
キャサリン/アマノジャク 千駄木店 セールススタッフ
Instagram:@amanojak.catherine
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気鋭のセレクトショップ「アマノジャク(AMANOJAK.)」の2号店・千駄木店には、派手な装いに身を包んだ金髪の看板娘がいる。キャサリンを名乗り、本名をかたくなに明かさない彼女は、2020年の入社以来、同店の紅一点(当時)としてウィメンズ担当を任され、ユニークな発信と接客で女性ファンを増やしてきた。男性より服を買う場所も選択肢も豊富な女性を千駄木という「わざわざ立地」に呼び込む、ナゾに満ちた彼女の接客術とは?(この記事は「WWDJAPAN」2026年8月24日号からの抜粋です)
BEST POINT
全身モード服、なのに親近感
フツーのOLを「数十万」買う服好きに
18年オープンのアマノジャクは、当初メンズ特化のハイファッションショップだった。キャサリンは入社当時、女性客の基盤がゼロに等しかった同店で年間数十万円を買う固定客を獲得し、ウィメンズのプライオリティーを高めてきた。年間数億円を売り上げる同店では限定的な規模だが、女性も楽しめる店作りはカップルでの来店にもつながり、数字では測れない恩恵をもたらしている。
ファッションタウンではない千駄木の個店に、わざわざ通うのはどんな女性たちなのか。多いのは、「自分のスタイルが確立したマダム」だ。近年のベーシック回帰の流れで同質化、コンサバ化する百貨店やセレクトショップに退屈し、尖った服を求めているという。「08サーカス(08SIRCUS)」「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」「プラン C(PLAN C)」「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」など、上質ベーシックな日常着から遊び心あふれるモード服まで、他店にはなかなかないエッジィなセレクトが刺さっている。
顧客はディープなファッション好きに限らない。学生から社会人になり、自由に使えるお金ができたからと、気軽な気持ちで来店する若い客もいる。「服のことはよく分からないけど、キャサリンが楽しそうだからって来てくれる人もいる(笑)」。
一見、近寄りがたく見えるキャサリンが発信で意識するのは、親近感だ。「きんぴらのような炒め物ばかりの茶色い弁当を投稿した後に、デザイナーズブランドでバチバチに決めた投稿をしてみるとか。女性は安心できる店で、いつもと同じような服を買いたいというディフェンシブな思考の人が多いように思う。だから“セレクトショップって楽しい場所で、誰でも来ていい”と伝えたい」。
キャサリン自身も、昔からファッショニスタだったわけではない。「昔、ヘアメイクアシスタントをしていて、当時の恋人が、20万円ほどのコートをプレゼントしてくれた。私は月給14万円ぽっちだったからギョッとしたけど、袖を通したら世界が変わって見えた」。そこから服にのめり込み、販売未経験のままアマノジャクに飛び込んだ。未経験だからこそ、既成概念に縛られない提案ができる。「ファッションには、背伸びしたり、変身したりする力がある。けれど女性は男性以上に、今の自分に似合うかを気にする。すごくもったいないと思う」。接客では、パーソナルカラーや骨格診断といった“似合わない”の言い訳はバッサリ却下。「テンションが上がるかどうか」を大事に選ぶ。
「周りに合わせて『選ばされる』んじゃなくて、自分が着ていてアガる服を楽しんでほしい」。そんなふうに背中を押すキャサリンの接客は、普段かっちりとした装いで働く一般的なオフィスワーカーの女性たちにも響く。ある30代の女性客は、最初は「私にこんなに高い服なんて」と1万円のTシャツに尻込みしていたが、次第にファッションにハマリ、最近は数十万円の「マックスマーラ(MAX MARA)」のセットアップを買った。
「自分らしく人生を楽しめる、女性の戦闘服を届けていくのが私の使命」と「マイキータ(MYKITA)」×「リモワ(RIMOWA)」のサングラスの奥の瞳は燃えている。「それから、いつかはキャサリンファンたちが買い物の後にダベれるスナックを千駄木に作りたい。それが私の夢なの」。