ファッション

ジョン・ガリアーノ回顧展がメトロポリタン美術館で開催 創作の軌跡から差別発言、復帰の歩みまで

ニューヨークのメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)のコスチューム・インスティチュート(The Costume Institute)は、2027年5月9日から2028年1月9日まで、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)の回顧展「John Galliano: Horizons」を開催する。

同展は、過去40年間で最も独創的かつ影響力のあるデザイナーの一人であるガリアーノに焦点を当てたもの。“Bearings”、“Horizons”、“Atlas of Transformation”の 3部構成で展示し、ガリアーノのキャリアと時代背景をつなぐ原点や文脈を扱う“Bearings”、デザインにおける物語性や歴史・文化・芸術的伝統から得たインスピレーションの広がりを示す “Horizons”、創作プロセスをたどる“Atlas of Transformation”で構成する。

ガリアーノが手掛けた衣服やアクセサリーに加え、スケッチ、トワル、リサーチブック、アーカイブ資料なども紹介。コスチューム・インスティチュートは、1984年にロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校(Central Saint Martins)で発表した伝説的な卒業コレクションを含め、世界最大規模のガリアーノ作品を所蔵している。

今回の展覧会では、ガリアーノの創作活動だけでなく、2010~11年の反ユダヤ主義、人種差別、反アジア的な言動によって起きた騒動にも触れる。この発言により当時ガリアーノは、「クリスチャン ディオール(CHRISTIAN DIOR)」および自身のブランドを解任され、人種や宗教、民族、出身を理由とした侮辱罪でパリの裁判所から有罪判決を受けた。同展ではさらに、その後の薬物・アルコール依存症の治療や、自身の行動を公に認めたことについても取り上げる。

ガリアーノの回顧展は、長年開催が検討されており、2024年春に発表した「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の“アーティザナル”コレクションでは、比類なきオートクチュール技術と豊かな創造力、そして的確に時代精神を捉える感性を改めて証明し、開催への期待がさらに高まっていた。同美術館が存命中のデザイナーの単独回顧展を開催するのは、1983年のイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)、2017年の川久保玲(Rei Kawakubo)に続き3人目となる。

ガリアーノは25年12月、10年間在籍した「メゾン マルジェラ」を退任。一方、今年の秋には「ザラ(ZARA)」との2年間のパートナーシップによる初のシーズンコレクションを発表予定で、9月30日にパリ・ファッション・ウイーク期間中のローンチイベントが予定されている。

ガリアーノはロンドンのロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校卒業後、演劇的な演出や壮大な創作のアイデア、フェミニンなドレス、革新的なテーラリングとユーモアのある世界観で一躍注目を集めた。1995年にはベルナール・アルノー(Bernard Arnault)が、引退するユベール・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)の後継者として「ジバンシィ(GIVENCHY)」のクリエイティブ・ディレクターに彼を抜擢。翌年には「ディオール(DIOR)」に移籍し、15年間にわたりフランスのメゾンに在籍してブランドの国際的な評価を大きく高めた。

しかし2011年、パリ市内のバーでの人種差別・反ユダヤ主義的発言をしたとして、「ディオール」と自身のブランドを解任された。その後はオスカー・デ・ラ・レンタ(Oscar de la Renta)、アナ・ウィンター(Anna Wintour)、ケイト・モス(Kate Moss)、レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)ら業界関係者の支援を受けながら依存症の治療に取り組み、段階的にファッション業界へ復帰した。

メトロポリタン美術館はプレスリリースの中で、ガリアーノの並外れたクリエイションの業績に加え、展覧会では“彼のキャリアと世間の評価を大きく変えてしまった行為”にも触れると説明。さまざまな視点からガリアーノのキャリアを辿り、芸術的業績と倫理的責任をどのように両立させるべきかを考察するとした。

展覧会のキュレーションは、これまで「China: Through the Looking Glass」や「Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination」などでもガリアーノ作品を数多く紹介してきた、コスチューム・インスティチュート主任キュレーターのアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)が担当する。

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