(右)木村和花/ヘッドリポーター:FW 取材後に訪れた、「ジャンヴィトロッシ」のファクトリツアーが、実は裏ハイラト。のどかな地方都市でFWの喧騒を忘れさせてくれる癒しの時間だった ILLUSTRATION : UCA
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月12日号からの抜粋です)
ブランドのDNAを
どう進化させるか
木村:今季象徴的だったのが、デムナによる「グッチ(GUCCI)」。約1年かけて「『グッチ』とは何か」を掘り下げ、ブランドコードやアイデンティティーを今に通用する形で描き直しました。「プラダ(PRADA)」も、ミウッチャ(・プラダ)がよく着ているようなスカートとブラというそぎ落としたルックで、ブランドらしさを明快に提示しています。強い軸があるからこそ進化できる、と感じました。
村上:同感です。今は「なぜ、このブランドで買うのか」という意味を作るのが大事。だからこそ、「私たちは何を大事に存在してきたのか?」を再考するブランドが強く見えました。この流れはパリにも共通しています。
木村:「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」も印象的でした。レオパード、フラワープリント、クロシェ、ジュエリーなどを大胆にミックス。そこまで振り切って、それをかわいく見せられるのは、このブランドならではだと感じました。
村上:もともとシチリアの人々の暮らしや素朴な素材、ぬくもりに溢れる手仕事などを着想源としてきたブランド。今回は、素朴な素材に手仕事による過剰なまでの装飾をのせ、「このブランドって、こういう感じだったよね」という魅力がよく表れていました。
木村:「ディーゼル(DIESEL)」も今季のハイライト。グレン・マーティンスが6年間伝え続けた「ブレイブ(大胆さ)」「セクシー」、人生を恐れず楽しむというメッセージの集大成でした。最後はスタンディングオベーションで、人々の感情を動かすグレンらしいショーでした。
村上:一方、新デザイナーのブランドはこれから。「ジル サンダー(JIL SANDER)」はブランドコードに忠実だけど、私にはまだ新デザイナーの解釈が薄いように思えます。「フェンディ(FENDI)」も本来の楽しさがもう少し見えてくるといい。「らしさ」は表現するのではなく、再解釈するという感覚が大事ですね。
木村:アイテムでは、フレアスカートや「グッチ」のカプリパンツが気になりました。サファリジャケットやカーゴポケット付きスカートなど、ユーティリティーも多かったですね。
村上:市場がパンツ中心だからこそ、「プラダ」がスカートに絞ったことは強いメッセージです。もう1つの流れは、毎日の服をいかにエレガントで気分が上がるものにするか。何度も着るから愛着が湧く日常着を、ブランドらしく仕上げることが重要になっています。
デムナがもたらす
ミラノへの刺激
木村:デムナが「グッチ」に加わり、ミラノにはこれまでになかった刺激が生まれています。「プラダ」の存在感に加えて、新たな見どころが増えた。これからのミラノがさらに面白くなりそうです。