
酷暑が当たり前になる中で、「軽さ」は春夏シーズンの命題とも言える。今季のミラノでは、アウトドアやワーク由来のディテールをあえて取り入れ、それらを清涼感のある素材で洗練された表現へと落とし込む“ユーティリティー・リュクス”が提案された。一方で、自慢のクラフトテクニックを駆使しながら、軽さと装飾性を両立させる“エフォートレス・クラフト”もキーワードだ。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月12日号からの抜粋です)
UTILITY LUXE
「マックスマーラ(MAX MARA)」
DESIGNER/イアン・グリフィス(Ian Griffiths)
“ユーティリティー・リュクス”を提唱したのは、「マックスマーラ」。1930年代の女性冒険家たちから着想を得て、サファリジャケットやカーゴといったユーティリティーの要素を、軽やかな素材と美しい仕立てでラグジュアリーな日常着に変換した。例えば、サファリジャケットはリネンや光沢のあるギャバジンで仕立て、落ち着いたトープや細身のシルエットでエレガントに。トレンチコートはゆったりとしたオーバーサイズで仕立て、ハンティングベストは大きなポケットを残しながらディテールをそぎ落とすことで、日常着になじませた。カーゴポケット付きスカートの中央に走る深いスリットは官能性を引き出す目的よりも女性の歩みを前へと進めるための機能として映る。
「スポーツマックス(SPORTMAX)」
DESIGNER/デザインチーム
テーマは単刀直入に酷暑対策。未来的で都会的なブランドらしさを“氷のようにクール”なたたずまいと捉え、洋服そのものはシャープに。そこに涼しげなオーガンジーのベールをまとわせることで、柔らかさも手にいれる。硬質的なメタルリングをパンツのベルトループに通すなどして、スタイルに冷たい輝きをプラス。樹脂を使ったバングルなどのアクセサリー、メッシュを取り入れたバッグなど、細部に至るまで涼しげに思えそうなアイデアを積極的に取り入れた。
「フェラガモ(FERRAGAMO)」
DESIGNER/マキシミリアン・デイヴィス(Maximilian Davis)
ワークウエアを土台にシルエットはタイトで官能的。細身のテーラードジャケットやペンシルスカート、ハイウエストで巻いたベルトで体のラインを際立たせ、服が持つ規律や立ち居振る舞いまで形作る力を引き出した。鮮やかなラテックスは、異素材を靴に取り入れた創業者サルヴァトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)の実験精神へのオマージュ。足元では、アイコンシューズ“ヴァラ”がシャープなスティレットヒールへと変化し、リボンもアッパーに沿う形に再構築。バッグは、第二のアイコンとして定着する薄型の“カラ”が豊富に登場した。
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