナウイルスの流行継続が指摘されている。また今回の流行で、世界的に感染症予防に関する意識が浸透した点も見逃しにはできない。特に日本においては、季節性インフルエンザや風邪が流行する季節になると、これまで以上に、マスク着用が習慣化するのではないかと思う。ほんの少し前まで、接客や重要な商取引の場面において、マスク着用は失礼にあたるという風潮があったけれど、今後は「着用しないほうがマナー違反」という意識に変わるかもしれない。

良くも悪くも気づかされた、ファンデーションの“存在感”

 冬から初夏にかけて続いた長期のマスク着用期間に、自身も強く感じ、周囲の女性からも頻繁に聞いたのが「マスクにファンデーションがつくことの不快感」だ。衛生用品であるが故に汚れへの生理的な不快感もあったように思う。では、コロナ後に必要とされるファンデーションは、落ちにくく、フィット感に優れていれば良いかというと、そんなに簡単な話でもない。

 まず前提として、女性は素肌の上にファンデーションを塗り、さらにその上をマスクで覆っている。男性はピンと来ないかもしれないが、マスク内の湿気でヨレる→マスクとこすれる→マスクにつく」という3重の不快感を、常に感じている状態にある。マスクをしない時にはあまり意識しなかった、肌の上に、ファンデーションという異物が乗っていることを、否応なく意識させられた体験であったはずだ。

 “外向き”の製品であるファンデーションは、これまで、仕上がりの美しさを求められていた。しかし、長期に渡るマスク着用により、ファンデーションは肌の最も近くに寄り添うもの、それ故に、快・不快に直結するものという、もう少し感覚的な“内向き”の側面がフォーカスされたのではと思う。

多くの女性が、強制的に“メイク習慣”を変えた3カ月

 もう1つ、この期間にほとんどの女性が直面したのが、マスク着用時にベースメイク(特にファンデーション)をどうするかという問題だ。特にマスクの供給が逼迫していた時期は、使い回しを考えて、何らかの試行錯誤をした女性も多かったのではないか。

 たとえば、ファンデーションを普段より薄めに塗る、額など部分的に使う、いっそのことマスクの下は何もつけず、アイメイクだけ華やかに演出するなど、試した方法は人それぞれ違うだろう。少なくとも、これだけ多くの女性が「強制的に普段のメイク習慣を変える機会」は、これまでなかったはずだ。

 その結果、肌色、顔全体に塗るという、これまでのファンデーションの常識から少しだけ解放され、「そうでなくても案外キレイに見える方法がある」という、ベースメイクの新しい方法にたどり着いた女性も一定数いたのではと思う。個人的な話しで恐縮だが、私自身はこの時期ファンデーションをやめて、トーンアップ下地のみを使ってみた。薄づきだが肌の均一感が高まり、オンラインの取材であれば、遜色なくメイク感が演出できる。その時に抱いたのが「あ、これ『リモート環境でも、ある程度仕事はできる』という感覚に近いな」という感想だった。本来は直接会って話したり、ファンデーションをきちんとつけるのがベストだけれど、違う方法でもやっていけるという感覚だ。

 もちろん、特にベースメイクに試行錯誤はせず、メイク習慣を変えなかった方も沢山いるだろう。1つだけ確実にいえることは、これまでと同じ“外向き”なファンデーションは、マスク着用の季節になるたびに、販売数の減少を余儀なくされてしまう。

 逆の視点で考えると、ここにこそファンデーションが「新たなステージ」へと進化するヒントが隠されているようにも思う。より薄く、肌との一体感に優れ、異物感を感じることなく、心地良い。一言で表現するなら「究極のストレスフリー」だろうか。そのためには肌色である必要もない、ファンデーションの枠を越えた次世代ベースメイクに進化する可能性もある。以下に(自粛期間中に使ってみて)次世代ベースメイクの価値観に近いと思ったものを、いくつかあげてみたい。

薄膜感が感動的な新カテゴリー「マルチユースリキッド」 「THREE」

 あまりの薄膜感に感動したのが、6月10日発売の「THREE」の「ソーラーティンティドグローフロー」だ。UV ケアとしても、ベースとしても、化粧直しにも活躍する、ファンデーションの概念を越えたマルチユースなリキッド。素肌を透かしながら均一感を高め、ノンケミカル処方ならではの負担感のない仕上がり。紫外線吸収剤を使用せず、自然由来の紫外線散乱剤のみで SPF50+の紫外線防止効果が頼もしい。肌がホッと息をつけるような使用感と機能性を両立した、ストレスフリーな次世代ベースメイクの代表といえる。

植物の力を結集した、スキンケアのような使用感 「ITRIM」

 塗布した瞬間、肌を包む精油の深い香り。限りなくスキンケアに近い、保湿力豊かな使用感の「イトリン(ITRIM )」の「エレメンタリー エッセンシャルEEクリーム」。「EE」とは、肌を均一に仕上げる(Even)とスキンケア効果(Effect)のこと。植物オイルと植物由来のパウダーをブレンドしてかなえる塗布膜は、実に軽やかでファンデーションをつけていることを忘れてしまいそう パールの光沢感とは一線を画す、肌が潤うことで生まれる自然なツヤ感も美しい。スキンケア効果に軸足を置いた、大人のためのベースアイテムだ。

下地の枠を越え、“きちんと感”のある端正な肌を演出 「コスメデコルテ」

 下地のカテゴリーでありながら、適度なメイク感を演出するのが、「コスメデコルテ(DECORTE)」の「AQ ラスティングUV プライマー」。下地ならではの薄膜で肌に寄り添い、自然にトーンアップ。ナチュラルな艶を演出しながら「きちんと感のある」端正な仕上がりで、オンラインの取材時に重宝した製品でもある。肌トーンが明るい人はこれ1品で仕上げても良いし、下地として使う場合はファンデーションの使用量が減るはず。ファンデーションよりマスクにつきにくいこともあり、外出自粛期間中に最も活躍した製品だった。

内側からにじみ出るような艶と血色感 「SUQQU」

 内側からにじみ出るような艶と体温が息づくような血色感を演出する、「スック(SUQQU)」の「ブルーミング グロウ プライマー」は本当に不思議な下地だ。ほんのりピンク色でカバー力はほとんどないのに、使うと使わないとでは「ライブな肌の質感」に各段の差がつく。マスクにもつきにくく、平常時であればこの下地+少量のファンデーションで自然な質感に仕上がるはず。色ではなく光を巧みに操り、大人の女性を「もともと素肌が美しかったかのように」見せる、次世代型ベースメイクと呼ぶにふさわしい1品だ。

 コロナ禍は、私たちの生活や行動様式に変化をもたらした。その経験から得た肌へのストレスや発見に対し、各メーカーの開発技術に心から期待したい。そもそも化粧品は、香りや感触など、言葉にしにくい感覚を表現することを追求してきたアイテムでもある。特に日本のものづくりは、この目に見えない繊細な事柄を表現することに、とても長けていると思う。

 まだまだストレスが続くことが予想される今、「究極のストレスフリー」をかなえる次世代ベースメイクの登場を、いち女性として心から願っている。それは、社会で活躍する女性にとって、肌に寄り添う頼もしい味方となってくれるはずだから。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける