ルルレモン・アスレティカ(LULULEMON ATHLETICA以下、ルルレモン)は、新たな最高経営責任者(CEO)として、約27年にわたりナイキ(NIKE)でさまざまな要職を歴任したハイディ・オニール(Heidi O’Neill)を任命した。2026年1月31日付で退任したカルバン・マクドナルド(Calvin McDonald)前CEOの後任として9月8日付で着任する。なお、マクドナルド前CEOは4月2日付でウエラ カンパニー(WELLA COMPANY)のCEOに就任している。
オニール新CEOは米コロラド大学ボルダー校を1986年に卒業後、広告代理店などを経て、94年にリーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)に入社。同社が設立したカジュアルウエアブランド、ドッカーズ(DOCKERS)のマーケティングや事業戦略の策定などに携わった。その後、98年にマーケティング担当ディレクターとしてナイキに加わり、米アパレル事業のバイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャーやコンシューマー&マーケットプレイス担当社長などの要職を歴任。2023年6月から25年9月までは、同社のコンシューマー&プロダクト&ブランド担当社長を務めた。現在、オーディオストリーミングサービスのスポティファイ(SPOTIFY)や、ホスピタリティー大手のハイアット ホテルズ(HYATT HOTELS)などの社外取締役も務めている。
「次世代のリーターとして完璧な人物」とエグゼクティブ・チェア
ルルレモンのマーサ・モーフィット(Martha Morfitt)=エグゼクティブ・チェアは、「ハイディは当社の次世代のリーダーとして、最適かつ完璧な人物だ。私をはじめとする取締役会のメンバーは彼女と長い時間を過ごし、そのクリエイティビティーや消費者志向の考え方、プロダクトやブランドに対する深い洞察、グローバルな経験に感銘を受けた。また、彼女は当社で必要となる役割を(より大企業である)ナイキですでに経験しており、願ってもない人材だといえるが、それらをただ当てはめるのではなく、ブランドやプロダクトに合わせて毎回フレッシュな目線で柔軟に仕事に取り組む姿勢も素晴らしいと思う」と語った。
オニール新CEOは、「『ルルレモン』はイノベーションに根差したプロダクトを持ち、顧客に心から愛されている稀有かつアイコニックなブランドで、そのポテンシャルは非常に大きい。9月に着任した際には、そうした土台を生かしつつ、画期的な商品開発の促進、カルチャーとの結び付きの強化、世界の各市場におけるさらなるビジネスの拡充に取り組み、いっそうの成長を目指す。この機会を大変光栄に思っており、同社のチームに加わること、また次なる成功へと導く手助けとなることを楽しみにしている」と述べた。
今回の人事に対するアナリストらの評価は?
ルルレモンはコロナ禍の中でも躍進を続けてきたが、競争の激化や市場の変化で次第に減速。26年1月期の売上高は前期比4.9%増の111億260万ドル(約1兆7320億円)、営業利益は同11.8%減の22億1061万ドル(約3448億円)、純利益は同13.0%減の15億7918万ドル(約2463億円)と増収減益だった。これはアナリスト予想をやや上回る結果であり、海外市場における売上高は同22%増だったものの、本拠地である北米を含む米州は同1%減と引き続き苦戦している。
なお今回の人事について、「CEO経験はないものの、今後に期待できる背景を持っている」と一定の評価をするアナリストもいる一方で、「マイナスの方向に意外な人選で失望した」「ルルレモンが必要としているのは(オニール新CEOのような)成長企業をさらに伸ばすタイプではなく、事業再建を得意とするトップではないか」とする意見も散見される。株式市場もニュースを嫌気し、発表があった翌日の4月23日、ルルレモンの株価は前日比13.3%安の141.66ドル(約2万2099円)に。その後も下げ基調で推移し、5月8日は131.18ドル(約2万464円)と発表前日と比べ19.7%安となっている。