ファッション

ドイツ発「アリュード」のニットを巡る アルプス山脈の麓で体と心をほぐす旅

 ドイツ発のブランド「アリュード(ALLUDE)」から招待を受けて、2019年の12月にプレスツアーに参加してきました。同ブランドは1993年に高級カシミアニットブランドとして誕生し、現在はウィメンズ、メンズ、キッズラインをそろえています。ヨーロッパを中心に約700アカウントと取引し、幅広い世代の顧客を抱えるブランドです。今回のプレスツアーにはセールスと広報を担うイギリスのエージェント「ペーパー・マッシュ・タイガー(PAPER MACHE TIGER)」(日本のディストリビューターは三喜商事)のスタッフと、主にロンドンをベースにするインフルエンサーやジャーナリストの総勢約15名が参加しました。

 ミュンヘン空港で集合してまずは本社に向かいます。田園風景が広がる道を走ること約30分、インダストリアルな雰囲気の本社に到着しました。一見すると工場のようでしたが、あくまでオフィスとして使用されているそうです。ブランドのスタッフとカジュアルな雑談を楽しんだ後は、ミュンヘンの中心地にあるイタリア料理店「ザイツ(Seitz)」へランチに行きました。これまでドイツには何度か来たことがありますが、食についてはいつもあまり期待をしないようにしています(笑)。ビール好きにはたまらないかもしれませんが、ビールが飲めない私はこれまであまり楽しむことができなかったからです……。でも「ザイツ」はイタリア人シェフによる家庭的なイタリアン料理を楽しめるレストランで、予想以上にとってもおいしかったです!前菜はアーティチョークにブラータチーズがのったサラダで、メインはスキャンピ(クルマエビより大ぶりのエビ)のトマトソースショートパスタをいただきました。甘~いトマトとシーフードの出汁が効いたソースが絶品で、お皿に残ったソースをパンに付けてきれいに完食しました。

600色のカシミアの糸をそろえるクリニックへ

 レストランから徒歩1分の場所には、ブランドが運営する「アリュード・クリニック(Allude Clinic)」があります。2015年5月にオープンした同クリニックでは、専門家によるカシミアニット製品のクリーニングやアフターケア、補修のサービスを提供しています。カシミア30%以上を含む製品であれば洋服やブランケット、小物など何でも受け付けています。クリニックに直接足を運ぶか、オンラインでサービスを選択して製品を郵送することもできます(日本からは利用不可)。サービスは毛玉取りやボタン付け、穴の補修などで、約600色をそろえるカシミアニットの糸を使って、専門の技術者が全て手作業で行います。最も難しいのはグレーの色を合わせることで、いくつもの異なるグレーを組み合わせて糸を作り、穴の補修などを行います。大切にケアをして長く愛するといった、私が考える“ラグジュアリー”の概念と通ずるものがあってとても共感できました。

 クリニックを後にして車を約2時間走らせ、オーストリアのアルプス山脈の麓にある街キッツビュールに到着。「アリュード」の旗艦店に立ち寄った後、滞在するビオホテル「スタングルワート(Stanglwirt)」にチェックインしました。16世紀開業という歴史あるホテルは、幼少期に遊んでいたシルバニアファミリーのミニチュアの家が現実になったみたいで、なんだか懐かしさもあり興奮しました!今夜のディナー会場はホテル併設のレストランです。「ディナーはフォンデュだよ」と言われたのでチーズ・フォンデュを想像していたのですが、フォンデュとはチーズだけではなかったのです。日本の鍋のような感覚で、出汁をとったスープに好きな具材を入れるスタイルをフォンデュと呼ぶとのこと。チーズ・フォンデュのほかに、初体験となるビーフスープや野菜スープのフォンデュを食しました!日本のお鍋とは違い、一つひとつの具材を専用の串を使って鍋に入れ、煮立つのを待ちます。鍋文化に慣れていないほかのゲストたちは「食べごろが分からない」「待ってたら神経を使ってしまう」と戸惑っていました(笑)。デザートにはオーストリアで有名なカイザーシュマレンをいただきました。パンケーキを丸く仕上げず、焼き上がる前に一口大に崩して粉砂糖とジャムや、アイスクリームをつけて食べるスイーツです。でも、味はいたって普通のパンケーキでした(笑)。

世界が通常に戻ったら旅をしたい場所

 2日目はロープウエイでアルプス山脈を登り、スキー場へと向かいます。スキーはせずに雪山をハイキングし、山頂にある眺めのよいレストラン「スンブーエル(Sonnbuhel)」でアルプスを眺めならのランチです。夕方からは、まるでグリム童話の世界のようなキッツビュールの街でショッピングし、セレブリティーが多く訪れるというレストラン「チッソ(Chizzo)」でディナーをいただきました。なんだか至れり尽くせりなのですが、これは高級カシミアブランド「アリュード」のプレスツアーですので、念のため(笑)。

 帰国日の朝は早起きして散歩し、アルプス山脈の眺めを心ゆくまで楽しみました。自分の心臓の音が聞こえるほどの静寂に包まれる中で、たくさん深呼吸をしてマイナスイオンを取り込み、体内をデトックスできたようなすがすがしい気持ちでパリに戻りました。日本からはミュンヘンまで約11時間で、さらに空港からビオホテルまでは車で約2時間と長旅になりますが、世界を自由に行き来できるようになったら、旅をするには最高の選択肢の一つだと思います。今は新型コロナウイルスの感染拡大で今は世界中がストレスを抱えていますが、「アリュード」の高級なカシミアニットを巡る旅は心身ともに安らぎを与えてくれました。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

最新号紹介

WWD JAPAN

コロナ禍の現地取材で見えた“パリコレ”の価値 2021年春夏コレクション続報

「WWDジャパン」10月19日号は2021年春夏コレクションの続報です。コロナ禍でデジタルシフトが進んだコレクション発表ですが、ミラノとパリではそれぞれ20ブランド前後がリアルショーを開催。誰もがインターネットを通じて同じものを見られる今、リアルショーを開催することにどんな意味があるのか?私たちはリアルショーを情熱の“増幅装置”だと考え、現地取材した全19ブランドにフォーカス。それぞれの演出やクリ…

詳細/購入はこちら