ファッション

【追記:お別れの会】小松マテーレ元会長・社長の中山賢一氏が死去、84歳 中興の祖として欧州市場を開拓

小松マテーレで1987年〜2022年まで会長・社長を務めた中山賢一(なかやま・けんいち)氏が5月16日に死去した。84歳だった。通夜ならびに葬儀は近親者のみで執り行った。後日、お別れの会を開く予定だ。

中山氏は1941年8月19日生まれ。64年に小松精練(現小松マテーレ)に入社。83年に取締役販売部長、85年常務営業本部長を経て、87年に社長に就任した。2003年に代表取締役会長、06年に会長兼社長、09年に代表取締役会長を務め、22年に名誉相談役に退くまで、35年に渡りトップとして同社を率いた。北陸を代表する繊維の染色加工企業として知られる小松マテーレの中興の祖だった。

03年からは仏パリで開催される国際的なテキスタイル見本市「プルミエール・ヴィジョン」に出展を開始。現社長で実子の中山大輔氏とともに、欧州のラグジュアリーブランド市場を開拓。北陸産の合繊テキスタイルを、同社独自の加工で仕上げたテキスタイルは、「モンクレール」を筆頭に有力なブランドが使用し、売上高で178億円(26年3月期)と同社の主力事業の一つに成長している。

衣料分野だけでなく、2015年には建築家の隈研吾氏と組み、繊維技術とカーボンファイバーを融合した、超軽量の耐震補強材「カボコーマ(CABKOMA)」を開発。社長・会長の時でも常に先頭に立ち、アグレッシブで先進的な開発姿勢を持ち続け、小松マテーレを名実ともに先進的な繊維素材メーカーに育て上げた。そうした姿勢はスパイバーのタンパク質由来の先端素材「ブリュード・プロテイン」の開発で主導的な立場で挑戦するなど、今にも引き継がれている。

業界団体でも要職を歴任した。98年に石川県染色工業協同組合理事長、2000年に日本染色協会会長、日本繊維産業連盟副会長に就任。04年から14年まで東レ合繊クラスター会長を務め、09年には北陸3県繊維産業クラスター協議会会長にも就いた。産業振興への功績で05年に藍綬褒章、12年に旭日小綬章を受章していた。

関係者からも惜しむ声が相次ぐ

関係者からは、中山氏の功績を惜しむ声が相次いでいる。小松マテーレを独自の技術開発力と発信力を備えたテキスタイル企業へと押し上げた経営手腕に加え、建築やデザイン、地域文化との接点を広げた先見性を評価する声も多い。以下、関係者の追悼コメントを紹介する。

大矢光雄/東レ社長

中山さんは、1987年に社長に就任以来、2023年に名誉相談役を退任されるまで、約36年にわたって小松マテーレの経営を担ってこられました。繊維産業が大きな転換を迫られるような時代にあって、北陸産地企業が受託加工中心の体制からの脱却を課題とする中、いち早く、独自の技術開発と商品企画を中心とした企業への変革を遂げられ、小松マテーレを日本を代表するテキスタイルメーカーに発展させた功績を残されました。欧州のラグジュアリーブランド市場の開拓や、環境分野など新規領域への挑戦など、同社の世界的な評価の確立にも大きく貢献してこられた、繊維産業を代表する経営者の一人でもあります。また、東レ合繊クラスターの初代会長を務められた他、業界団体でも要職を歴任され、北陸産地のみならず日本の繊維産業全体の高度化と発展にも貢献してこられました。その卓越した先見性とリーダーシップは、業界内外に深い足跡を残しています。中山さんの素晴らしいご功績を偲び、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。

隈研吾/建築家

中山さんの中で、夢ときびしさとやさしさとが、見事に共存していた。きびしさとやさしさをあわせもつ経営者はいても、中山さんのように大きな夢を生涯にわたり持ち続けた経営者はたぐいまれである。その夢の一つがカーボンファイバーによる建築の耐震補強であり、その達成で中山賢一の名前は歴史に残るだろう。僕もその夢のお手伝いができて、本当に幸せだった。

梶原加奈子/テキスタイルデザイナー

私が小松マテーレ社とお仕事をご一緒していた頃、当時会長だった中山さんとは開発の場で多く関わらせていただきました。常に未来のさらに先を見据えながら、新しい可能性について熱心に議論される姿が印象的で、その発想力と情熱に何度も刺激を受けました。特に、合繊の世界に天然の価値観や感性を取り入れていく先見性には大きな感銘を受けました。対話を重ねながら「オニベジ」を共に開発した経験は、私にとって非常に思い出深いものです。

世界から注目される日本の合繊の染色整理加工技術、そして加工場自らが独自の生地販売の道を切り開き、その価値を確立していった背景には、中山さんの革新的な精神と先見性があったからこそだと感じています。その姿勢から、私は多くのことを学ばせていただきました。心より感謝申し上げます。謹んでご冥福をお祈りいたします。

■中山賢一/小松マテーレ元代表取締役会長・社長「お別れの会」
日程:2026年6月10日
時間:13:30〜15:00(開場は13時)
場所:根上総合文化会館「円形ホール」(tel:0761-55-8550)
住所:石川県能美市大成町ヌ118番地
問い合わせ先:小松マテーレ総務部(tel:0761-55-8072)
詳細/公式:小松マテーレHP

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

JAPAN HEAT WAVE!熱波の欧州で躍動する日本のクリエイション 2027年春夏メンズコレ速報

今季の欧州を覆ったのは、史上最高気温を更新する記録的な熱波。しかしそれに負けないほどの熱を帯びていたのが、日本人デザイナーのクリエイションでした。公式スケジュールにはミラノで「シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)」、パリで「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」が新たに加わり、今回も計15を超えるジャパンブランドが名を連ねました。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。