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渋谷慶一郎が戦時下のウクライナへ AIと祈りを描く「アンドロイド・オペラ」上演が決定

音楽家の渋谷慶一郎が、10月に予定されているウクライナ・リヴィウでの「アンドロイド・オペラ」公演に関する制作記者発表とトークセッションを東京・代官山のサロンウエストで開催した。

会見には、アナウンサーの有働由美子とリヴィウ市文化戦略室ディレクターのユリヤ・ホムチン(Yuliia Khomchyn)、同アーティスティック・ディレクターのボフダン・シュミロヴィチ(Bohdan Shumylovych)、EU・ジャパンフェスト日本委員会事務局次長の古木治郎が登壇。

会見で渋谷は「戦争が長期化し、世界が“慣れてしまう“ことに危機感がある」と語り「新しい戦争や危機が次々と現れる中で、ウクライナの現実は少しずつ忘却されている。しかし、そんな状況下でも文化を止めず、未来へ向かおうとするリヴィウの姿勢に強く心を動かされた」と、公演実現の背景を説明した。

「アンドロイド・オペラ」は、人間とAI、死生観、祈りといったテーマを横断する作品として知られる。ホムチンは、「戦争下だからこそ文化が必要」と強調。「文化はエンターテインメントではなく、社会を支えるインフラでもある」とし、リヴィウが「European Capital of Culture 2030」の候補都市として文化政策を推進している現状を紹介した。シュミロヴィチも「私たちは被害者として記憶されるだけではなく、未来を創造する都市でありたい」と語り、日本との文化協働の意義を訴えた。

進行を務めた有働は、自身が戦時下のウクライナに約2週間滞在した経験を踏まえ、「現地では、日常と死が隣り合わせに存在していた」と振り返る。「そんな環境の中でも人々が芸術や音楽を必要としていたことが印象的だった」と語り、今回のプロジェクトについて「単なる海外公演ではなく、文化による連帯の象徴」と位置付けた。

また、トークで渋谷は「音楽やアートに戦争を直接止める力はないかもしれないが、その先にある未来をシミュレーションができる機能を持つ」と、文化芸術がもたらす可能性を示唆。同作が「AIを効率化の象徴としてだけではなく、人間の存在を映し返す鏡として提示したい」とコメントした。

「アンドロイド・オペラ」は、日本をはじめドイツ、パリ、ドバイ、シャルジャなど世界各地で上演されてきた渋谷の代表作だ。2025年に東京・サントリーホールで上演され、5月16日に大阪・フェスティバルホール公演も実施し、大盛況で幕を閉じた。そして今回、ロシアによる侵攻が続くウクライナ西部の都市リヴィウとリヴィウ国立オペラから正式招聘を受け、10月に3日間の公演を予定している。

ロシアによるウクライナ侵攻の開始から4年が経つ。世界が新しいニュースへと視線を移していく中で、渋谷は「忘却に抗うことも、アートの役割の1つ」と語る。ウクライナでの「アンドロイド・オペラ」は、舞台芸術としてだけではなく、文化が未来への希望となり得るかを問いかける試みとなりそうだ。

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