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スタンフォード大卒のボクが、グーグルではなくバロックを選んだ理由

 ジャスティン・カハンディング(Justin Cajanding)は、2019年9月にバロックジャパンリミテッドに外国人枠で入社した、米・ロサンゼルス出身の23歳。あの名門・スタンフォード大卒の肩書を持つ期待の新人だ。東京・表参道の旗艦店「ザ・シェルター トーキョー(THE SHEL’TTER TOKYO)」での販売員研修を経て、今年4月からは新規プロジェクトの立ち上げなどを担う経営企画室の配属となった。

 学生時代は、専攻の比較文学に加えてマーケティング、プログラミングなどを幅広く学び、就職活動では、あのグーグル社の選考も進んでいたというエリートだ。彼はどうしてバロックを選んだのか?

WWD:大学時代にどんなことを学んだ?

ジャスティン・カハディング(以下、ジャスティン):専攻は「比較文学」と「日本語」です。これらについて卒論を書き、学位を取得しました。そのほかにも政治経済哲学やコンピューター科学、プログラミング、日本や東アジアにおける経済論や経営管理など、学科の枠組みを超えて幅広く学びました。

WWD:中には、ファッション業界に直結する研究も?

ジャスティン:もともとファッションに興味がありましたが、スタンフォード大学には、ファッションデザインやファッション経営管理などに特化した学科がなかったので、関連する講座を自ら積極的に受講しました。たとえば大学院生向けの「日本のビジネス文化およびシステム」の学科の講座では、オムニチャネルを軸とした先進的な考え方の重要性を、日本のアパレル業界で応用する方法について教授と共同研究しました。特に日本が高く評価されている、実店舗における品質やサービスの水準を保ちながら、国内外の消費者に訴求する方法を模索しました。また、プログラミングのクラスでは、ビッグデータやテクノロジーが、アパレルをはじめとした非テクノロジー業界にもたらす影響を理解しました。

WWD:日本、バロックとの出合いは?

ジャスティン:大学3年時の交換留学で日本を訪れた際、教授にバロックをインターン先として斡旋してもらいました。かねてから日本で働くことに興味を持っていましたので、留学期間終了後にインターンシップとして働き始めました。

WWD:ご自身はどんなブランドが好きですか?

ジャスティン:僕を見てのとおり、ストリートブランドです(笑)。アメリカにいたころも、ブランドショップでよく買い物をしていました。正直、ショップはシンプルに「物を買うだけの場所」だと思っていました。でも日本では、店員は外国人にも優しくて、店を出た後は入店前よりも晴れやかな気分になるんです。言葉が分からなくても、日本が「おもてなし」の国と言われる理由が分かりました。

入社の決め手は社長からの直電

WWD:グーグル社の選考も進んでいたそうですが、バロック入社の決め手になったのは?

ジャスティン:(村井博之)社長からの電話で心を揺さぶられ、入社を決めました。「君はここで、どう成長したいんだ?自分のスタイルでやりたいようにやってくれていいから」という言葉に、チャレンジングな会社だと確信しました。アメリカの会社では上からどんどんミッションが課せられるから、考え方も課題解決の手法も型にはまってしまいます。でもバロックなら、自分らしく能力を生かせると思ったのです。

WWD:バロックの長所と課題はどう分析している?

ジャスティン:バロックは国内市場に満足せず、グローバルの舞台で戦おうと考えています。その熱意は社長の言葉からも伝わったし、ワクワクします。「マウジー(MOUSSY)」や「スライ(SLY)」のようなブランドには渋谷109から始まったブランドストーリーがありますし、商品の品質やおもてなしが強みです。それらの価値を海外の人が知らないのがすごくもったいないし、どうやって広めていくかが課題です。

WWD:自身の能力をどのように生かせると思う?

ジャスティン:バロックは日本で育てたブランドの哲学やイメージを海外に持ち込む方法を模索していますが、新しいマーケットに適応し戦っていくには市場分析が不可欠です。日本と欧米ではマーケティングの性質、攻略手法には大きなギャップがあります。その溝を埋めるために、僕が研究してきたマーケット分析の手法が生かせたらいいですね。

WWD:即戦力として期待されていますね。

ジャスティン:もちろん、自信満々ではないですよ(笑)。日本語はまだまだですし。「シェルター」で「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」のメンズ服を売っていたときは、うまくいかなくて不安な日々が続きました。でもある日対応したお客さまが、わざわざSNSで僕を見つけてお礼のメッセージをしてくれて、折れかけた心を立ち直らせてくれました。今はウイルスのせいでこんな状況だけれど、店舗研修をしているときは中国、米国などからの外国人客はすごく増えていることを肌で感じ、バロックがグローバルに戦える企業だと確信しました。休みの日には、大学のプログラミングやマーケティングを学び直すために教科書を広げています。早く活躍できるよう、新しい知識も取り入れながら、自分をどんどんアップデートさせていきたいですね。