「WWDJAPAN」はこのほど、2026-27年秋冬トレンドセミナーを開催した。今回は、注目度の高い海外コレクションと国内リアルクローズ市場を深掘りできる二部構成。第一部では、コレクションサーキットを長年取材する記者やゲストが、ショー動画を見ながら来季盛り上がりそうなトレンドを解説した。第二部では、このランウエイの潮流を受け、国内リアルクローゼット市場はどのように変化していくのかを展望した。
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【第一部】
今季のトレンド「愛着」とは
2026-27年秋冬シーズンは、パリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンの4都市を通して、実用性やリアリズム、そして着る人のパーソナリティーに寄り添う機運がさらに高まった。日常に寄り添った“定番アイテムのアップデート”を試みるブランドが今季も引き続き多く見られた。
その上で「WWDJAPAN」が今季のキーワードとして掲げたのが「モダン ノスタルジア」だ。1月のメンズ・ファッション・ウイークに始まり、コレクションシーズンを通して「愛着」や「記憶」をデザインに込めるアプローチが目立った。民族衣装や制服など、古くから愛されているものの魅力を再発見し、現代のファッションに落とし込む手法だ。アイテム別では、祖母が手編みしたようなニットや昔ながらの織機で織ったゴブラン生地のアイテム、ディテールではノスタルジックな感覚を想起させるモチーフや柄なども見られた。
代表的なブランドが「クロエ(CHLOE)」だ。クリエイティブ・ディレクターのシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)は「献身」をテーマに掲げ、ロマンチックなムードの中に、世代を超えて受け継がれてきたフォークロアの精神性や本質を表現した。刺しゅうを加えたプレーリーブラウスや懐かしさを感じる小花柄、チロリアンテープのディテールが来場者の目を奪った。さらにショーが進むにつれて、“集団としての継承”に“個人としての継承”が加わる。母から娘に受け継がれたような温もりのある手編みのニットを、コレクションのハイライトとして紹介した。「愛着があるから、自分なりの着方がある。それが自分らしい着こなしにつながる。なかなか合わせにくい手編み風ニットにレザーパンツを合わせるスタイリングも、個性になっていた」(村上要「WWDJAPAN」編集長)。
「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」は、少女時代に着目し、アイデンティティーを模索する様を表現した。白シャツや、パイピングジャケット、ダッフルコートなど、学生服を思わせるアイテムに、異なる素材やテイストをミックス。制服をリメイクしたりカスタマイズしたりした記憶を呼び起こすようなスタイリングを提案した。阪急本店の源野里沙子バイヤーも「(ファッションに限らず)今クリエイションに関わっている人は、全く新しいものを生み出すのではなく、過去のアイテムに新しさを加えるムードがある」とうなずいた。
続いてキーワードに挙げたのは「テーラード シック」。エレガンス回帰の流れが続く中で、今季はジャケットをはじめ、仕立て技術を生かしたコートやトップス、ドレスまで、幅広いオンの着こなしを提案した。
「ジバンシィ(GIVENCHY)」は、女性の多面性を表現するため、マスキュリンとフェミニンが行き交うようなコレクションに仕上げた。その中でカギとなったのが、テーラリングのアイテムだった。ビジネスウエアのようなフォーマルな着こなしから、チェスターコートの肩を落としたセンシュアルな着こなしまで、テーラリングの新たな表情を見せた。またイブニングドレスが中心のシーズンが続いた「トム フォード(TOM FORD)」も、ブランドの原点であるテーラリングに回帰した。かっちりとしたピンストライプのパワースーツから、体を包み込むような柔らかなコートまで、自由なテーラリングスタイルが際立った。
その後も「エンブレイシング ウーマンフッド」「アクティブ ミックス」「スポンテニアス ドレッシング」「タクタイル ミニマリズム」といった今季のキーワードを、ショー動画をもとに解説した。
【第二部】
国内リアルクローズ市場で売り出すものは
続く第二部では、国内リアルクローズの視点から、2026-27年秋冬シーズンを解説した。
エストネーションは今季のテーマに「リゾナンス(共感)」を掲げる。前シーズンはオリジナリティーへの回帰をテーマとしていたが、それを共感へと広げる。オリジナルアイテムは、シックでマチュアな雰囲気に変化。グレンチェックや千鳥格子のアイテム、凹凸感のある素材に注目する。春夏から継続して注力するシャツカテゴリーでは、短丈やボウタイ付きなど、デザイン性のあるアイテムを打ち出す。セレクトブランドとしては「カルバン・クライン コレクション(CALVIN KLEIN COLLECTION)」「サ ス フィ(SA SU PHI)」「T.T」など、“きちんと感”を演出できるブランドをピックアップした。一方で「クロエ」や「ヴァレンティノ(VALENTINO)」など女性らしいブランドも合わせて提案し、セレクトショップならではの編集力を発揮する。「クロエ」については、「あのフェミニニティーは『クロエ』しか発見できない。エストネーションでも売れ行きが良く、お客さまも付いている」(エストネーションの飯島亜沙子ディレクター)と期待する。
一方、伊勢丹新宿本店本館3階のセレクトショップ「リ・スタイル」は「日常」と「愛着」をキーワードにした。3つあるファッションテーマのうち、最初に紹介したのが「エディティッド リアリティー」。「何気ない日常に、ポジティブな洗練を添える」という解説にぶら下がる形で、3つの顧客インサイトを紹介した。
1つ目の「サトル ディストーション」は、メンズライクなプルオーバーやワークジャケットをフェミニンに着崩したり、ラフなTシャツに肩パッドを加えたりすることで、見慣れたアイテムに違和感を与える手法だ。2つ目の「リファインド オーディナリー」は、テーラードジャケットやコートなど、日常着をワンランク上に引き上げるアプローチ。3つ目の「スタイルド インディビジュアリティー」では、アイテム単体ではなく着こなしで個性を表現する。「スタイリングに余白を持たせることで、着る人自身が自由に解釈できる余地を残す」。(「リ・スタイル」の橋本航平バイヤー)
アイテム別の解説では、第一にテーラードジャケットが挙がった。「エストネーションでもキーアイテムと位置付けている。ジャストシルエットやウエストシェイプ、ボクシーシルエットなど、バリエーションが広がっている」(飯島ディレクター)、「シルエットは確かにコンパクトになっているが、まだ抵抗感のある顧客もいるため、程よいシルエットで提案したい」(橋本バイヤー)とそれぞれ語った。
その後も来場者の質問にも答えながら、アイテム別にトレンドを掘り下げた。
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