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ユナイテッドアローズが新中計発表、中国・台湾で出店加速 M&Aにも積極姿勢

ユナイテッドアローズは、2029年3月期を最終年度とする新中期経営計画を発表した。国内アパレル事業の収益力強化に加え、中国・台湾を中心とした海外出店の加速、ライフスタイル領域を含むM&Aによる事業拡張を重点ポイントに挙げ、最終年度の連結売上高は1850億〜1950億円、営業利益は115~125億円、ROEは14.3~15.7%を目指す。33年3月期を最終とする長期ビジョンの売り上げ目標は、2500億円から3000億円に上方修正した。

同社の26年3月期連結業績は、売上高が前期比9.1%増の1646億円と7年ぶりに過去最高を更新し、売上総利益率も過去10年で最高水準と好調だ。また、低価格業態「コーエン(COEN)」を運営する子会社コーエンをジーイエットに売却し、事業ポートフォリオの最適化を進めてきた。

こうした実績を踏まえ、新中期経営計画では、中高価格帯マーケットに経営資源を集中させる。松崎善則社長執行役員CEOは28日に開いた説明会で「インフレ環境下で、日用品や生活必需品には安さが求められる一方、自己の充実感につながる分野に関しては、より良いものを求める、いわゆるメリハリ消費が当社にとって追い風になっている。この3年でお客さまに感動を提供できる販売力、高付加価値な商品力、好立地な店舗群と機能的なネット通販というヒト・モノ・ウツワこそ、他社が容易に真似できない強みの源泉であると確信した」と話す。

国内アパレル事業は、客単価上昇と粗利改善が主軸

既存事業においては、客単価の引き上げによる売上高の拡大と、商品管理基幹システム「UA3.0」を活用した売上総利益率の向上が2大柱だ。前中期経営計画期間では、「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWS、以下BY)」を中心とするトレンドマーケット、「グリーンレーベルリラクシング(UNITED ARROWS GREEN LABEL RELAXING、以下GLR)」を中心とするミッドトレンドマーケットのいずれも売上高2ケタ増をマーク。新中期においても引き続き、クオリティー向上を軸とした価格改定で客単価の上昇を図る方針だ。

出店面ではトレンドマーケットで約30店、ミッドトレンドマーケットで約25店舗を計画。また立地特性を踏まえた改装などで客数増加を狙う。

非アパレル領域への参入に意欲

売上目標3000億円の内訳は、既存事業2300億円、海外事業200億円、非アパレル領域を含む新規事業で500億円。経営基盤の強化策として、10月1日を目途にホールディングス体制へ移行し、「TABAYAホールディングス」に社名を変更する予定だ。これにより、スピード感のある事業拡大につなげる。具体的には、アパレル以外の「高感度ライフスタイル」、従来のコンサバティブなリアルクローズに留まらない「新テイストアパレル」、そして「高価格帯アパレル」の3領域で、新たな顧客接点の創出を図る。

すでにその動きは始まっており、24年には靴磨き専門店「ブリフトアッシュ(BRIFT H)」の運営などを手掛けるブーツブラックジャパン(BOOT BLACK JAPAN)を子会社化。さらに今年1月にはアントワープ王立芸術アカデミー出身の中島輝道デザイナーのウィメンズブランド「テルマ(TELMA)」の事業を取得し、新子会社を設立した。さらに7月31日付で春髙未欧がクリエイティブディレクターを務めるジュエリーブランド「ビジュードエム(Bijou de M)」を子会社化することも発表している。

松崎社長は今後特にライフスタイル領域については積極的なM&Aを計画していると明かし、「食の領域が最も該当する。そこから派生し物販、飲食、宿泊に関わることを積極検討している」とコメントした。

中国の高感度層に手応え 海外売上高70億円を目指す

海外では、26年4月時点で台湾15店舗、中国3店舗、タイ2店舗、シンガポール1店舗を展開。26年3月期の海外売上高は約30億円だった。29年3月期には、これを70億円まで伸ばす計画だ。特に中国では、今年4月に上海にオープンした旗艦店が好調だ。オリジナル商品の価格と品質への評価が高く、客単価平均は、5万円を超えるという。これは「ユナイテッドアローズ」六本木店などの高価格帯店舗と同水準に当たる。今後中国では、一級都市を中心に「ユナイテッドアローズ」「BY」「ドロワー」業態で約8店舗出店予定。

同じく主力市場に定める台湾では、「GLR」や「シテン」などのミッドトレンドマーケット業態を主軸に、約12店舗の出店を計画する。さらに、グローバルECでの反応を見ながら欧米への出店も視野に入れる。

人材育成に850億円を投資 採用広告から採用マーケティングへ

また、人材投資にも力を入れる。「販売職を社会に誇る職業にする」を人事ビジョンに据え、社員のエンゲージメント向上と優秀な人材確保に向けて、3年間で850億円(人件費総額)を投じる。現在約500万円の従業員平均年収は、最終年度までに558万円へ引き上げる方針だ。山崎万里子執行役員は、「在籍する社員が高いエンゲージメントを持って生き生きと仕事をする姿は、社外の人材を引きつける材料になる。ここをしっかりとつなげていきたい」と話した。

前中期計画期間中には新卒社員の部門ローテーションや事業間異動の活性化、マネジメントとの対話機会創出などを実践。離職率はコロナ直後の約15%から約9%台に改善し、エンゲージメントスコアも16.2ポイント上昇した。採用面でも、求人広告を打つ従来型の「プッシュ型」から、YouTube動画などを活用して若手社員のリアルな仕事観を発信する「採用マーケティング」へと転換し、手応えを得ているという。

松崎社長は、「創業以来、私たちは世界中の美しいものを見つけ、優れたものを作り、洋服を通じてお客さまに価値を提供し続けてきた。今後も本質は変わらない。これから変わっていくことは、洋服や日本国内に限定せず、さらに活動の幅を広げ、お客さまのお役に立ち、なくてはならない唯一無二の存在である企業グループになることだ」と語った。

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