今年創刊20周年。子育て世代の女性たちの共感と憧れを集め、ここ数年、継続して圧倒的な強さを見せるのが、「ヴェリィ」だ。妻として、母として、女性として人生を謳歌する消費意欲旺盛な読者たちは、今、一大勢力として社会的にも注目されている。広告収入も5月号で5億3000万円超と絶好調。そして4月、産休・育休を経て、今尾朝子・編集長が復帰した。ママになった編集長のもと、「ヴェリィ」はどうパワーアップするのか?
MAGAZINE DATA
創刊 : 1995年6月
発行 : 光文社
発行日 : 毎月7日
印刷証明付き発行部数 : 34万9134部
定価 : 720円
コンセプト : 母として、妻として、女性として輝く30代女性に向けたファッションライフスタイル雑誌
読者年齢層 : 30代中心
WWDジャパン(以下、WWD):これまで読者ターゲットであったママに自身もなったわけだが?
今尾朝子・編集長(以下、今尾):読者が言われていたことを「本当だ!」と思うことが多く、「ヴェリィ」に載っていることを実感しています。皆さんには「いろいろ取材しているのだから、出産や育児について詳しいだろう」と思われがちなのですが、フタを開けてみたら、知らないことだらけで。ママとして本当に頼りないスタートを切りました。
WWD:4月に復帰したばかりだが、10カ月の産休・育休の間、どう媒体に関わっていたのか?
今尾:局長が編集長代行、3人の副編集長のうち1名を統括副編集長として、編集長不在の状態で、それまでの「ヴェリィ」のコンセプトを維持してもらいました。副編集長レベルから報告されるものをチェックだけはしていましたが、トラブルもなく、広告出稿が減ることもなく、これだけブ厚い「ヴェリィ」を私がいなくても作り続けた編集部を、本当に頼もしく感じました。本当は1月ごろ復帰する予定だったのに、保活(保育園への入園活動)がうまくいかず、「戻れない」と伝えた際も、「今尾さんと娘さんの都合の良いときに、戻ってきてください」と編集部から言ってもらって。「私は幸せ者だ」と感謝の気持ちでいっぱいになりました。入社以来、初の長期休暇で娘との時間も愛おしく、個人的には「この幸せな時間を少しでも長く味わいたい」という思いがありましたが、“もう一つの家族”ともいうべき編集部が待ってくれているというありがたい状況で、保育園も見つかり何とか戻ってきました。
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コラム① 読者イベント「ミート ヴェリィ」企画、続々登場

読者の「これやってみたい!」をかたちにする読者参加型イベントが、「ミート ヴェリィ」だ。「ヴェリィ」モデルのトークショーやママ旅企画など、「ヴェリィ」ならではの体験を読者に提供している。毎夏開催の読者イベント「ヴェリィ フェス」も、創刊20周年の今年はパワーアップして、9月のシルバーウイーク中に二子玉川で4日間開催される。
WWD:仕事と育児の両立は順調か?
今尾:出産前のようには到底働けません。復帰して、今ようやく9時半から17時半が出勤時間というペースがつかめてきたところです。同業者の夫(嶋浩一郎「ケトル」編集長)にあれこれ期待するのは時間的に難しく......。今後、「校了日はどうするか」とか、「夜のパーティーはどうすればいいのか」など、徐々に働く環境を整えていこうと思っています。
WWD:自身の出産・育児の経験を、今後の「ヴェリィ」にどう生かすのか?
今尾:結婚し、子どもを産んで、小学校に入れるくらいまでの母親が「ヴェリィ」の読者です。私が今、経験しているのは、そのほんの一部分だけ。そして、育児事情は刻一刻と変化します。自分が経験したことだけで「知っている」と勘違いしないように、むしろ気をつけていかなければ、と思っています。
WWD:では、今後誌面に起きる変化は?
今尾:皆が、産休前の「ヴェリィ」を大切にしてきてくれました。ただ、“明日の「ヴェリィ」”の舵取り役としての私が不在だったため、守りの期間だったと思います。ある意味優等生的になってしまった部分があると思うので、戻ってきた以上は、大胆に自由に、今までの「ヴェリィ」から一皮むけたものにしたいと思います。まず、創刊20周年記念の7月号の特集は“Tシャツ”です。「ヴェリィ」は“明日着る服がない!”というタイトルで創刊しました。その20年後の答えが、Tシャツです。シンプルなTシャツさえあれば自己表現できるという提案をします。そして8月号はほぼ丸ごと1冊“頑張らない「ヴェリィ」”です。読者のママたちは皆とても頑張っていて、ときには「『ヴェリィ』の世界が眩し過ぎて疲れてしまう」という声を聞くくらいです。いつでも笑顔で、オシャレもするし、良き妻、良き母、良き嫁でありたいと思って頑張っているママたちに“そこまで頑張らなくても大丈夫”というメッセージを届けたいと思います。
WWD:“頑張らない”を打ち出すのは初めてでは?
今尾:そうです。どんなに輝いてみえる人でも疲れているときがあるものです。ファッションやメイク、家事の手抜き術などを紹介します。
WWD:表紙の井川遥は変わらず?
今尾:はい。井川さんの表紙は、この7月号で9年目になりますが、圧倒的な支持が続いています。
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コラム② 読者のためのSNS「タグ ヴェリィ」。「ヴェリィ」モデルも投稿中!

雑誌「ヴェリィ」から生まれたママのためのSNSが「タグ ヴェリィ」だ。ファッションやインテリア、育児など毎日の発見やエピソードを、画像とコメントでタグとしてアップすることができるほか、「ヴェリィ」編集部や「ヴェリィ」モデルなどが投稿したタグにコメントを寄せることもでき、コミュニティーの輪が広がっている。
WWD:今、人気のモデルは?
今尾:滝沢眞規子さん、クリス-ウェブ佳子さんをはじめ、畑野ひろ子さん、鈴木六夏さん、田丸麻紀さんも読者に人気です。東原亜希さんと牧野紗弥さんはそれぞれ産休、育休中。不在期間をどうやりくりするか、モデルの確保は死活問題です。
WWD:読者からの直接の情報収集が「ヴェリィ」の強みだと思うが?
今尾:やはり人に会って刺激を受け、そこから企画へ結び付けることが大事です。ベテラン編集者も、プラン会議の前にドクチョー(読者調査)していますね。そこが原点で、私もします。滝沢さんは街で声を掛けて、モデルになってもらいました。次なる滝沢さんも探していきたいです。また、読者を通しての“拡散”も強みです。例えば、イベントを行ったときなど、モデルだけでなく、読者もSNSなどにアップする人が多く、情報が拡散していきます。デジタルフレンドリーな読者が多いですね。編集部で過去の「ヴェリィ」を見直して、「2011年の誌面が面白い!」と話しています。作り手の気持ちが溢れ出るような感じが良いのです。これからページを作るに当たり、誌面デザインはもちろん大事ですが、雰囲気に流されず、伝えたいことや思いの強さが表現できているかどうかにこだわっていきたいです。今は好調ですが、いつ雑誌が売れなくなるか、分かりません。「成功した!」とは思っていませんし、“うまく行っている「ヴェリィ」”のイメージでページ作りをしてしまうことは避けなければなりません。そのために、これから編集部の一人一人を問い詰めていくところです(笑)。「面倒くさい」って思われるでしょうが、私が帰って来たからには、読者にとって面白いかどうかを徹底的に追求します。やりたいことはたくさんあります。私自身も産休中は毎日がドクチョーをしているようなものでしたから(笑)。
PROFILE:神奈川県生まれ。O型。1998年、光文社入社。「ヴェリィ」編集部、「ストーリィ」編集部を経て、2007年から現職。12年から「ヴェリィ」ブランド事業部室長を兼任。14年6月に産休に入り、女児を出産。15年4月から現職に復帰。光文社としては初のママ編集長に
コラム③ 編集長行きつけのお店は?
けんちゃん(神宮前)
「ヴェリィ」で連載もしていたダイニングバー。でもこれからは夜の時間がなかなか使えなさそうなので、ランチのお店を研究したいです。
ホルモン俵屋(湯島)
校了が遅くなっても、せめて閉店の朝4時までには滑り込もうという目標を立てて校了作業に励む部員もいます。